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第三十八話 乱入

ガギィィィン!!


火花が散る。


ミサは必死にナイフで銃剣を受け流す。


だが。


限界は近かった。


そもそもの話。


鉄製のナイフと。


オリハルコン製の銃剣。


勝負になる訳がない。


ザシュッ!


また一つ傷が増える。


ミサは後ろへ飛び退く。


息は乱れ。


腕は痺れ。


全身が悲鳴を上げていた。


それでも。


致命傷だけは避け続ける。


首。


心臓。


脳天。


リリアが狙う急所だけは。


何とか回避していた。


「勇者様!」


リリアは嬉しそうに笑う。


「流石です!」


「全然嬉しくないんですよ!」


ミサは叫ぶ。


しかし。


リリアは止まらない。


むしろ興奮していた。


「やっぱり勇者様です!」


「その程度じゃ捕まりませんよね!」


そう言いながら。


リリアは銃剣を口で咥える。


さらに懐から新たな銃剣を取り出す。


一本。


二本。


三本。


そして。


指と指の間へ挟み込む。


右手三本。


左手三本。


合計六本。


まるで獣の爪だった。


「ちょっと待ってください」


ミサの顔が引き攣る。


「何で増えるんですか」


「愛です」


「意味が分かりません」


リリアは満面の笑みを浮かべた。


「勇者様への愛です」


「愛で武器を増やさないでください!」


返答代わりに。


リリアが消えた。


ドンッ!!


空気が弾ける。


瞬間。


六本の刃がミサへ襲い掛かった。


ガギィ!!


ガキィ!!


キィィィン!!


必死に防ぐ。


捌く。


逸らす。


だが。


一本。


また一本。


ナイフへ亀裂が走る。


「まずい……!」


ミサの顔色が変わる。


そして。


決定的な一撃。


ガギン!!


右手のナイフが砕けた。


続いて。


バキィッ!!


左手のナイフも砕け散る。


「あ」


ミサの目の前。


六本の銃剣。


その内の一本が。


一直線に迫る。


避けられない。


間に合わない。


剣先が目前へ迫る。


その瞬間だった。


「雷神砲!!」


轟音。


世界が白く染まる。


ドゴォォォォォォン!!!


圧倒的な雷撃が森を飲み込んだ。


リリアの姿が吹き飛ぶ。


木々が薙ぎ倒される。


土が抉れ飛ぶ。


ミサの髪が衝撃波で揺れた。


そして。


聞き慣れた声が響く。


「よう、小娘」


ミサは振り返る。


そこには。


大きな拳を前へ突き出した男が立っていた。


冒険者ギルドマスター。


ガルド。


「ギルマス!」


ミサが思わず声を上げる。


ガルドは肩を鳴らした。


「なんか妙な気配を感じるから、来て見れば


……狂犬に襲われるとか」


周囲を見回す。


吹き飛ばされた木々。


血まみれのミサ。


そして。


ゆっくり立ち上がるリリア。


ガルドの眉が動いた。


「なるほどな」


「こりゃ面倒そうだ」


リリアは服の埃を払う。


そして。


初めてガルドへ視線を向けた。


その目は。


完全に敵を見る目だった。


「邪魔です」


静かな声。


だが。


殺気は凄まじい。


「その方は勇者様です」


「私の勇者様です」


「誰にも渡しません」


ガルドは数秒黙った。


そして。


ミサへ視線を向ける。


「なあ小娘」


「何ですか?」


「お前」


ガルドは真顔で言った。


「昔からこんな化け物に好かれる体質だったのか?」


「私が聞きたいですよ!!」


ミサの悲鳴が森へ響き渡った。


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