表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

165/359

165話 モリッツァへ戻るぞ、オイ

戻ると決まったからには、動きは早い。


プライベートジェットは見た目こそ現代地球の産物っぽいが、その中身は超科学で作られているのだ。


スピーリヒルからモリッツァまでの距離なんて超科学からすれば大した距離じゃない。


あっという間に目的地付近に到達する事だろう。


パルチまでの移動では、撮影大会の時間を作る為にワザと遅めに飛行していたから、それなりに時間はかかった。


しかし、今回はゆったり移動する必要は無いしな。

スピードは上げて行くつもりだ。


その間に俺は、手短に菜綱へモリッツァでの話を説明した。


菜綱は驚いていたよ。


てっきり、のほほんと新婚旅行とか異世界生活を満喫していると思ってた俺が、まさか、新たな国を建国していて、しかも戦争までしてるなんてな。


でも、その事よりも何より菜綱を驚かせたのは・・・


「はあああぁぁ?!嫁が他に4人居るぅぅぅ!?」


この事であった。


「いやいや、まだ結婚はしてないんだよ、約束してる段階だ」


「でも、するんだよな、結婚」


「ま、まあな」


「なら一緒じゃないか!」


「いやあ、ははは・・・」


しかしこれにはブルーネルからも声が上がった。


「おい旦那様、確か結婚するのはホリー、滝座瀬、三津島の3人だったよな?いくら私が女に寛容と言っても、隠し立てされるのは良い気持ちはしないぞ?」


そうだった・・・


実はブルーネルの妹であるミラとも俺は婚約してるのだ。

しかし、ミラから口止めされていたのだ。


『お姉様をサプライズで驚かせたいので、私の事は内緒にして下さい』


そう言われていた。

その事を忘れて菜綱に4人居ると言ってしまったのだ。


「いやあ、あと1人は・・・『サプラ〜イズ!』なんてな・・・ははは」


「『ははは』じゃないぞ!何がサプライズだあぁ!!」


俺はこっぴどく叱られた。


結局、隠しきれずミラの事を白状してしまったよ・・・


ブルーネルは、まさか過ぎるその事実にそりゃもう驚いたのなんの。


けれど、ミラが奴隷として売られるのを助けたと知ると態度は一変、思いっきり抱きしめられたよ。


「旦那様ありがとう!本当に旦那様は私の英雄様だ!もうこの身も心もとっくに捧げているが・・・来世でも捧げると誓うぞ!」


「そ、そうか」


すると、


ガバッ!


菜綱まで後ろから抱きついてきた。

前から2つ、後ろから2つのむんにゅりとした柔らかいものが俺の胸と背中を刺激した。


そして同時に菜綱の甘い香りがブルーネルの大人な香りと混ざって俺の鼻孔をこれでもかとかき乱した。


あれ、デジャブかな?確か前にもあったぞ?この幸せ過ぎるサンドイッチ!


「おい冷膳、何でお前も抱きついて来る?」


「だって師匠が抱きついてるし・・・背中は空いてるんだからいいだろ?」


・・・ははは〜。どんどん抱きついて来なさい!


しかし、菜綱は抱きつきながら、若干、呆れが混ざった口調で俺の耳に囁いてきた。


「でもまさか滝座瀬と三津島もダーリンの婚約者だなんてさ。あの2人、全然城に戻ってこないと思ってたらまさかって感じだよ・・・そう言えば2人共とんでもなく可愛いよな?ダーリンってば、ちょっと手が早すぎじゃないか?」


「いやいやあの2人はちょっと特殊な事情なんだよ、決して手が早いとかじゃなくてだな・・・」


するとブルーネルがもう片方の耳へ囁きかけた。

彼女の息が俺の耳に当たって、俺の焦る心を(とろ)けさせてくれた。


「冷膳、旦那様はそれだけモテるって事だ。それに手の早さも一級品だ。これからも嫁はどんどん増えるだろう。お前にそれを受け入れる覚悟はあるのか?もし無いなら、この先、旦那様との結婚生活はキツくなるかもしれないぞ?」


・・・俺の手の早さが一級品だって?・・・確かお前の方から俺に手を出したんだよな?ネル!


俺の心の突っ込みをよそに、ブルーネルから忠告された菜綱は語気を強めた。

菜綱が言葉を発する度に、熱い吐息が俺の耳をこれでもかと刺激して・・・ダメだ、心がトロットロだよもう。


「大丈夫。私はもうダーリンのお嫁さんになるって決めたんだから。この世界の常識だって受け入れていかないとだし・・・ダーリンさえ私を愛してくれるなら私はそれで嬉しいんだ。な、ダーリン!」


「お、おう」


・・・『愛してる』か。


そう言われても、菜綱とはまだ出会ったばかりだしさ。

俺の中では、愛してるから結婚するってより、これからじっくりと大切に愛を育んでいくってイメージなのだ。


・・・だから正直、まだ『愛』って感じでも無いんだよな。


≪そんなトロットロになりながら言っても全然説得力ないわよ?≫


・・・ほっとけ!


≪それに、菜綱のほうはもう、カガリへの愛で頭が一杯の状態なんだから、早く応えてあげなさいよ?≫


・・・マジか?俺ってば、そこまで惚れられてるんだ・・・何で?


