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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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115「マーゴットとの話し合い」④





 はっきり支援を断ったレダに、マーゴットは何か言うことはなかった。


「ディクソン様のお気持ちはわかりました。余計なことをしてしまったようで、お恥ずかしい限りです」

「いいえ、お心遣いに感謝します」

「――では、エンジーを王都に戻していただくことはできますか?」

「それは」


 代わりとばかりに、マーゴットはエンジーの身柄を求めてきた。

 関係が悪くとも彼女はエンジーの母親だ。気持ちはわかる。


「私にも情報は入ってきます。エンジーはディクソン殿と皆様のおかげで、立派になったと」

「――はい。彼は一人前です。尊敬すべき、治癒師です」


 まだ学ぶことは多いだろう、それでも、災厄の獣に立ち向かえる彼を、街の人から愛される彼を半人前などと口が裂けても言えなかった。


「息子を育ててくださりどうもありがとうございました。エンジー、私はあなたのために王都に診療所を開く準備をしているわ。最近のことではないわ。あなたが治癒士の才能を開花させたその時から準備をしてきたの」

「……お母様、それは、あまりにも勝手です。僕はまだレダ先生のもとで学びたいんです」

「そうでしょうね。話を聞く限り、心地よい場所なのでしょう」

「なら!」

「では、一生ディクソン殿の元にいるのですか?」

「それは……許されるのであれば、そうしたいと思っています」

「……エンジー、私はそこが理解できないの」


 マーゴットは困った顔をする。

 呆れているのではない。

 本当に、エンジーの言葉の意味が理解できていないようだ。


「才能があり、良き師と友に恵まれ、一人前になった。ならば、次に進むべきでしょう? 私が、親が、支援できる環境にあり、あなたが返事をすれば王都に診療所をすぐに作れるの。あなたの言う多くの人を救うことができるのに、なぜ?」

「僕は、子供でした。心も何もかもが未熟で、迷惑をかけました。ですが! アムルスの人たちはそんな僕を笑顔で迎えてくれた。失敗しても、勇気づけてくれた。レダ先生も、ミナ先輩も、ルナさんたちも、ルルウッドたちも僕を気にかけてくれたんです。まだ恩返しができていない。何も、返せていない!」

「――ならば、あなたが立派になることこそ恩返しではないの? 治癒士として多くを人を救い、金を稼ぎ、アムルスに寄付をするでもいい、勉強する機会に恵まれない子を支援してもいい」

「だから、お金は――」





「エンジー……お金は、大事だよ?」





「ミナ先輩?」






 ミナがレダに出会う前のことを次回、少し。



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挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

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