16話
何度も記憶が消えれば良いと思った
でも、消えて欲しくなかった
子供達が大好きだから消したく無かった。
忘れたいと思う事も苦しかった。
冷静さを失い
最後にあんな死に方をしてしまったから
後悔と未練だけが残る。
入園式、これからの子供達の未来
私が居なくなった後の生活。
最悪な母親だったかな…
私は美味しいご飯を食べて良いのだろうか…
子供達にも良い物を食べさせたかったな…
着飾って良いのかな
もっと子供達に色々な服を買いたかった
ふとした瞬間に思う
私は幸せになっていいの?
私は死を選べない。
死んでもあの子たちに会えない。
私を大切にしてくれた
今の家族。
悲しませたくない。
後悔などさせたくない。
だからーー
傷を塗り潰して平気なフリをして逃げて
また塗り潰しては生きてきた
そんな自分が許せない。
『ーーー待っているーーー』
その言葉は嬉しくもあり、
足から崩れ落ちそうな気持ちにもなる
そしてーーー
幻滅され、嫌われる事も怖いけれど
私が変わってしまう事が怖い
だって、大好きだった人が大好きでなくなり
次第に憎む様にもなり、嫌いにもなり切れない
そんな存在になった。
好きで一緒になって結果がああだった。
愛していると
誓い合った筈なのに。
私は未だ進まずにいて過去に囚われているんだろう。
このままではいけない事は分かっていて
私のせいで殿下が不幸になる事も
私自身が許せない。
私の「せい」で不幸になるのは耐えられない。
相手は幸せであって欲しい。
それなのに、自分から突き放さないなんて
ああ、私って狡い。
浮気でも何でも伝える事は
自分の罪悪感を消すだけで相手にはーー
という事を聞くけれど、実際はどうなんだろう
怖いけれど…矛盾しているけれど
殿下に幻滅されて
突き放される事を望んでいる。




