101「お披露目」①
「おっと、申し訳ございません。つい話に夢中になってしまいましたね。そろそろお嬢様方がいらっしゃいますよ」
「いや、待って。その会のことを詳しく」
そう言って礼をする男性店員に、「会」の詳細を聞こうとしたが、それよりも早く小さな足音が近づいてくる。
お気に入りの一着を選んだミナたちがこちらにやってくるのだと察した。
男性店員に聞きたいことは山のようにあるが、優先順位はミナたちだ。
レダたちが立ち上がり、女性陣の登場を待った。
「お待たせしました。娘様、奥様は本当に美しく、肌もすべすべで妬ま……いえ、なんでもございません。素敵なお嬢様たちでしたので、似合う服がたくさんございました。その中でも、お嬢様たちがお気に入りになった一着をまず着ていただきました。――どうぞ!」
この店の女主人フランセス・ソアレが最初に奥から現れ、優雅に一礼した。
若干、心の声も漏れていたが、さすが店を切り盛りしているだけあり、なかったことにしている。
彼女が奥に声をかけると、ミナ、ルナ、ヒルデ、シュシュリー、レイチェルが順番に現れた。
「お、おとうさん、どうかな?」
赤い顔をして照れた様子のミナがもじもじして上目遣いで尋ねてくる。
そんなミナは淡い青色のワンピースに身を包んでいた。
首元にはリボン、袖やスカートの端に花の刺繍がしてある可愛らしい洋服はミナによく似合っていた。
「とてもかわいいよ。うちの娘が世界で一番かわいすぎて心臓が破裂しそう!」
「もう、おとうさんったら大袈裟だよぉ!」
娘がかわいすぎてうまく言葉が出て来ないながら、全力でかわいいと叫ぶレダに、ミナは恥ずかしそうに身を捩った。
「エンジー、どう?」
「――最高です!」
「ありがとう!」
(……あれ? エンジーにも聞くの? 最高ですって、エンジー……もっと他に言葉をたくさんかけてあげるべきだろう!)
レダは、心の中で叫んだ。
父親じゃなかったら、すべて口に出していただろう。
「ミナさん、素敵ですよ。まるで花の妖精だ」
「……る、ルルウッドさん、ありがとうございます!」
レダとエンジーがルルウッドを信じられないものを見るような目で見た。
――え? そんなこと言っちゃうの?
まさにそんな感じの顔をしていた。
ルルウッドの言葉が一番ミナに響いている気がして、レダは嫉妬を覚えた。




