13話
あの状況で逃げられる訳もなく
有無を言わさず婚約発表をされ
今は二人で踊っている
勿論これも王太子殿下の提案で
「ギャレット殿下、すみません…私のせいで」
「こちらこそ、すまない、巻き込んで」
曲が終わり
殿下と壁際まで行く
ギャレット殿下にお酒を差し出され
「お酒は?」
「飲みます!」
飲みます!飲みますよ!
やけ酒だーーー!!
お酒を差し出され
ゴクゴク飲め…ない、ので
少しずつ少しずつ飲みおかわりをする
途中、何度か止められたけれど
私は結構強い…はず…
ん、ふわふわし出した
あれ?…おかしいな、今の私は弱いのかな…
それとも緊張したせい?
「…ふふふ」
「…大丈夫か?水を貰ってくる、一人で待てるか?」
「子供じゃありませんし、ふふ…大丈夫です」
笑いが止まらない私を心配した殿下が
水を貰いに離れていく
ふふ…
まさかお酒で酔うとは思わなかったぁ〜
椅子…座ると殿下が探す事に
なっちゃうかなぁ〜
ここで待と〜う
立てない訳じゃ無いし〜
ふふ…
……………ふー…
それにしてもギャレット殿下は優しいなぁ
嫌な顔せず心配してくれて
殿下、自らお水を…
こんな私に付き合わせた挙句、
殿下にお水取りに行かせるって…
会った時から何一つ良い所を見せてないよな
…私の良い所って、何なんだろ
何も無いかも知れない
大きく息を吸い息を吐く
しっかりしなきゃ
ここに居る間は殿下の婚約者なんだから
迷惑掛けてはいけない、うん!
もう充分に掛けてるけど!
そうしている内に
殿下が人混みに消え
その後、すぐ顔見知りの令嬢に囲まれた
これは!!!
ギャレット殿下に貴女は似合わないわ!的な?
ちょっと、こ、怖いんですけど
笑顔、笑顔〜
「ゾーイ嬢、ご婚約おめでとうございます」
…あ、あれ?おめでとう?なんだ?
びっくりしたぁ…
「…ありがとうございます」
「あら、嬉しそうじゃありませんのね?」
「いいえ、そんな事はありませんわ」
「そうかしら?健気だわ」
「健気?」
「えぇ、そうでしょう?」
…健気ってどういうこと?
遠回し過ぎて分からない…能力も無いのに
殿下の婚約者?努力しちゃって!っ事?
「………」
「お相手が、ね?」
「…そうですね……私では確かに不釣り合いで申し訳無いですね、素敵なお方ですし」
「…あら、気丈に振る舞うなんていじらしいわ〜ほら、お顔に…ねぇ?」
ねぇ…と令嬢達が頷き合う
…ええ、ええ!お顔にね!!
ん?お顔が…じゃ無くて、お顔に…?
…お顔に…何?
「……もしかして、…傷とか?ですか?殿下の?
…それなら!眼帯が似合う程お綺麗なお顔だと思っていますよ!」
少なくとも私より美人で
「…綺麗、まぁ!独特な感性ですのね!」
「…私の感性が独特かは分かりかねますが、殿下はとてもお優しく素晴らしい方ですわ」
だって、こんな私に優しいもの
弱い私は周りから悪く言われるのは怖いし
笑って黙って流すそれが大人の対応で正解なのかも知れない
もしかしてお酒のせいで判断力が鈍ってるのかも知れない
けど、それでいい
殿下は素敵な人だから
そんな言われ方をするなんて嫌だから
だからーーー
「待たせたな、ゾーイ嬢」
!!!
「そろそろ、私達は失礼しますわ」
彼女達の後ろにギャレット殿下が居て
今の話が聞こえていたら、どうしよう…
動揺するのは私だけで令嬢達は何事も無かった様に去っていく
「お水、ありがとうございます」
「少し遅くなってしまった…大丈夫だったか?」
…あぁ、やっぱり聞こえていましたか?
でも、私の心配をするんですね
「…少し、外に出ませんか?」




