-友という名の星は共に輝く-
しとしとと雨が降っている。
未来は傘もささずに軽いステップを踏みながら道をゆく。
外は暗い。
明かりは街灯とコンビニから漏れる光だけ。
「全部私の思い通りになるんだ・・・ッ!」
私は視線をコンビニの前に座るギターケースを持った男に注いだ。
「なんだか嫌なことがあったような顔をしているね。」
私は男に向って言った。
あの男には私の事が少年、楓汰に見えている。
まぁ、これも『力』があるからなせる技なのだが。
「子供が大人に言うことじゃないだろう。お前には関係ない。」
私は背中に隠した手で『ナイフ』をクルクル回していた。
これでもっと面白くなる・・・!
楓汰はもう私のものなんだ・・・!
「おじさん、冷たいなぁ。だから人を殺せるの?」
私はあくまで優しく言ったつもりだったが男は怯えるような声で驚いた。
「なッ・・・!」
そして、私は男との間合いを一気に詰める。
ストンッ。
あぁ、なんて軽いんだ・・・
男が驚いて自分の胸に生えたナイフを見た。
吐血しながら、倒れ込む。
また殺しちゃった・・・ふふ・・・
私は喜びに似た興奮を味わいながら言った。
「明日葉を殺した罰だ。地獄に堕ちろゴミが・・・!」
男の命は少年に化けた少女によって絶たれた。
楓汰が目を覚ますと、そこはサイレンの鳴り響く家だった。
何事かと思って体を起こすと同時に、部屋に数人の警官が入ってきた。
「渡辺楓汰だな。お前を殺人容疑で逮捕する。」
警官が淡々と述べた。
は・・・?殺人・・・?
こいつは何を言っているのだろうか。
「俺はそんなことしてないぞッ!」
必死で叫ぶ。
だが、警官は胸ポケットから1枚の写真を取り出して、俺に見せつけた。
コンビニの前でナイフに刺されて倒れている男と・・・『俺』・・・
「これを見て同じことを言えるか!」
俺はこんなことしてないぞ・・・
何かがおかしい・・・
考えるよりさきに、俺は逃げることにした。
罪が重くなるのは覚悟の上だ。
けれど俺は何もしていない。
換気のために開けていた窓を確認。
俺は詰め寄る1人の警官に予備動作なしに鳩尾に一撃。
「ぬぅ・・・!?」
他の警官が怯んだスキを見て俺はベランダに出た。
「待ちなさい!これ以上罪を増やす気かッ!」
殴られた警官が叫ぶ。
「俺はやってない!それだけは本当だ!」
俺は叫び返してベランダから飛び降りた。
家の周りにパトカーと数人の警官が見えた。
そして、見た。
『拳銃』をこちらに向ける1人の警官を・・・
おいおい・・・!嘘だろ・・・ッ!?
俺は隣の家の屋根に着地。
そのまま隣の家へと走って逃げる。
パンッ!と乾いた音が響いた。
そして、激痛。
体のバランスが崩れて、屋根から落ちる。
足を撃たれたようだ。
衝撃を覚悟したがそれも裏切られた。
ボフッと柔らかいものに受け止められた。
「バーカ。助けに来たぞ。」
声の主は山本。
手には大きめのクッションを持っていた。
なるほど。これに受け止められたのか。
「でも、どうして・・・?」
「当たり前だろ。明日葉ちゃんの敵討ちもあるけど、俺ら友達だろ?」
山本はニコニコと笑いながら言った。
「あ、ありがとう・・・」
「どーいたしまして!だけど、礼を言うのは俺だけじゃないぞ。真結ちゃんもことりちゃんも、ついでに中村も手伝ってくれてる。」
「こ、ことりも?」
「おうともさ。楓汰が危ないって言ったら助けてくれたよ。まったく、いい子だよな!」
「そうなのか・・・でも、足をやられて歩けないんだ・・・」
俺が足を指さして言うと、山本は俺に背を向けてしゃがんだ。
「ほれ。乗れぃ!」
「お、ぉう。」
俺は遠慮がちに背負われると、山本はトコトコと走り出した。
「お、重い・・・ッ」
山本は少し走っただけでぜえぜえ言っている。
「悪かったな・・・!」
うまく回り道をし、警察を巻いたようだ。
そのまま俺たちは研究室に向かった。
「遅いよ・・・!どれだけ待たせるの!」
ことりが怒ったように言った。
「ごめん・・・」
俺はその場にいた山本と中村に運ばれて研究室内のベッドに寝かされた。
「幸い弾は貫通してるな。それでもよく平気でいられたもんだ。」
中村はそう言って俺の足に包帯をグルグルと巻き付ける。
さすが医者の息子。手馴れてる。
最後にぺしっと足を叩いた。
「いづっ!」
俺は思わず声を上げる。
「へっ。ざまぁ。」
中村は鼻で笑った。
ひ、ひどいやつだ。
パンパンパンと山本が手を叩く。
「よーし。楓汰が怪我してるけど、大丈夫でしょ。これから、なんとかする会を始めようか!」
山本はニコッと笑って言った。
なんとかする会って・・・
「『力』は使わない方がいい。全部俺の幼馴染みの操作下にある。」
俺は普段より低い声で言った。
真面目に言ったからではなく、足が激痛だからだが・・・
「えぇ!?まじかよ!いけると思ったのに・・・」
山本がわかりやすくテンションを落とす。
まぁ、無理はないだろう。
俺たちが特別な何かを持っているとしたらそれは『力』だけなのだから。
そんな事を考えていると、突然ボーッとしてきて意識が危うくなってきた。
「おい楓汰、大丈夫か?」
中村の心配そうな声もどこか遠くに聞こえるようだ。
そして俺は意識を落とした。
待っていたのは見慣れた闇ではなく、眩しい、ひたすらに眩しい光だった・・・
第11話です。
大変長らくお待たせいたしました!
この作品は作者がその場で思い立ったものを書いているので、正直いつ完結するかわかりません。
それでも、完結まで読んでくださる方がたくさんいてくれたらいいなと思って頑張っております。
これからもよろしくお願いします!