≪さあ?でも、カガリを愛している限り菜綱はプラスの刺激で満たされる訳だから、精神的ダメージの回復にはちょうどいいじゃない。逆にカガリに裏切られたら、この子、もう立ち直れないと思うけどね≫


・・・なら安心って事じゃん。俺は裏切らないしさ。


2人にサンドイッチされ至福の時を過す間に、プライベートジェットは、いよいよ聖都ミラッツェリアへと到着した。


都を取り囲んでいた我が国の大飛行戦艦隊は、どこにも見当たらなかった。

ステルスモードで透明化してあるのだ。

つまり、未だ厳重に都を取り囲んでいるって事だ。


いつでも戦闘は可能だった。


乗って来たプライベートジェットも、都に着く前にあらかじめステルスモードに切り替えていた。


スピーリヒルの援軍に悟られない為だ。


向こうには、徳森と鈴川がいるからな。


大飛行戦艦やプライベートジェットなど、科学っぽいモノを目の当たりにすれば、警戒をMAXまで強められるだろう。


あの2人がビビって何もせずにスピーリヒル城へ逃げ帰るなんてのは困るからな。


そもそも1万の援軍なんて俺にとってはどうでも良い存在だった。


俺の目的は初めから勇者のみ。

つまり、徳森と鈴川しか眼中にないのだ。


だからこそ、あの2人はここ聖都で確実に復讐を果たしたい。


プライベートジェットは、大飛行戦艦旗艦『スカイムーン』の船内ドッグへ入った。


スカイムーンはモリッツァ側の臨検が終わったあと飛び立たせ、城の上空で待機させていた。


勿論、ステルスモードでだ。


モニターには、

スカイムーンが停泊していた城の庭園が映し出されていた。

それはもう悲惨な程ぐちゃぐちゃになった状態で。


・・・確か、帝室が代々手塩にかけて作り上げた『心の故郷』みたいな庭園だっけ?『ざまぁみろ!』だ!


≪今の発言をソフィアリスが聞いたら悲しむわよ?≫


・・・アール、言っちゃダメだからな!俺への恋心が冷めたらマズイじゃん!


そうなのだ。

俺はソフィアリスに好きになって貰わなければならないのだ。

でないと、彼女の変身を解く事は出来ない。


モリッツァへ干渉した理由の1つに、ソフィアリスを次期聖帝に据える事がある。

最大の目的と言っても良いだろう。


勿論、ホリーの仇討ちってのもあるが、当のホリーが姫の事を1番に考えているのだ。

俺はそれを大事にしたい。


だから出来れば、うだうだ交渉なんかせずに力尽くで現聖帝にはすぐにでも退位して貰いたいと思っている。


まあ、帝位継承問題ってのはデリケートだから実際には全部が全部力技じゃ解決しないんだけどさ。


とにかく、いずれ必ずソフィアリスには帝位についてもらう。


けど、そうなったとき、聖帝の見た目がオークじゃ流石にマズイだろ?


国民感情は最悪になるだろうしな。


そうなれば、国中反発だらけで国家運営は上手くいかないだろう。


それに、単純にあの姿のままじゃソフィアリスが可哀想だしさ。


俺の彼女への印象は文句の付けようが無いくらいに素晴らしい。

素直で純粋だし、慈愛に満ち溢れ、人の痛みも分かるし、それでいて心の強さもある。

まさに聖女に相応しい女性だと思う。


ホリーが命をかけて守るのも納得だ。


そんな彼女だからこそ、早くオークの呪縛から解放してあげたいのだ。


俺達がプライベートジェットから降りると、ランサムが出迎えた。


「よお、ダンナ。色々大変だったみてえだな」


ランサムは俺の脳内チップを通じて、俺がブルーネルを迎えに行ってから今までの事情を既に知っていた。


「まあな。本当に大変だったよ」


「でもよ、新たな嫁を手に入れて来たみてえだし、やっぱダンナは転んでもタダじゃ起きねえな」


「俺が嫁探しに夢中みたいな言い方しないでくれる?偶然だっての!・・・それで、ミラは?」


「ブルーネルを驚かせるとか言って隠れてるぜ?」


・・・おいおい、ミラってば子供みたいだな。可愛いとこあるじゃん!・・・でもさ、もうバラしちゃったんだよな・・・


ブルーネルはブルーネルで、ミラを逆に驚かせようと、プライベートジェットの物置に隠れている。


似た者同士だよな全く。


「ダーリン、こんな凄い船がダーリンのモノなんて、本当に凄すぎじゃん!」


菜綱は大飛行戦艦旗艦『スカイムーン』の広いドッグをキョロキョロと見回していた。


「まあ、最初は驚く事ばっかだろうけど、すぐ慣れるさ。コイツはランサム。俺の手下だ」


「ランサムだ。よろしくな」


「初めまして、冷膳菜綱です・・・って・・・え?その人って・・・ランサム・ジェットリックスじゃないか???」


そうだった。

ランサムは、実在するハリウッドスターの、ランサム・ジェットリックスがモデルなのだ。


「確かにそのランサムなんだけど、コイツも俺が作ったんだよ。だからソックリってだけで本物じゃない」


「ダーリン、人間も作れるのか?!嘘だろ??」


「まあ・・・ここはファンタジーの世界だからな」


取り敢えずそう言ってごまかした。

全く、アールってば、安易に有名人の姿を使うからややこしい事になるんだよ!


そういや、滝座瀬と三津島はランサムの事、知らなかったんだよな。

2人共、日本映画しか見ないらしい。

イケメンアイドルが主演の映画ばっかりだってさ。

そんなイケメン好きなのに俺と結婚なんかして本当に良いの?


俺ってば、イケメンアイドルと対極にいるような見た目なんだけど?

Twitter(物語の更新情報などを主に呟きます)

https://mobile.twitter.com/Kano_Shimari

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