1度したことをもう一度するのは初めての時より簡単?
『冬さん!初めまして!!』
「あ、は、はじめまして⋯?」
元気な声と共に可愛らしい陽気な声がヘッドホンを通じて耳に伝わり、一瞬ビクッとしながら挨拶を返す。
『御堂夕陽です!気軽に夕陽って呼んでもらえると助かったりしますよ!』
「じゃあ⋯夕陽さんで」
『はい!』
普段心の中で呼んでいる分、下の名前で呼ぶのは永遠ほど抵抗感はなく、まぁそれでも緊張はするけどぎり呼べた。
配信直前、少しでも仲を深めようということで夕陽さんから通話の招待が来た⋯⋯というのが今の状況だ。
「あの⋯もしよければ、普段通りにしてもらっても構いませんよ」
『えっ、いいんですかぁ!?』
「えっはいどうぞ」
以前配信で夕陽さんは敬語が苦手で、タメで話すのが好きだと言っていたし、それで話しやすくなるのなら俺としても助かる、情けないことながら話題提供できないから⋯⋯
『ではふゆちゃん!私もタメで話すから、ふゆちゃんもタメでいいよ?』
「それはちょっと⋯⋯」
距離ちっか、永遠とは違う意味で陽キャだな⋯
『ざんねん、でもいつでもタメにしてもいいからね!あ、そうだ!永遠ちゃんと猫カフェに行ったって聞いたんだけど、ほんと?』
「え、知ってるんですか?」
『まぁね!!私永遠ちゃんとは仲良くしてあげてるし、最近事務所ですれ違った時に沢山聞かされちゃったんだよね⋯⋯』
自慢げで楽しそうに話してたのに急に声が遠くを見つめるような声になってしまった。 多分耳が痛くなるほど猫カフェでの話を聞かされたのだろう、可哀想に。
でもそれだけ楽しんでもらえていたと思うと夕陽さんには悪いけど悪い気はしない。
「永遠ってちょっとすごい時ありますもんね⋯」
『そうそう!ほんとだよ!普段は大人しくて可愛くて綺麗なのに、好きな話になると急に饒舌になって止まらないんだよねあの子!』
「そう⋯ですね」
距離感の話をしたつもりだったんだが、また知らない1面を知ってしまった。
夕陽さんって結構話しやすいタイプだし、案外すぐ緊張せずに話せれるようになるかもしれない⋯⋯いや、無理な可能性も充分あるが。
『さてふゆちゃん、マイクラはどれぐらい知ってるの?わかんないなら私が1から全部教えてあげよっか!?なんならお姉ちゃんって呼んでくれてもいいんだよ?』
「いや絶対いやです⋯⋯軽くルールというか、なにをするゲームかぐらいは理解してますよ」
『えー残念、お姉ちゃん呼びはまた次回のチャンスを⋯⋯』
「え絶対嫌ですからね⋯!?」
『半分冗談だよ〜』と笑いながら話す夕陽さんに怯えながら、配信開始時間までそんな感じで二人で雑談を交わした。
『そんなわけで!NEO所属の御堂夕陽です!』
《なにがそんなわけで⋯?》
《今日も元気でえらい》
《沢山元気でえらい!》
『はい!今日も元気な私と遊びましょうってことで今日は冬ちゃんをお呼び出来ましたよ!』
「え?あ、お呼びされました、冬です」
《草》
《冬ちゃん!?》
《もう二人共面識あったんだ》
《お呼び出されていいのか先生》
《初めて声聞いた!》
『そうそう、配信前にふゆちゃんと少し話して、それはもう仲良くなったからこの呼び方を許されたわけなのですよ』
「え?そ、そうなの??」
『まぁまぁ、私達がこれから大親友になる物語は置いておいて、今日はマイクラをするんだよね、ふゆちゃん』
「え、はい」
《いつもの3割増でテンション高いな夕陽ちゃん》
《冬先生が夕陽ちゃんのゴリ押しに呑まれてる⋯》
《耐えてけ冬先生》
《頑張って冬先生》
雑談もほどほどに、パソコンに移るマイクラの世界へと向けると、夕陽さんのスキンが初期スキンとは違うまるで夕陽さんそのもののようなスキンになっていた。
「すごい、夕陽さんそのスキンなんですか?」
『ふふん、いいでしょっ!リスナーさんが私のスキン描いてくれたからパクっちゃった』
「へえぇ〜⋯⋯」
夕陽さんの姿はサイドバングに椛色が入って、他の場所には薄橙色の2色の髪色を背中まで伸ばした綺麗なツートンカラーで、瞳は夕日を表すような、夕陽さんに似合う赤とオレンジ色の多色瞳。
服装には赤と白の和服を着込んでいて、遠目で見ると巫女服に見えなくもない?
