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-狂気の星は無力に輝く-

 

 目が覚めた渡辺楓太は、泣きすぎて疲れた目をこすりながら立ち上がった。

 明日葉を殺したやつを絶対に許さない・・・!

 俺は復讐を誓うのだった。




「楓太のやつ、大丈夫かな・・・」


 山本翔馬はボソッと一人でつぶやいた。


「俺には何も出来なかったのか・・・?『未来を見る力』を持ってるのに・・・?」


 俺は自分の無力さを恨んだ。

 自分が『力』を制御できていれば明日葉ちゃんは死ななかったのに・・・。

 研究室の机を思いきり叩き、涙を流した。




 遠野真結は自室に引きこもり、部屋の隅で三角座りをして膝に顔を埋めていた。


「私が・・・私のせいで・・・明日葉が・・・あぁッ・・・!」


 私は自分の『力』を恨んだ。

 そして、自分が起こした行動を恨んだ。

 世界の全てが憎たらしく感じた。


「明日葉・・・ごめん・・・」


 真っ暗な部屋の中、私は涙とともにそー呟いた。




 楓太は考えた結果、『力』を使うことに決めた。


「俺の『力』があれば犯人を見つけて、田中を殺す前にどーにかしてやるんだ・・・」


 そして、俺はベッドの上で目を閉じた。




 久しぶりに見る世界だった。

 真っ暗な中に浮かぶ6つの数字の塊。

 そして、懐かしい幼馴染みの未来みくの声。


「久しぶりだね。楓太。思い出してくれたんだね。」


 未来は愛おしそうに言った。


「あぁ。思い出した。でも、今はそんなことどーでもいいんだ。明日葉を・・・ことりを・・・田中を・・・救わないと・・・」


「ふーん。そっか・・・。」


 未来はつまらなさそうに言った。


「それはできないよ。」


 未来がそう言った瞬間、数字たちが消えていった。


「なん・・・で・・・?」


 俺は脱力感に襲われながら言った。


「決まってるじゃない。私を助けてくれなかったからだよ?」


 未来はいたずらっぽく笑った。


「あ、あぁ・・・」


 そうだ、俺は真っ先に未来を助けなければいけなかったのだ。

 なのに、今は明日葉たちを優先しようとしている。

 それで助けてくれ、なんて虫のいい話だ。


「見損なったよ。楓太。君は小さい頃は私のヒーローだったのに・・・今じゃかえって惨めだよ。」


 未来は懐かしそうに言った。


「君に『力』を与えたのが間違えだったのかもしれないなぁ。」


「与えた・・・お前が・・・?」


「そー!私が『力』の根源!私こそが『力』の支配者!」


 未来は手を大きく広げてそー言った。


「お前が『力』を制御していたのか・・・?」


「そーだよ。真結ちゃんの『未来を変える力』を操って、明日葉ちゃんを殺したのも私。」


 未来の予想外の一言に俺は言葉を失いかけた。


「未来・・・お前は一体何をしているかわかってるのか・・・?」


「当たり前じゃない。楓太。あなたは私のもの。私だけのものなんだから。昔からそーだったじゃない?」


「違うッ!俺はお前のものなんかじゃないッ!」


「んーん。私のものよ。だって、私がいないと『力』を使えない。『力』が使えないって事は、あなたには何も出来ないの。わかる?楓太。あなたは無力なの。」


「あ・・・あぁ・・・」


 未来は俺の方へ近づいて、頬に手を添え、上を向かせた。

 そこには子供の未来が成長したらこーなるだろうということを具現化したような可愛らしく、幼さの残る未来の顔があった。


「ほら。私のものになろ?」


 そー言って、未来は俺にキスをした。


「少し無理矢理だけど、これであなたは私のもの。やっと、私だけのものに・・・!誰にも渡さないから!」


 未来は楽しそうに、嬉しそうにそー言った。


「いつから・・・」


「んー?」


「いつからそんなやつになったんだよッ!未来ッ!」


 俺は叫んだ。

 だけど、未来は怯む様子を見せずに、


「昔からだよ。楓太。」


 笑顔でそー言った。


「あなたは私のものだから、私の『力』を使わせてあげる。ほら・・・」


 そー言った未来の手のひらに6つの数字が現れた。


「さぁ。いってらっしゃい。」


 俺は無意識にその数字に触れていた・・・




 目を開けると、そこは学校だった。


「戻ったのか・・・?」


 俺は日付を確認すると、戻っていることに確信をもった。

 やらねばならないことがたくさんある。

 未来のことなんて気にしている場合じゃない。

 そー思って、聞いたことのある授業を聞いた。

 



 学校が終わると、俺は田中の元へ向かった。


「田中はいるか?」


 俺は1年4組の教室の前でそー言った。


「なんだ。負け犬じゃないですか。僕に何が用でも?」


 一々むかつくやつだ・・・

 できれば助けたくないが、ことりのことがかかっているのだ。

 仕方ないが助けるしかない。


「少し付き合ってくれ。お前に言わなきゃいけないことがある。」


「いいですけど、ことりを盗られたから暴力を振るうとかはなしでお願いしますね。」


 田中は不気味に笑った。




「お前、『力』をもっているな?」


「ッ!な、なぜそれを・・・?まさかお前もッ!?」


 いきなりの俺の質問に、田中は明らかな動揺を見せた。

 やはり『力』を持っていた。

 この際能力はどーでもいい。


「わかった。なら、お前は明日学校に来るな。来たら殺されるぞ。」


 俺は真面目な顔でそー言った。


「は?ば、馬鹿言うなよ!ことりを盗られたからって頭狂っちまったのか!?」


 やはりめんどくさいやつだ。


「なんと思ってくれても構わない!これはことりのために言っているんだ!お前が死ねばことりが悲しむ!わかるだろうッ!」


「ひ・・・ッ」


 俺の怒ったような声に田中が怯んだ。


「わ、わかった!明日は行かないから!」


 田中はそー言って逃げていった。




 翌日、俺は早起きをし、朝から学校を見渡せる廃墟のマンションの頂上にいた。

 ここなら殺人犯を見つける事ができそうだからだ。

 しばらくして登校時間になった頃、俺はマンションの階段を登る足音に気がついた。

 俺は急いで物陰に隠れて、その正体を見た。

 歳は30歳ほどで見た目はひょろそうでとても殺人犯とは思えない風貌だった。

 ほんとにあいつが・・・?

 すると、男が持っていたギターケースを地面に置き、中から黒々と輝く『スナイパーライフル』を取り出した。

 ッ!

 こいつだ。

 こいつが田中と明日葉を殺したんだッ!

 俺は勢い余って男に突撃しようとして、相手が武器を持っていることに気が付き、見ていることにした。

 男はスコープを覗いていた。


「あれ?おかしいな。ターゲットがいない・・・風邪か何かで休みか。まぁいい。またやればいい話だ。」


 男はスナイパーライフルを片付け、足早にその場を去った。


「顔、見た目、声。全部覚えた・・・次に会ったときは許さないッ!」


 俺は即時に復讐できなかった無力さを強く噛み締めた。




 俺の計画は上手くいくはずだった・・・


 未来が邪魔をしなければ・・・


第10話です。


お待たせいたしました!


もうすぐ完結を予定しております。


これまで読んでくださった皆様に心からの感謝を。


次話もよろしくお願いします。

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