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祝5.000pv!【拾い物】しか能がない俺、役立たずと勇者パーティーを追放されたので、みんなが捨てたものを拾って生きていく  作者: 音


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19/71

接収通告

 騎馬は六騎だった。

 先頭の二騎が槍を持った兵で、その後ろに文官らしい男が一人、残り三騎が護衛という並びで、隊列の組み方だけ見ても、これが戦闘のために来た隊ではないことは俺にもわかった。

 それでも、村の入口に六頭の馬が並ぶと、広場は一気に狭く感じられた。

 文官が馬を降りて、巻いた紙を広げた。

「王国暦八六二年、辺境伯領第四管区。当該地はロスタ跡地であり、王領帰属地である」

 抑揚のない読み上げだった。

「現在、当該地において無認可の占有および経済活動が確認された。よって本日付をもって当該地を接収し、占有者に退去を命ずる」

 彼は紙を巻き戻して、ようやくこちらを見た。

「代表者は」

 俺が一歩前に出ようとしたら、ドルグの手が肩を掴んで、押し戻した。

「坊主、まだだ」

 小声だった。

「あいつは末端だ。喋らせろ」

 文官は俺たちを順番に眺めて、それから、少し眉を寄せた。

 ガキが二人、少女が二人、大男が一人、狼が一匹。

 どう見ても、接収を通告するに値する集団に見えなかったのだと思う。

「……代表者は」

 彼はもう一度言った。

 リディアが、静かに前に出た。

「ロスタ集落再興申請、申請者代理のリディア・カーツです」

 文官の眉が、はっきりと動いた。

「申請」 「はい。第七様式にて、二日前に領都役所へ提出済みです。受理印はこちらに」

 彼女は懐から書類の写しを出して、受理印の押された頁を開いて見せた。

 文官は一瞬、書類を見て、それから顔を上げた。

「――受理は、認可ではない」

 その声には、明らかに動揺があった。

「そのとおりです」

 リディアは頷いた。

「ですから、私たちは現在『審査中の申請者』であって、『無認可の占有者』ではありません」

 彼女は書類をもう一枚めくった。

「王国法典第四編、集落再興に関する条項、第十一条。審査中の申請地に対する接収は、審査結果が出るまで執行を停止するものとする」

 文官が、明らかに固まった。

「――知らずに来られましたか」

 リディアは眼鏡を押し上げた。

「でしたら、その巻紙を出した方の名前を伺えますか」

   ■

 文官は答えなかった。

 答えられなかったのだろう。

 代わりに、後ろにいた護衛の一人が馬を進めた。

 髭の濃い、四十がらみの男で、隊長らしい飾りを肩に付けている。

「――カーツと言ったか」

 男は馬上から言った。

「潰れた家の娘が、法典を暗記して食い扶持を稼いでるって話は聞いてる」

 リディアの表情は動かなかった。

「執行停止は認める。だが、審査は落ちるぞ」

 男はにやりと笑った。

「集落再興の要件は人口十五。ここには六人しかいねえ。審査が落ちれば、その日のうちに接収だ。俺たちは三十日後にまた来る」

 彼は視線をこちらに移して――そして、その視線が、ドルグのところで止まった。

 馬上の笑みが、消えた。

「……ヴァイン副長」

 ドルグは何も言わなかった。

「生きてたのか」 「死んだつもりだったがな」

 ドルグは腕を組んだまま答えた。

「フラン。太ったな」 「隊長になったんでな」

 男は、少しの間、複雑な顔をしていた。

「あんたが辺境に飛ばされたあと、隊はめちゃくちゃになった。あんたの申請が正しかったってことは、三年目にみんな気づいてる」

 彼は言葉を切って、それから、吐き捨てるように続けた。

「気づいたところで、誰も何もしなかったがな」

 ドルグは、笑わなかった。

「フラン。ひとつ聞く」 「なんだ」 「その接収の話、どこから出た」

 男は答えなかった。

 答えない、という形で答えていた。

 しばらくして、彼は手綱を引いた。

「三十日後だ、ヴァイン。人を十五人揃えろ。揃わなきゃ、俺は命令どおり動く」

 馬首を返しかけて、彼は付け足した。

「――揃ってりゃ、俺は喜んで帰る」

   ■

 馬の一頭が、突然、いなないた。

 前脚を高く上げて、乗り手を振り落としそうになるほど暴れた。

 残りの五頭も一斉に耳を伏せて、後ずさりを始めた。

 馬たちが見ていたのは、井戸端だった。

 そこにボロが座っていた。

 いつもの、猫より少し大きい毛玉のはずだった。

 ――大きくなっていた。

 犬くらいの大きさになって、灰色だった毛が、根元から銀色に変わりかけていた。

 金色の目が、まっすぐに馬を見ていた。

「なんだ、あの犬は」 「狼です」 「我は神獣ぞ」

 ボロが喋ったので、兵の一人が本気で落馬した。

   ■

 馬蹄の音が谷から消えたあと、俺は井戸端に行った。

「ボロ」 「うむ」 「大きくなってません?」 「腹が減った」

 答えになっていない。

 ボロは前脚で顔を洗いながら、ぼそりと言った。

「食えば大きくなる。呼ばれれば毛が生える。ここは、その両方が多い」

 彼は俺を見上げた。

「小僧。あと九人だそうだな」 「はい」 「どこから連れてくる」 「これから考えます」

 俺がそう言うと、ボロは鼻を鳴らして、村の入口のほうを見た。

「一人、そこにおるぞ」

 振り返ると、村の入口の岩陰から、痩せた男の子が、こちらを覗いていた。

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19話まで読んだ感想です。 間違ってたら申し訳ないですがAIを使用されていませんか? もし使用しているのであればタグつけをお願いします。 AIを除外して検索して出てきたので気になりました。 よろしくお…
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