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今野真珠の過去①


七時半、この時間からバスに乗せるまでが勝負だ

少しバス停が遠く何故いつも走る羽目になるのだ

五歳の長男を起こしご飯を食べさせ

二歳次男の洋服を着替えさせ

それから洗濯物や掃除をし

またいつもの毎日が始まる月曜日


今日は夫の仕事が休みだ

手伝う気はなく

ぐーぐーと寝ている


四人家族で3Dk

リビングは六畳程だったか?

キッチンと合わせて12畳の筈だ


…部屋のど真ん中で寝そべって邪魔なんだが

図体がデカく幅を取る

布団で寝てくれれば良いものを…

舌打ちをしながら朝の準備を進める


視界に入る夫のぷよっとした腹を横目に

溜息も重ね…


(何で結婚したのか…)


そう、考える毎日だ。


別に離婚する程、嫌いな訳では無いが

私はもうとっくに冷え切った目をしているであろう


それは結婚式の準備からもう始まっていた


いつも夫は協力するどころか問題を打っ込む

例えば、口煩い義両親の対応を放置し嫌味を言われる

私を放置し揶揄ったり

例えば、私の親が無理をして娘の為にと用意した着物を

馬鹿にしたり

例えば、妊娠中…悪阻で特定の飲み物しか受け付けず横になっていた私に休みでいいよなぁ〜なんて言ったんだ

更に言えば切迫流産だったにも関わらず


…子供の対応に困る時にも無視を決め込む


その他にも子供を出しに女に会いに行こうとしたり

私はこれを浮気未遂としている



(…見る目が無かった)


仕事は真面目にしてくれるが不満だらけだ

相手も不満はあるだろうがもはや知ったこっちゃ無い

きっと私より子供より自分が大好きで可愛いのだ


もう、かれこれ半年?いや一年…?

ひとりの時間なんて持てていない


勿論、夫はお出掛けしている

それなのに自由が無いとかほざくのだ

頭の中かち割って見てやりたい


周りと比べたって仕方がないだろうが

お給料も少ないのだ

これでもお金さえあれば文句を言うまい

好きに生きていたのに…



もう、爆発寸前である




そう正に爆発寸前だったのだ




少し…ただ、少しの間だけ30分だ

予約制の為に薬を受け取りを合わせて30分も掛からなかった。往復考えても1時間程だ


通院する為に次男を頼んだ


昔から肌が弱く、荒れてしまったからだ

きっとストレスもあるに違いない


それなのに…


「俺の貴重な休みを…予定が立てられない」



そう言われた



その時はグッと我慢して居たが

長男を迎えに行き、長男や次男と遊びながら

晩御飯を作る…ひとりで全て


張り詰めていた糸が切れるって

こういう事かーーーー



そう、他人ごとの様に冷静な自分も居たが

悲しくなり、怒りが湧き

家で大暴れをした


ああ…ドラマでお皿をぶち撒けるシーンは

本当にある事なんだなぁ…と

ただ、割れはしない。運が良い

またしても、もうひとりの自分が囁いた


家を飛び出し悔しくて唇を噛む

すすり泣きながらどこに行く訳でも無く走って走ってやっと落ち着いた頃には空は暗くなっていて子供達の事が気になった


出てくる時に長男も次男も泣いていた

きっと怖かっただろう…ごめん、ごめんね


なんて事をしてしまったんだろう

…子供達は大丈夫だろうか?


ご飯やお風呂…を済ませないと

明日も長男は幼稚園だ


私が居なければ

夫はご飯やお風呂をやってくれるだろうか…


正直…半々だ


あんな人に任せて置けないのに!!!!

早く、早く帰らないと!!!!



焦り家へ向かったのが行け無かった

信号が無い横断歩道を渡り掛けたその時



ププププーーーーーー!!!!!!



ライトが眩しい…っ…




キィーー!



ダン!!!!!



来年の次男の入園式の為に伸ばした髪が視界に入る


何だか濡れていて気持ち悪い服と

乾いた筈の顔も濡れている



眩しいライトに見知らぬ人が驚愕していて


頭である言葉が過ぎるも

現実逃避をする様に

子供達の可愛い仕種を思い出す


最後に会ったあの泣き顔ではーーー


物凄く痛い…でも、私は我慢強いから、大丈夫

早く帰ってお風呂の支度と…



それからーーーー


それからー




次に目を開け、広がった景色は

豪華な天蓋付きベッドだったのだ


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