天国へようこそ
「──ようこそ、天国へ」
バナナとキャンディーは、ふわふわと浮かぶ雲の上に立っていた。
大きなゲートの横に、頭の上に小さな輪っかを乗せたうさぎがいた。羽が生えているようで、二人が立っている雲から数十センチ浮かんでいる。
俗に言う天使というものだろうか。
そんな天使には目もくれず、二人は天国という場所に来たことに興奮していた。
「え?え?雲って本当に乗れるんだね!?ってか天国って本当にあったんだ!」
バナナは辺りをくるくると見回したり、地面を足でつんつんとつついたりしていた。
一方キャンディーはというと、今までにないくらい嬉しそうな顔をして、空を見上げている。
「物珍しいのはわかるけれど、後がつっかえるからそろそろ私の話を聴いてもらえる?」
天使は手に持っている杖のようなものを、シャランと鳴らした。先に星の飾りのついた、なんとも可愛らしい杖だ。
「!!」
バナナはその音で初めて、目の前に天使がいることに気付いた。
「てててててて天使!?」
「ええ、そうよ。私は天使。『サク』とでも呼んで。時間内から手短に説明するわね。ここは天国楽園。魂を天国街と池球に分ける場所なの」
「うぉーーーーー!!」
その言葉を聞いた瞬間、キャンディーは雄叫びをあげた。
「わわっ!!びっくりした!」
「……級に大きな声出さないでよ」
「じゃあ俺とキティーが立てた仮説は間違ってなかったんだな!あーー早く帰って論文書きてぇー!」
キャンディーは腹の前で拳を二つ作り、空に向かって叫んだ。
「その前にフーを元に戻さないとダメでしょ!」
「あぁ……そうだったな」
「……まさか池球人がここについて調べることができたなんて。驚いたわ。じゃあ説明する手間は省けたわね。まあお連れさんのために簡単に説明すると、死にたいという意思のない者はここのミッションをクリアすると生き返ることができるのね。まだ生きたかったのに故意に殺された、とか、事故に巻き込まれて死んでしまった、とか。まあ事前に私たちがまだ生きるに適すかどうかチェックするんだけど。あなたたちは大丈夫よ。基準をクリアしてるわ。それはさておき、あなたたちが故意に死んだにしても故意で死んでないにしても、私には関係のないこと。私は天園神の言うままに動くのみ。さあ、あなたたちは生を望むの?死を望むの?」
「バナナは生きたいよ!」
ほとんど間をおかずにバナナが叫んだ。
「俺もだ」
「いいでしょう。じゃあこれを着て」
サクは青いゼッケンを二人に投げた。
「903?」
「あなたの魂番号ね」
「俺は904か」
二人はゼッケンに腕を通した。
「これからわたしはあなたたちの専属天使になります。不正などをした場合地獄に落とされることになるので気を付けて。ミッションをしっかりこなすこと。いいわね?」
「了解です!」
「……ああ、わかった!」
バナナとキャンディーは元気良く返事をした。
これから待ち受けているミッションがどんなものか知らずに──。




