下準備という名のおデートは秘密裏に?
「それじゃあ雪さん、行きましょうか」
「あっうん」
桜さんからコラボ後すぐに『2日後空いてますか?』と聞かれ、素直に空いていると言ったせいでお料理オフコラボのための買い出しに行くことになった。
「フライパンとかはさすがにあるんですよね?」
「えっ、ない⋯けど?」
「⋯⋯」
俺の家でオフコラボをすることなったのだが、基本俺は弁当とか出前とかで済ますタイプだから調理器具は一切なく、あるとしても鍋とかしかない。
「雪ちゃんの生活習慣がわかった気がします⋯」
「え? 雪ちゃんって⋯⋯?」
「お料理器具さえない雪さんなんて雪ちゃんでいいんです!さぁ、行きますよ?雪ちゃん」
「あっはい⋯⋯」
腕を引っ張られるようにお店の中に連れられて⋯⋯そんなことがどうでも良くなるぐらい距離がやたらと近い気がするのは気のせいだろうか
「あの、桜さん近くない⋯?」
「私の名前は小春です」
「え?あぁうん、もちろん知ってる⋯よ」
「⋯むぅ、わざとしてますよね?」
「?」
特にいたずらをしているつもりもなかったんだけど「もういいですっ!」と拗ねられてしまった。
名前はもちろん覚えてるし、なにがご不満なのだろうか。
「あ、そういえば今日は何を買うの?」
「⋯⋯」
「桜さん?」
「こ、小春ちゃんって呼んでくれたら教えてあげます」
「えっ」
俺の正面に立ち、両手を繋ぎお願いような上目遣い⋯⋯何この生き物可愛いの塊か⋯?
じゃなくて、下の名前で呼ばなきゃ行けないのか俺!? でも言わないとこの様子じゃ本当に教えてくれなさそうだし⋯⋯桜さんも今か今かと頬を膨らませながら俺を見つめてるし⋯⋯
「わ、わかったから⋯こ、小春ちゃん?」
「〜〜!はいっ!ってなんで顔を逸らすんですか⋯!?」
「な、なんでもない⋯」
小春ちゃんの瞳から不満の二文字の視線を当てられたが、逃げるように先に進むとなんとか大人しく着いてきてくれた。
これ以上は俺の心臓が持たないから、ほんの勘弁して欲しい、これ以上は恥ずか死ぬ!
「ママってほんとに料理しない人なんですね⋯」
「だ、だってめんどくさくない?」
「確かにそう思う時もありますけど、楽しいが勝ちませんか?」
「絶対ないかな⋯」
小春ちゃんは料理が好きらしく、よく美味しそうな手作り料理画像を俺に送り付けて俺の胃袋を破壊しに来る。
美味しそうで羨ましいのだが、お腹が空くのでほんとに深夜だけは許して欲しい、何度出前を取ろうとしたことか。
「まぁでも、今回はお料理配信の分だけなので少なく済みますけど、いつかもっと買いに行きましょうね?二人で」
「え?あ、うん、お願いしようかな⋯?」
やけに最後の二人でを強調しているように聞こえた気がしたけど、きっと気のせいだろう。
「肉じゃがを作るんだったよね、私はなにをすればよろしくて⋯?」
「えーっと、お肉と野菜を切ってもらおうとは思っていますが⋯他のことはその時に決めませんか?」
「あ、うん、私は料理できないから全部任せるね」
「はい、私に全部任せてください」
なにか含みがある気がしてならなかったけど、勘違いだったら泣いちゃうから聴き逃し、俺たちは⋯というか小春ちゃんが勝手に手を繋ぎ雑談を交わしながら歩いてった。
女の子って友達とは手を繋いで歩くのだろうか⋯今日一日中繋がれているんだが⋯⋯?




