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おはようございま……

16 おはようございま……


「んぁー、よく寝た~」

フーが目を覚ました。

「ほら、チェリーも起きて、もう朝……ん?今何時?僕たち寝る前何やってたんだろ?」

「ふわぁー、おはよー。よく寝たね~。何かあったの?」

「ねぇねぇ、僕たち寝る前何やってたか覚えてる?」

「え?たしか、リールたちを捕まえて……それから……」

二人から、ソルド騒ぎの記憶が消えていた。

「何してたんだっけ?」

「あ、ほら見て!パソコンがついてるよ!」

「本当だ!」

さっき二人が見ていたパソコンだ。だが、さっきあったはずのフロッピーディスクは消えていた。

「何かが足りないような気がする……のは気のせい?」

R研究所のパソコン本体がここにあるのが、チェリーには気がかりだった。

「私たちが持ってきたのかな?」

「Rってシール貼ってるし、これはR研究所のだよね?」

フーも気付いたようだ。

「そうみたいだね。私たち、きっとR研究所に行ったんだよ。んで、パソコンと一緒に何か持ってきた可能性が高い」

「パソコンと一緒に?そもそも何でパソコンを持って戻ってきたんだろ?」

二人は推理を始めた。パソコンを持ってきたってことは、もう一つ持ってきたものにはこのパソコンが必要だったってことだよね、と、チェリーが言う。

「そうだよね、パソコンならここにもあるんだし」

「このパソコンでしか開けなかったとか?ほかので開けたらデータが消えちゃうとか?」

その時二人の頭の中に何かが見えた。平べったくて黒いもの……

「あっ!!」

二人は叫んだ。

「ビクトール博士のフロッピーディスク!!」


☆ ☆ ☆


東共 ソルドワールドタワー

「早川様、大阪のあのルワノ二人の記憶は消えたものと思われます」

「ご苦労だった。あの資料は我々の行動の妨げとなる。厳重に保護しとけ」

「しかし、早川様の読みは驚くほどよく当たりましたね!」

「あいつらが研究所に行った時、我々に何らかの見落としがあるかもしれないことは想定できたからな」

どうやら今度はフールーけいさつ内に、あの薬をばらまいたらしい。先に眠り薬をまいてから。


♪ ♪ ♪


「チェリー、どこにもないよ?」

フールーけいさつ内を探しまくったが、フロッピーディスクはどこにもなく、二人はへとへとに疲れ果てていた。

「やっぱり持ってかれちゃったんだ」

と、チェリーが呟いた時だった。

「えーと、フーとチェリー、いる?」

聞き慣れない声が聞こえてきた。誰だろう。

「あ、僕はキティー。キャンディーの親友さ」

正面入口には、第二成生手前の真白猫がいた。

そして二人は首をかしげて、

「キャンディー?」

と呟いた。

「うぁ、ごめん!そっか、まだ二人はキャンディーを知らなかったんだよね。えーと、まなみお嬢様の執事の親友……と言えばわかる?」

「まなみちゃんを知ってるんだったら大丈夫だね」

「うん、怪しい人じゃないね。ところで、どうしたんですか?」

真白猫、キティーはいやいやいや、と言って、

「僕に敬語なんか使わなくていいよ」

今度はチェリーが首を振って、

「いちおー年上だし……と思って……。でもそう言っていただけるなら、遠慮なくタメ口使わしてもらいます!」

「いやそれも敬語だからね?」

「まあそれはさておき、」

「流すのかよ!」

キティーがつっこんだ。

「何があったの?」

「えーとねー、みんながロザンゼルズに取り残されてしまった。この騒ぎの中飛行機で帰れない。だから、タイムマシンを作るって話になったわけだけど、」

「タイムマシン⁉って、そんなん作れんの⁉」

「つっこみは最後に入れて。それにはフライングストーンっていう石が必要なんだ。で、明後日の『夜の日』を利用して、アベリカ軍隊の隙をついて石を運ぶってことになったんだ。二人とも、手伝ってくれる?」

