3話 そして現在
「うぅ、草の匂いするぅ、、、」
匂いだけでなく、頬に触れるくすぐったい感触に、莉緒はゆっくりと目蓋を開ける。
「こ、ここは、、、? あっ!」
直前までの記憶を思い出し、勢い良く上体を起こして、辺りを見回す。
広がるは木々のみ。完全に森である。木しかないし、うす暗い。虫や鳥だろう生き物の鳴き声。
木々の隙間から差し込む光のみでは、昼か夕方か測ることは出来そうにない。
見上げていた視線を下に向けると、近くに倒れている物体が、自分以外に4つ。
「皆!? 大丈夫!? て、え?」
「ん、なにぃ、、、」
「うーん、煩いなぁ、」
「ふぁぁぁ。眠い」
「うわ、何で地面で寝て、、、は?」
顔を見合わせた瞬間、沈黙。
「はぁぁぁ??? 何その髪の色!?」
幼馴染み達だと疑わずに声をかけたが、うす暗い状況が災いして、気付くのが遅れた。
「莉緒ちゃんもだよ!? 白髪じゃん!」
「白髪やめろ!?」
「そういう杏奈は、オレンジだね」
「陽ちゃんは、黒髪かと思ったけど紺ぽい?」
「三谷は黄緑だし」
「天は赤で派手じゃん」
自然と円を作るように集まり、それぞれが目を凝らして相手の髪色を確認する。
顔つきは変わらない。服も最後に着ていた物だ。唯一、なぜか派手髪になっている。
「いや、なんで??? あたし白髪て、年老いたんか!?」
「顔つきは変わってないよ? むしろ、幼さなくなった? 若く見えるかも」
莉緒は自身の白い髪を触って確認する。他の人たちも思い思いに触れている。
「服は同じなのに、鞄はないしスマホもないんだけど!」
「現代人には致命的すぎる、、、」
「つか、目の色も変じゃね?」
「うわ。本当じゃん!」
互いを凝視しつつ、天とののかが見つめあう。
莉緒が4人を見つめると、杏奈の瞳は青、ののかは紫、天は青緑、陽介は黄色。
「皆きれいな色じゃん! ねぇねぇ、あたしは?」
友人たちの変わりように、莉緒は自分はどうかと期待を込める。
「うーん、とね、、、」
「あ、嫌な予感」
言い淀む杏奈と、目をそらす3人に莉緒は何かを悟る。
「、、、黒いね。真っ黒」
「、、、。なんっでだよ???」
世の中、無常である。
***
「てか、マジでどういう状況?」
「森にいる」
「そうだけど、そうじゃない」
莉緒の疑問に天が答えると、即座にツッコミを返す。
他3人もお手上げとばかりに両手を上げて、参ったのジェスチャーをする。
「そもそもさ、ここって本当に異世界なの?」
「木しかないもんな。視界も良くないし」
うーん、と顔を突き合わせる5人。
「ここにいてもしゃーないし、少し歩いてみない?」
莉緒が立ち上がり、背伸びをする。
「本当に異世界と仮定して、静かに行こう。動かないのもそれはそれで危ないし」
「冷静だね」
杏奈の問いに、ストレッチしながら答える。
「女神だの、森で目が覚めるだの現在進行中じゃん。夢ならそれでよし。ちなみに、森で目が覚めるのは異世界物あるあるです」
「そんなあるある、いらんわ」
鋭いののかのツッコミに、莉緒は笑って見せる。
皆が立ち上がり、汚れを払ったり、手足を回したりして体の違和感を確認する。特に問題はない。
「、、、なんか。俺、身長が縮んだかも?」
「え、あ言われれば?」
「陽ちゃん、もともと高いじゃん」
視線が陽に集まる。本人は手を開いたり閉じたり、辺りを見回したりして違和感に戸惑っている。
「体が気持ち軽くは感じるかな?」
「なんか、みんなの顔が若く見えるかも?」
杏奈とののかも違和感を口にし、首をかしげる。
「そういえばさ、女神との会話の内容、覚えてる?」
屈伸運動をしながら、莉緒が問いかける。
「あー、何かステータスがって言ってなかった?」
「スキルくれって、莉緒ちゃん頼んでたもんね」
「あれは頼んでた、なのか?」
「、、、恐喝」
「だまらっしゃい!」
もしかして、と思考を巡らせた莉緒は一拍おいて顔を上げると、わざとらしく咳払いし、大きく息を吐く。
4人に見つめられる中、両手を前に突きだして叫んだ。
「ステェェェタス! オープンっ!!!」
作者:5人のプロフィールはそのうち出せたら出します。




