-未来の星は薄ら輝く-
「さーてどうしようかな……」
「ふーん。殺すのか?」
「あれ?どうして倒れてないの……? まさか無能力者?」
「あぁ。俺は『力』なんて持っていないさ」
「へぇ……それなのに私に立ち向かうんだ? 君、死にたいの?」
「いや、死にたくはないな」
「この地獄を見てよくそんなことが言えるなぁ……ちょっと驚きかも」
未来と中村の目の前に広がるのは地獄だった。
未来のなんらかの『力』によって倒れた真結と楓汰。
そして、未来に毒を盛られ殺された山本。
確かに無能力者の俺じゃ、なにもできないだろう。
でも、どうにかしなければならない。
大切な親友を殺されて、許してやるような俺ではない。
俺は腰に下げた小さなポーチから、2本のシリンダーをこっそりと抜き取った。
「お前は罪を犯した」
「はぁ? 何言ってるの? ほんとに殺しちゃうよ?」
「まずひとーつ俺の親友を殺したこと。ふたーつ死人のくせにルールを破って蘇ったこと。そして最後にみーっつ俺をただの現代人と勘違いしてたこと」
「な、何を言って……きゃあ!?」
俺は1本目の青色の液体の入ったシリンダーを真下に叩きつけ、黄色い液体の入ったシリンダーを未来に投げつける。
パキンッと青のシリンダーの砕ける音と共に、俺と真結、楓汰、そして山本の体が青く霞みだす。
「君……未来人……!?」
「正解。貴重な薬品だから、ちゃんと苦しんでくれよ」
「この……ッ!」
「『空間転移』『浄化の光』」
フィンッと音が響き、俺たちの姿が掻き消える。
それと同時に黄色い液体のシリンダーが空中で炸裂。
シュバァッ!と強烈な光を放った。
この光は1度死を経験した者の魂を焼き払う力を持っている。
これが進歩した先の技術力だ。
『空間転移』の方が少し速かったため、結果を見届けられないのが残念だが……
さて……このバカを起こさねぇとな……
俺は『空間転移』した先、自分の隠れ家のベッドに山本を寝かせ、真結を椅子に座らせた。
楓汰はそこら辺に投げ捨てておいた。
「山本……助けてやるから……たとえ俺が犯罪者になっても……」
ポーチから緑色に輝くシリンダーを取り出す。
これは死者を蘇らせる薬だ。
けれど、死者を蘇らせることは未来の法律で禁止されている……
それでも俺はその液体を死んだ山本の口に流し込む。
山本の体が淡く輝いたと同時に山本のまぶたが開いた。
「なか……むら……?」
「山本……!」
「おいおい……なに……泣いてんだよ……」
自分の目から涙が零れていることに気づく。
それを拭ってる山本を見ると、真っ青だった顔が、徐々に血の気を増していた。
よかった……
安心していたのもつかの間、心臓を握り潰されるかの様な痛みが俺を襲う。
「グッ……アァァァァッ!!」
「中村……お前どうした……?」
いかに未来といえど何の犠牲も無しに生死を操るのは不可能。
先ほどの緑色の薬の正体、それは死んだ人間を蘇らせるのではない。
『使用者の寿命の半分を対象者に与える薬』なのだ。
俺は現在13歳。
平均から考えて約70年生きる未来人の寿命の半分、35年分の寿命を山本に与えたことになる。
これでいいんだ……これで……
そして俺の意識は闇に落ちた。
目を覚ました楓汰はあたりを見渡して目を見開いた。
「どこだ……ここは……?」
「中村の秘密の部屋だよ……楓汰」
「山本……!? お前……なんで!?」
俺の小声に応えたのは他でも無い、死んだはずの山本だった。
山本も自分の身に何が起こったのかよくわかっていないらしい。
気付けば何故か生きていて、目の前に中村がいたそうだ。
その中村は今もまだ目を覚ましていない。
「……!? 未来は……!? 未来はどうなった!?」
「俺に聴かれても困るよ。俺は暗い空間を浮いてたから」
「そっか……ごめん」
「気にすんなよ!お前は悪くないさ」
ゴソッという音を聞いて、俺は驚いて音の鳴った場所を見た。
「ん……ここは……?」
どうやら真結も目を覚ましたらしい。
俺と山本は真結に事の顛末を説明し、真結もそれを理解した。
改めてあたりを見渡すとここが本当に現代なのかわからなくなるような場所だった。
白く艶やかな壁、天井。
透明のガラスのような物に浮かび上がる光の文字。
てっきり未来に来たような気分になる。
「今まで黙っていてすまない。全部話す。全部な」
目を覚ました中村は鋭い目つきでそう言った。
「俺は未来からきた未来人だ。この部屋にあるものも全て未来の技術。俺は未来では薬学者をしていた。そして、今ここにいる目的はひとつだけ。未来の世界で脅威となった『澤野 未来』の抹消だ」
中村は淡々と述べた……
第13話です!
また遅れてごめんなさい!
しかも、短いですね(´・ω・`)
予定では残り2話で完結。となっております。
あと少し、がんばるのでよろしくお願いします。




