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祝5.000pv!【拾い物】しか能がない俺、役立たずと勇者パーティーを追放されたので、みんなが捨てたものを拾って生きていく  作者: 音


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捨てられた兵

敗残兵が来たのは、三十日目だった。

 街道の方向から、十七人が歩いてきた。

 全員、王国軍の鎧を着ていた。

 ただし、その鎧はどれも半分しか残っていなくて、武器を持っている者は四人しかいなかった。

 先頭の男が、村の入口で膝をついた。

「――水を」

 彼が顔を上げたとき、ドルグが息を呑んだ。

「フラン」

 髭の隊長だった。

 左腕が、肘から下がなかった。

   ■

 ティナとセリアが、十七人を施療所に運んだ。

 フランの腕は、切断されてから五日経っていて、断面は焼いて止血してあった。

「――誰がやった」

 ドルグが聞いた。

「俺だ」

 フランは答えた。

「自分で焼いた。他にいなかった」

 彼は寝台の上で天井を見ていた。

「第四管区守備隊、二百三十人。国境の第三砦に入った」

 彼は言った。

「三日で落ちた」

   ■

 その夜、フランが話したことは、俺たちの想像とは違っていた。

「帝国の兵は、強くない」

 彼は言った。

「一対一なら、うちの兵のほうが強い。俺はそう思ってる」

「じゃあ、なんで三日で」

 ドルグが聞いた。

「――途切れないんだ」

 フランは言った。

「うちは、三時間戦うと交代する。交代した兵は飯を食って寝る。当たり前だ」

 彼は言った。

「向こうは、途切れない。同じ強さで、丸三日、途切れなかった」

 俺は聞いた。

「交代してないんですか」 「してる。してるが――交代の瞬間が、ない」

 フランは言った。

「壁を押してるとする。押してる奴が疲れて、下がる。その瞬間、壁が少し戻る。そこを突く。それが戦だ」

 彼は言った。

「向こうは、戻らなかった」

 彼は言った。

「三日間、一度も」

   ■

「補給は」

 リディアが聞いた。

「見えなかった」

 フランは答えた。

「荷馬車がなかった。炊煙も上がらなかった」

 彼は言った。

「三日間、飯を食ってる様子がなかった」

 部屋が、静まった。

 ゼロが、口を開いた。

「――質問しても、いいですか」

 彼女は言った。

「帝国兵の中に、駆動音のする者はいましたか」

 フランが顔を上げた。

「駆動音」 「金属が擦れる音です。規則的で、心拍とは異なります」

 ゼロは言った。

「甲冑の音とは、周期が違います」

 フランは、しばらく考えていた。

 そして、青ざめた。

「――いた」

 彼は言った。

「二列目だ。二列目の連中が、音を立ててた。鎧の音だと思ってた」

 彼は言った。

「そいつらは、一度も声を出さなかった」

   ■

 その夜、俺は施療所の外でゼロと立っていた。

「ゼロ」 「はい」 「あなたと同じものが、いるんですか」

 彼女は答えなかった。

 しばらく星を見ていて、それから、平坦な声で言った。

「私の型式は、五十年前のものです」

 彼女は言った。

「五十年前、この国には自動人形が十七体ありました。すべて、三百年前の遺物の技術を復元したものです。復元には失敗し、十七体のうち十四体が十年以内に停止しました」

 彼女は言った。

「私は、その三体目の生き残りです」

 ゼロは自分の右手を見た。

「もし帝国が同型機を運用しているなら、彼らは復元に成功しています」

 彼女は言った。

「――五十年で、成功しています」

   ■

 翌朝、フランが俺を呼んだ。

「ノア」

 彼は寝台の上で言った。

「十七人、置いてってくれ」

 彼は言った。

「俺の隊の生き残りだ。腕が動く奴が九人いる。使ってくれ」

「フランさんは」 「俺は腕がない」

 彼は言った。

「軍に戻っても、除隊だ。除隊された兵は、恩給も出ずに放り出される」

 彼は天井を見た。

「――俺は、捨てられる側になった」

 俺は少し考えて、それから聞いた。

「フランさん。認可状を運んできたとき、あなた、歩いて谷を上がってきましたよね」 「……ああ」 「なんで馬に乗らなかったんですか」

 フランは、しばらく答えなかった。

「――見たかったんだ」

 彼は言った。

「三年前に俺が見捨てた村が、どうなってるのか」

 彼は言った。

「馬だと、速すぎる」

 俺は帳面を開いた。

「フラン・ヴォス」

 俺は書いた。

「前職、第四管区守備隊長。できること――」

 俺は顔を上げた。

「なんですか」

 フランは、右手で顔を覆った。

「……人を、並ばせるのは、得意だ」

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