104「ルナの要望」①
「――ディクソン様、そしてお弟子の皆様、ぜひまたのご来店をお待ちしております」
女主人フランセス・ソアレと男性店員に見送られて、レダたちは洋服店を後にした。
女性陣が五着ずつ購入してことは問題ないのだが、意外と洋服は嵩張るのだ。
男性は三人。腕は六本ある。
なんとか洋服を持ってあるくことはできるだろうが、その後の買い物に少々困る。
そんなレダの考えを察したフランセスは教会に送ってくれと言ってくれた。
貴族の買い物は店側が届けるか、あとで使用人が取りにくるかのどちらからしい。
レダはありがたくお願いをした。
そして、お店を出たのだ。
「次はどうしようか」
「はいはい! パパぁ、あたし武器屋さん行きたい!」
「……武器屋さんって」
「アムルスもいい武器たくさんあるけどぉ、業物ほしいのぉ! 業物クラスになると王都じゃないとダメなのぉ!」
近くの喫茶店に入り小休憩と共に次の店を決めていると、ルナが武器屋に行きたいと言い出した。
「駄目なの、と言われても。業物置いてある店なんてあるかな?」
「アムルスの武器屋のおっちゃんたちが言ってたけどぉ?」
「うーん。……心当たりがないわけじゃないんだけど」
「さすがパパ!」
「紹介なしに購入できるようなお店じゃないんだよね」
一流の冒険者が使用する武器武具を扱う店になると、まず必要なのは実力だ。
わかりやすく冒険者でいれば、ランクだろう。
一流と呼べるのなら、Bランクの熟練冒険者か、Aランクだ。
そういう冒険者は、紹介などなくとも店の入り物を見て購入できる。
しかし、それ以下の冒険者になると店側が「お断り」することが多い。
では、どうすればいいか、となると「紹介」だ。
例えば、一流の冒険者や、ギルドからの紹介はわかりやすい。
次に、難しいが貴族からの紹介状もありだ。むしろ、効力的にはこちらの方が強い。
レダも一流冒険者が使う武器に憧れたことはあるが、現実を知ってしまうと自分に丁度いい武器こそ一番だと思えるようになった。
ただし、ルナの場合は違う。
特別な訓練を受けているルナは、強い。軽々とした身のこなしと短剣の扱いは、贔屓目抜きで一流である。
――彼女自身は望まずに得た力だろうが、それでも才能があった。
ならば一流の武器を求めるのなら買ってあげたいと思うのがレダとしての素直な感情だった。
「紹介状ならあるわよぉ」
「――え?」
「ウィルソンおじさんに書いてもらっちゃった!」
すでに最強の紹介状を準備していたルナに、レダは「さすがです」と感服するしかなかった。




