103「お披露目」③
次は、シュシュリーとレイチェルだった。
姉妹はお揃いのスカート、ブラウス、ジャケットを身につけ、足元はヒールだった。
美人姉妹のお揃いの服はよく似合っていた。
唯一違うのが、髪飾りと手提げバックだ。
「どう、でしょうか?」
「どうですか?」
シュシュリーは自身なさげに、レイチェルは自信満々に身につけている服が似合っているかどうかを尋ねてきた。
「とてもよく似合っているよ」
無難な物言いになってしまったが、心底そう思っている。
年若い女性を妻と娘の前で褒めすぎはよろしくない。
しかも、相手は未婚の女性だ。
気にしすぎだと思われるかもしれないが、何がどこで相手の気に触ってしまうかわからない。
シュシュリーは時間こそ短いが家族同然に接しているが、それでもお互いに遠慮はある。
他人であるのはもちろんだが、師匠と弟子という関係でもあるので何かと気遣うことがあるのだ。
言葉にはしないが、それ以上にレイチェルの扱いが困る。
何やら昔助けたことをずっと感謝してくれていたようだが、姉妹は暴漢に襲われて傷つけられたのだ。ならば、すべて忘れてしまった方がいいと思う。
感謝の気持ちは嬉しいが、その気持ちがある以上、過去を忘れることができない。
必ず忘れろとは言わないが、忘れて欲しいと願っている。
そんなレイチェルはつい先日出会ったばかりだ。向こうはレダのことを知っていても、レダはレイチェルを覚えていない。
しかも、恩返しをしますと言ってくるので、さらに困ってしまう。
レダは鈍感だが、明確な好意を示させてもわからないほどではない。彼女は自分に何かしらの行為のような感情を抱いてくれているが、だからこそ、余計なことは言えない。
彼女の感情が感謝をこじらせたものかもしれないし、恐怖を消すためのものかもしれない。決めつけるつもりはないが、レダとしてはどちらにせよ応える気はない。
だからと言って、冷たくしたりすることはできないのが情けないところだ。
「似合っていますよ、シュシュリー、レイチェルさん! とっても素敵です!」
「ええ、本当に。お揃いの服がよく似合っています」
エンジーとルルウッドもふたりを褒めた。
お世辞抜きに、本当によく似合っている。
エンジーがふたりを褒めた時、ちょっとだけ本当にちょっとだけミナがむっとした顔をしたような気がしたが、多分幻覚だ。日々の疲れが祟ったのだろう。
「――素敵な服を選んでくださり感謝します。みんなが気にっているのであれば、ください」
「どうもありがとうございます、ディクソン様!」
にっこりした女主人フランセスは「他の服も持ってきますね」と言って奥に入っていた。
ルナたちがそれぞれお礼を言ってくれたので、レダも笑顔で応じた。
――だが、まさか、あと四着ずつあるとは思わなかった。
もちろん、笑顔で支払いをした。




