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11 先祖帰り

「うおおっ! 今度は何だよ!?」


眩い光を放つアクアが、その形をゆっくりと人型に変えていく。


え? え?

本当に何が起こってんの?


光が収まると、俺の目の前には山のような形をしたスライムではなく、青い身体の美少女が一糸纏わぬ姿で立っていた。

髪の色から爪先に至るまで、すべて青。

髪は肩までのショート。大きく愛らしい瞳は気だるそうに俺を見ていた。


なぜスライムが美少女になったし?

しかも裸だし。


「・・・だるい」


「いや、開口一番がそれかよ」


目の前の少女にツッコミを入れるのは忘れない。

・・・何が起こったのかな、チャーリーさん?



Answer.

A級スキル<従魔契約>によりモンスター名ユミール・スライムを<従魔>としました。

<従魔>に<アクア>の名前を与えたことにより、ユニーク級スキル<魂の系譜>が成立しました。

<アクア>は<原種>であったため、<魂の系譜>を通じてS級スキル<神格化>の<先祖帰り>が発動。

個体名<アクア>は<ユミール・スライム>から<シー・ディザスター>へと<先祖帰り>致しました。



・・・。

やはり意味がわからん。

俺は根気良く、チャーリーさんに一つ一つ確認していった。



まずA級スキル<従魔契約>で、俺はユミール・スライムをテイミングした。

A級スキル<従魔契約>は、テイミング可能なモンスターを<従魔>、つまり部下にすることができるスキルだ。<従魔>にしたモンスターには名前を付けることができる。まあペットに名前を付けるみたいなものだ。


しかし俺がテイミングしたモンスターに<名前>を与えることは特別な意味があるらしい。

その秘密が俺のユニーク級スキル<魂の系譜>にある。


ユニーク級スキル<魂の系譜>は、俺と<従魔>や<眷属>の魂を連結させ、繋げるスキルらしい。。

<従魔>の場合、これを成立させる条件が名前を与えることなのだと言う。


魂が繋がった俺たちは、声を出さなくても意思疏通のできる<念話>、テレパシーみたいなことができるようになる。また<共有化>できる<スキル>を自由に取り込むことができるようになるらしい。


パソコンのネットワーク化をイメージしてもらえると良いと思う。

ユニーク級スキル<魂の系譜>は、要するにLANケーブルみたいなものである。ホストPCが俺で、サブPCが<従魔>だとすれば、ネットワーク化によりホストPCである俺は<従魔>と簡単に連絡を取り合うことができ、ファイルを共有することができる。俺を経由すれば、もちろん<従魔>間での共有も可能である。


ここまでは「へ~、便利なんだな~」で済む話である。

だが、この<魂の系譜>を通じて、俺が持つ、とある<スキル>の効果が<従魔>や<眷族>に及ぶようになる。

それがS級スキル<神格化>だ。

これは俺がもともと持っていたS級スキル<神々の戯れ>を進化させたものらしい。



S級スキル<神格化>のスキル効果は、以下の通りである。

 1.レベルアップによるステータス成長に補正。(20倍)

 2.<従魔>・<眷族>とした者の<魂>から<魔素>を浄化し、上位体へと進化させることができる。

 3.<原種>である個体を<先祖帰り>によって<古代種>に戻すことができる。

 4.<錬金>・<錬成>といった創作系スキルの成功率が100%になり、また創作された物のランクが自動的に上がる。

 5.【神滅級魔法】を扱うことができるようになる。



・・・。

チャーリーさんでお腹いっぱいだと言うのに、この効果である。


とにかく、この<神格化>の効果の一つに<先祖帰り>というものがある。

よくわからんが、モンスターは遥か昔、<古代種>と呼ばれる数種類しかいなかったらしい。しかし、それらが派生して今のような多様なモンスターに<進化>していった。

普通、<進化>と言うと強くなることをイメージするが、この場合は<進化>というより<分化>と言った方が良いみたいだ。

<古代種>から遠く分化すればするほど、弱くなっていくらしいらしいからな。


スライムは<シー・ディザスター>という<古代種>から<分化>したモンスターだ。

アクアが<進化>―――いや、<先祖帰り>した<シー・ディザスター>は太古の昔、大津波で町を飲み込んだこともあるらしい。もちろんスライムに、そんな芸当は出来ない。


S級スキル<神格化>による<先祖帰り>は、これら<古代種>から<分化>したモンスターの中で<原種>となっているものを<古代種>に戻すことができる効果がある。ユミール・スライムだったアクアは、この<原種>だったために<先祖帰り>を受けて<シー・ディザスター>になった、ということだった。



「う~ん。分かったような、分からなかったような・・・」


とりあえず、<神格化>がかなりチート級なスキルだということが判明した。

あと俺が<従魔契約>したモンスターは、ひょとしたらメチャクチャ強くなる可能性がある、ということも理解した。原理については、この際どうでもいいだろう。


ちなみに<シー・ディザスター>に<先祖返り>したアクアは、スライムには無かった<知性>を得ている。

また見た目がスライムではなくなり、人間に近い姿になっている。身体が女性なのは、俺の付けた名前が女の子っぽいから、らしい。

なんか最後は適当な理由に見えるが・・・



個体名:アクア

種族:シー・ディザスター

レベル:173

状態:山本大地の従魔



レベルが倍以上に上がっている。<先祖帰り>の効果だろうか。

ともあれ、心強い仲間が増えたことに変わりはない。

しかも、


「うわ。なんだよ、これ」


湖中から、ウジャウジャと巨大スライムが大量に出てくると、俺に向かって平らになった。

たぶん頭を下げるようなものなんじゃないかな?

ユミール・スライムはこの湖一帯を統べる特殊なボス的存在だったらしい。つまり、ボスのボスは、より強いボスなのである。

アクアと<従魔契約>して<魂の系譜>が成立したことにより、アクアの配下は俺の配下となったわけだ。


う~ん。


なんか予想外の方向に向かっている気がするが、ブリトニア王国からクラスメイトたちを助けるには戦力が不可欠だろう。

チャーリーさんの陰謀なんじゃないかと思わないでもないが、気にしないでおこう。

俺は改めてアクアを見た。


「よろしくな」


「・・・だるい」


・・・こいつ、本当に大丈夫だろうか?



第一ヒロイン登場です。


H28.7.24

S級スキル<神格化>についての効果を明記しました。


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