「そういうことならまかせて!」

チェリーがガッツポーズをした。

「よし、じゃあ僕らの研究所へ急ごう!」

三人はキャンディーとキティーの研究所へ向かった。


「これ、重いね……」

水色の石がたくさん入った大きなバケツを持ちながら、フーが言った。

「なにしろ、ひとつのバケツに100個ずつ入ってるからね。1個が250gほどだから、25kgぐらいかな?」

そのはるか後ろでは、チェリーがわめいていた。

「無理だって~、二人とも、ちょっと待ってよ~」

ここから見ると、チェリーは豆粒サイズだ。

「あ、ごめん!」

キティーが自分のバケツを置いてチェリーの方へ行く。

自分の体重より重いものを運ぶというのは、確かにちょっと無理がある。ましてやチェリーは女の子だ。筋力もそこまであるほうではない。

チェリーは最初にバケツを受け取ったところから一歩も動いていなかった。

「半量に減らすよ。必要なのは30キロだしね」

「 じゃあなんでこんなに持ってくの?」

「予備。もし失敗してもここには戻ってこれないから」

「なるほどね〜」

だいぶ軽くなったバケツを持って、チェリーは歩き始めた。

「はぁー、どこまで歩くのぉ~?」

「まなみお嬢様の家まで。大丈夫、あと2分もあれば着くよ」

と言ったキティーの話は嘘でもないらしく、一瞬でまなみの家が見えてきた。

「あいかわらず、でかいねぇ〜」

キティーはカードキーのようなものを取り出し、裏門を開けた。

「10秒以内に入ってね。閉じちゃうから」

どうやら自動ロックされるようだ。

裏門の奥には飛行機が置いてある。あれに乗るのだろう。

「よし、フライングストーンはここに置いといて、先に乗っといて。僕もこれ載せたらすぐ乗るから」

「了解!」


ふぅー、ふぅー

チェリーの手は真っ赤だった。息を吹きかけても治るわけではないが、少しは痛みが解消されるだろう。そういえば、あのへたれのフーが、なぜ弱音を吐かずに運びきったのだろう。

(……まさか、ね)

考えるのはやめておいた。

ウィーン

乗り込むと、フーが水を用意してくれていた。

「飲む?」

「う……ん、ありがとう」

ますますおかしい。考えるまいとしたけれど、この様子は何かおかしい。キティーに伝えておいた方がいいだろうか。

その時、

ブルルン

エンジンがかかった。キティーはよほど急いでいるのだろう。自分が乗ってからまだ1分しか経っていないのに。

チェリーはキティーに相談する機会を失った。

機内でも、あのうるさいフーとは程遠い様子で、きちんとシートベルトをしめて座っていた。

(これがバナナとかだったら、やっと態度を改めたかとか思えるんだけどな……)

フーやチロは言いつけを守っていたらおかしい。それは、たった1ヶ月の付き合いでもわかってきた。そして、今自分はどうやらそのおかしい場面に遭遇しているのだ。

試しに探りをいれてみることにした。

「さっきのフライングストーン、重かったねー!」

「うん、重かったねー!」

「私フーたちの半分の量だったのに、手真っ赤っかだよー」

「僕も真っ赤っかだよ~」

言動的に、今のはおかしくない。思い過ごしだったのだろうか。

「あ、水、ありがと!助かった」

「それく……うん!どういたしまして!」

(ん……?今のなんだ?)

さらに探りをかける。

「みてみて、マシュマロがあるよ!」

「本当だー!美味しそう!」

……チェリーは確信した。こいつはフーではない。フーを装ったニセモノだ!

いつものフーなら、マシュマロ⁉たべるたべる!ちょーだい!!!ぐらいは言うはずだ。マシュマロを目の前にして、食べたいと言わなかったとなると、疑いは確信に変わる。

「お前、フーちゃうな?」

単刀直入に言った。

「……え?何言ってんの?僕だよ、フーだよ」

一瞬の間が、本当だということを物語っていた。

「フーをどこにやった⁉」

「はっ、ばれちゃしゃーねーな」

フーのニセモノは覆面をはがした。その下は……

「そ……ソルド⁉大人……やんな?ちっちゃ!」

「ほっとけ!この身長のおかげでルワノに化けれたんだ。身長に感謝しねーと」

このソルドは、身長がルワノの平均身長である60cmほどしかなかった。

「ソルドでいうと、赤ちゃんくらいだよねっ!」

チェリーはツボにはまりかけた。

「ま、笑っとけばいいさ。フライングストーンは俺たちがいただく。それを頭にいれときな。」

「‼フライングストーンは渡さない‼」

「お前に守れるかな?お手並み拝見といこう」

「望むところだ!」

小さなソルドがチェリーにとびかかった。

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