『ふゆちゃんは自分のスキンを作ってみないの?』
「自分のですか⋯マイクラをする機会も少ないと思いますので、いいかなと⋯⋯」
『えー!これから沢山私とやるでしょ!?』
「???」
そんな約束した覚えもつもりもないんだが?夕陽さんのコメント欄を見てみると、《うちの子がすみません⋯⋯》とか言われてる始末だし。
「あはは⋯そういえば夕陽さんってこういう人でしたね」
『うん?』
「いえ、なんでも」
さて、と。
そろそろ画面の方にも集中してやらないとこのまま雑談してたら配信が終わってしまう。
「ところで、今回は何をするんですか?」
『うーんと、とりあえず家作るでしょ?その後はまぁなんかやろう!』
「あ、はい」
『次回もあるからのんびりしよう!さぁ木こりの時間だよふゆちゃん!』
木こりをして、必要なものを作ってから夕陽さんと一緒に家を作るのに良さそうな土地を探し回ったりしたのだが⋯⋯
『あみてみてふゆちゃん、オオカミ!』
「あ、ほんとですね⋯⋯って夕陽さん!?」
『あわわわ間違えちゃったああああ!!!』
夕陽さんがオオカミに攻撃をしてしまい、目を赤くしたオオカミの群れが逃げ惑う夕陽さんを追いかけ、何度も攻撃される。
『たすたすたす助けてふゆちゃん!!』
「え助けてって言ったってどうすれば!?」
《もう大混乱なんだけど》
《夕陽ちゃんってこういうの多いからね⋯》
《トラブルメイカー夕陽》
『リスナーもふゆちゃんも見てないで助けて!?体力なくなるなくなる!もうやばい!!』
「ふはっ⋯ふふっ⋯⋯」
堪えきれず、オオカミに追われる夕陽さんをみてお腹を抱えながら笑ってしまった。 夕陽さんごめん、申し訳ないとは思ってないけど謝っとこう
夜空ノ永遠《えちょっと!?ママがこんなに楽しそうに笑ってるところなんて私ですら聞いたこと無かったんですけど⋯!?》
《なんか娘来てて草》
《画面の前でぷくーっと頬膨らませてそう》
『死んだぁ!?』
「っ、くくっ⋯⋯だ、大丈夫ですか?」
『ちょっとふゆちゃんいつまで笑って⋯!?もう、せっかく今日はお姉さんなところ見せようと思ったのに!!』
「今日も私にお姉ちゃんって呼んでもいいって言ってましたもんね」
『それは内緒話だよふゆちゃん!?』
笑いすぎて流れてきた涙を拭きながら夕陽さんにさっきまでの暴走の仕返しをし、まぁまぁと言いながら夕陽さんを迎えに行った。
夜空ノ永遠《私と話す時こんなに楽しそうに喋ってもなかったのに⋯⋯》
《娘が大ダメージ受けてますよ冬先生!》
《草》
「でも、こんなに夕陽さんと話せてるのも、全部永遠のおかげだよ?」
夜空ノ永遠《⋯⋯》
《娘沈黙してます冬先生!》
《他の配信枠でいちゃこらすないいやもっとしろ》
《どっちかわからんやつもいますと》
呑気に話しているが配信開始から30分、まだ雑談をして木こりをして夕陽さんが狼に戯れただけで、家を作れそうな場所すら見つけておらず、このコラボはまだまだ続きそうだった。




