一難去ってまた一難
トリックorトリックってことで、お菓子ください。
「ふぅ〜〜」
ココアをパソコンの前に置き、ゆっくりと椅子に座る。 ココアが湯気をだし、ゆらゆらと動くカーテンの奥から輝く夕日の光を浴びながら俺は目の前の難題に目を向ける。
御堂夕陽【初めまして、冬先生。NEO所属2期生の御堂夕陽と申します。 今回連絡させて頂いたのは──】
読むことすらしんどい。
要はコラボのお誘いで、永遠との配信が楽しそうに見えたらしく、俺をコラボに誘ったらしい。
「どうしてこうなったのかねぇ⋯⋯」
まだ永遠とのお料理配信すらやっていないのに、次のコラボはさらに別で、個人的に見てたVTuberの方から連絡をいただけるとは。
「嬉しいのか嬉しくないのかわかんないな」
震える手でココアを飲んだが、思ってたより熱くて死ぬかと思った。 前世の俺はそうでもなかったのに、今世の俺は猫舌らしい、これは困った。
「あ〜〜どうしよう」
正直断る選択肢とかはないし、そもそも断るとか恐れ多くて無理なのだが、また別の女性の方とのコラボとなると緊張で死んでしまいそうになる。
「まぁ連絡は返すけど⋯とりあえず、いつかだけでも──」
俺は連絡を数分かけて返してホッとしていると、あっという間に返事が来た。
御堂夕陽【ありがとうございます!直近で空いてる日はありますか?いつでも合わせるようにします!】
少し崩れた文に違和感を覚えるが、恐らくこのメッセージは御堂さん本人が打っていて、最初のはマネージャー⋯ということだろう。
「えっと、基本いつでも空いてるからいつでも大丈夫です⋯っと」
御堂夕陽
【じゃあ明日か明後日なんでどうですか?ワタシもちょうど空いてますので!】
「はや!」
言ってしまった手前もうどうしようもないんだけど、1週間後とか1ヶ月後とかだと思ってた。
「まぁ、いっか⋯⋯」
今後の話なんて未来の俺に投げ出せばいいし、きっといい感じに未来の俺が何とかしてくれるだろう、たぶん。
「ちょうど何描こうか悩んでたし、いい機会だから御堂さんも描いてみるか⋯⋯」
ちょうどハロウィンが近づいてきていることだし、ハロウィンチックなものにすることにした。
「ん〜〜!そろそろご飯食べようかな」
絵を描き始めてから3時間、そろそろ集中力も切れできたことだし他のことを先に済ませることにし、とりあえず出前を開く。
「なんでもいいけど、どれにしようかな」
寿司もいいけど、牛丼とかもありかもしれない⋯なんてことを考えていると、通知音が鳴り、それを開いてみると夜空ノからだった。
夜空ノ永遠【今何してますか?】
冬【夜ご飯何にしようか決めてたけど⋯どうかした?】
夜空ノ永遠【ちゃんと栄養あるのにしてくださいよ⋯?】
【いえ、特に用事があるわけではないのですが、何をしているのかなぁ⋯と思いまして】
冬【言った通り夜ご飯決めてたけど⋯何かおすすめあったり?】
夜空ノ永遠【おすすめですか?】
【では和食店のとかはいかがですか?私としては自分で手作りしてきちんと食べて欲しいところなんですけど⋯⋯】
冬【絶対無理だね、ありがとう永遠】
「確かにあんまりそういうのは頼まないし、ありかもしれないな」
さっそく美味しそうなものを探しにアプリを開き、適当に美味しそうなものを頼んだ。
「そういえばコラボするったって何するんだろ、雑談とかなら俺喋れないけど⋯⋯」
もし雑談なのなら会話デッキの準備がいるし、聞いておいた方がいいか。
冬【聞きそびれていたのですが、コラボ配信って何をするのでしょう?】
御堂夕陽【あ、決めてませんでした⋯⋯冬さんってゲームとかってしてたりしますか?】
冬【そこそこしてますよ】
御堂夕陽【じゃあマイクラをしませんか?マイクラなら冬さんがもしやっていなくても私も経験者ですので教えれますよ!】
冬【ではそれで。やったことは無いので、色々教えてもらえると助かります】
御堂さんに教えて貰えるなら心強い。 この人はよくマイクラをしていたのは知っているし、マイクラをしたことない俺でもスムーズに進めれる。
「あ、出前きた」
ゲームならきっと俺も少しぐらい話せるだろうし、まぁなんとかなるだろう。
俺は玄関まで出前を受け取りに行きそれを食べてから満足して寝た。
「よーし、イラストかけたーっと」
時間にして7時間ぐらいだろうか、やはり絵は心を落ち着かせてくれる。
明日御堂さんとのコラボがあるという現実からも逃げられるし、このイラストをSNSに上げると褒めてくれる人も一定数存在している訳で、モチベも消えることはあんまない。
「あ、告知してる」
俺が絵を上げる10分ほど前に御堂さんが明日俺とのコラボを告知しているようで──
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御堂夕陽☀️NEO2期生!
ついに可愛い声と噂な冬先生とコラボします!!
明日の19:00時からやりますので、リスナーの皆さん是非良かったら見ていってください!!
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夜空ノ永遠☆NEO3期生
え?聞いてないんですけど!?!?
夕陽先輩!!?????
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「⋯⋯」
なんか変なのが見えた気がするし、さっきから通知が鳴っているのはきっと気のせいなのだろう。
「そ、それよりそろそろ外に出かけようかな⋯!!」
俺は急いで準備して、返事をしない言い訳を探しに外へ逃げ出すように出た。




