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ギャレット④

バルコニーへ出るとゾーイ嬢が

寒そうに肩を揺らしていた

風邪を引いてしまわないか心配になりジャケットを掛けた


「…ありがとうございます」


ゾーイ嬢は俯いて

ぐっと手を握り締めていて


いつもはふんわりとした彼女だが

切羽詰まった様な悲痛な顔をしていた


気にしているのか、また別の理由か

先程の事は彼女が悪い訳では無いのに

巻き込んでしまった


「…すまない」


「い、いえ、すみません!私、お役に立つどころか…疫病神みたいですよね」


「そんな事は無い」


決してそんな事など無い、絶対に

ゾーイ嬢の表情が見えず気を揉んでしまう


疫病神などと言わないでくれ

俺は君に謝られる事など無い



「突拍子も無い事をしてご迷惑をお掛けしてばかりではありませんか」


ああ…確かに


「…そうだな、毎回驚かせてくれる」


「ですよね…」


「それを迷惑などと思った事は無い

簡明直截で好ましいと思ってる」

 

本心だ



「…殿下が恥をかいてしまわないか…心配です」


「恥か、それは困るな…なーんてな」


「……え」


「……冗談だ」


「…ふふ、ふふふ…冗談言うんですね…というか、なーんてなって」


そんなに可笑しいか?

まさかこんなに笑ってくれるとは…

また新たな一面が見られて心が躍る



「…幾らでも笑ってくれていい、少しくらい困らせてくれ」


美味しいと大きな口で食べる姿も

型破りな事をして慌てる君も可愛らしい


お菓子の話で盛り上がれるのも楽しく

そんな時間が待ち遠しい 


「好意を寄せた相手から頼って欲しいと思うのは自然な事だろう」


「で、んか?」


「君さえ良ければこのまま婚約者で居て欲しい」




彼女は急に表情を堅くする

…ああ…駄目だったか

仕方がない…か…


ハッキリと断られる事を覚悟したが

思いも寄らない質問が降ってきた



「私が…私が、陰険な女ならどうします?」


ゾーイ嬢は声が震えていて

ただならぬ雰囲気だ


「私はいつでも避けて通れるのに…居座っているんです、甘い汁を吸っちゃう様な、卑怯者だとしたら殿下は嫌気が差しますか?」


ゾーイ嬢が何を気にしているのか

分からないが

俺がゾーイ嬢に嫌気が差す事など無い



「…それでも俺は君に凄く助けられた」



俺にはそれが真実だ



「だから、嫌いになんてなれない」


「…そう…ですか…」



「嫌いになるどころか…私は君が好きだ」



どうすれば伝わるだろうか…



「……」



いや、焦るな

きっと彼女の中で何か引っかかりがあるんだ


彼女が抱えている問題を話してくらるなら支えたい

話せなくても、それで良い

今、俺に見えている彼女が俺にとって大事なのだから



「返事はいつでもいい……待っている」



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