第八十話 宿題
「えぇぇぇぇっ!?」
フィリアの実演が終わると同時に、クラリスが思わず大きな声を上げた。
「魔法ってそんな仕組みだったの!?」
「私も初めて聞いたわ……」
アリシアも驚きを隠せない。
セリーヌに至っては腕を組み、その場で考え込み始めていた。
「確かに……」
「今まで魔法は魔力だけで成立していると思っていたわ」
「でも現実の法則にも影響されるなら、術式そのものの考え方を変えなければいけない……」
三人とも驚いていた。
当然である。
魔法学園では魔法陣の描き方。
魔力量。
属性相性。
そういった知識は教わる。
しかし。
『魔法が現実世界の法則に従っている』
そんな話は一度も聞いたことがなかった。
エリナは苦笑する。
「私も最初は同じ反応でした」
「でも」
「ミサさんが作り出した術式の方が、もっと異常なんです」
「え?」
三人が同時に首を傾げる。
エリナは鞄の中から、一枚の紙を取り出した。
「これが、ミサさんから宿題として渡された術式です」
三人が身を乗り出す。
紙へ書かれていたのは――
120114041506190801041523191821120518190301200801030807180114202114201513250801140420080502051215220504191605011823092008200809182025200815181419200821140405182008181523
数字。
ただ、それだけだった。
アリシアは思わず瞬きを繰り返す。
「……これが術式?」
クラリスも首を傾げる。
「ただの数字の羅列にしか見えないんだけど……」
セリーヌは紙を手に取り、食い入るように眺める。
「規則性はある……」
「でも、何を意味しているのか全く分からないわ」
エリナは苦笑した。
「私も考えていますが、まだ解けていません」
「ミサさんは『解けた時には魔法の見え方が変わる』とだけ仰っていました」
三人はもう一度紙を見る。
そこには魔法陣も。
呪文も。
術式文字もない。
延々と並ぶ数字だけが、静かに紙面を埋め尽くしていた。
その紙を眺める度に思う。
これは本当に人間が考えたものなのだろうか、と。
魔法理論。
数学。
物理。
あらゆる知識を総動員しても。
入口すら見えてこない。
「ミサさんは」
エリナは少しだけ遠くを見る。
その先は、まだ誰も知らない。
その数字の羅列が何を意味するのか。
どんな術式へ繋がるのか。
それは今もなお、エリナだけへ与えられた宿題のままだった。
【作者からのお願い】
『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマーク登録をお願いします。
本作を評価していただけるととても励みになりますので、嬉しいです。




