17話
決意を決め殿下に
自己満足かも知れないけれど
全てを話そうと決めた。
手紙を送り会いたいと伝えると
すぐに返事が返ってきた。
数日後、何度目かの庭で色合いが変わった風景を
ただただ寂しく眺めて殿下を待った
頭のおかしな人だと思われるだろうか…
突き放して欲しいと思うのに怖いなんて
自分勝手な自分に嫌気が差すけど
人なんて、そんなものかもしれないわね…
少なくとも私は矛盾だらけだわ…
そんな風に考えていたら
殿下がやってきた。
これが最後になるのね…。
挨拶を交わし
殿下を見つめるーー
「お伝えしたい事がございますーーー」
♢
前世の記憶がある事、結婚して子供が2人居たこと
耐えきれなくて外に飛び出し事故に遭った事。
全てを話し終えた。
幻滅されても仕方がない事だとも。
ごめんなさい。と。
「………。」
「…………。」
この沈黙が怖い。
ごくんっと喉が鳴る
風の音がやけに耳に入る。
握り締めた手が震えて
今にも逃げ出したい気持ちになる
いや、逃げたら一緒じゃないか。
私は受け止めなければーーー
「ーーー」
「俺はその人に…似てるのか?」
……え?
どういう事か分からず目も口も開いてしまった。
「…婚姻を結んでいた男と、似ているのか?」
「……ぜ、全然似ていません!顔も体も何もかも!」
「そうか」
ホッとした様な顔をした殿下に困惑が隠せない。
どういう事なのか、わからない。
意図が分からず思考を巡らすが全くんからない。
目線を揺らし無言で居ると
殿下が口を開いた。
「俺はその人ではない」
ーーーーーーっ
「え…、えぇ、まぁ、そうですね」
ハッキリ言って殿下は顔はイケメンだし
こう、体型だってしっかり筋肉が付き身長も高い。
中身も凄く気が効いて優しい人だ。
元旦那とは天と地の差だ。
勿論、元旦那にも良い所もあった筈が
きっとお互い徐々に徐々に苦しくなってしまった。
「俺はその人とは全然違うんだろう?なら、過去では無く俺と未来を見てはくれないだろうか?」
「俺は…ゾーイ、君と俺で一緒に作り上げていきたい。
一緒に悩んだり、笑ったり、そんな色んな時間を
叶うならば
君と過ごして生きたいと思えたんだ」
「俺に悪く思う必要など無い。大丈夫だ。俺が望んでいる事だから」
「ーーーーっ」
ああ、私は誰かに慰めて欲しかったのかな
ずっと、
こう言って欲しかったのかな…
望んでいたのは【一緒に】だったのかもれない。
別に常にくっついている訳では無くて
一緒に前を向いていきたかったんだーーー
ああ、どうして
こんなにも私の傷を癒すのだろう
本当は自分の中で解決する事の筈だったのに
幻滅されて、離れるつもりだったのに
ーーーー一緒に居たいと思ってしまった。
「もう一度、言う。」
「ゾーイ、好きだ。俺とこれからも一緒に居てくれないか?俺の婚約者として」
そんなの…
断る事なんて出来ない。
私もギャレット殿下が好きだから。
「ーーーわ、私で良ければ、ギャレット殿下の婚約者で…居させて…下さ…ぃッ」
きっと、今、私は酷い顔をして
涙と鼻水と流して令嬢らしからぬ姿だろう
それなのに、ギャレット殿下は
柔らかな笑顔を向けてくれるーーー
この先に何が起こるかは分からないけれど
私は前に進みたいと思った。
ギャレット殿下の隣で。




