過去②
ハリーの物心がついた頃から
第一継承者になるまで
ハリーとギャレットは遠ざけられていた
二人が仲良くなった
きっかけはレイラの温室にハリーが
迷い込んだのが始まりだ
幼い頃は疑問に思いながらも
誰も寄り付かない温室で密かに会っていた
ギャレットはハリーにとって優しい兄であった
その後ハリーは幼くして王太子になり
今では愛する妻も子も居る
二人の弟、デーヴィドにも婚約者が居るが
ギャレットは婚約者を望まなかった
恨まれても仕方がないのにも関わらず
争いの種になるから結婚が出来なくて良かったと
ギャレットはハリーに言った
俺は思い人も居ないからと笑っていた
あの事件で母親も亡くなり
後継として生まれたのにも関わらず
王太子の未来も無くなった
美しい顔に傷を負い疎外され笑えるだろうか
兄が顔の傷で貴族達に敬遠されている事を
ハリーは当然、知っている
私ならば無理だ…と
復讐に手を染めているかも知れないと
ハリーは思った
だからこそ
兄のギャレットにハリーは
幸せになって欲しかった
せめて、誰か
兄と互いに寄り添う人が居たら…と
♢
時は遡り城の石楠花の蕾が膨らみ出した頃
王と王妃、それからハリーは話し合っていた
「ギャレットは結婚の意思が無いだろ」
「しかし、父上それでは兄上はずっと孤独ではありませんか」
「うーん、しかし…」
「兄上は結婚が出来なくて良かったと言いました」
ギャレットは言ったのだ
しないではなく出来なくてと…
「私は兄上にはこれ以上、犠牲になって欲しくないのです」
「それはハリーの希望であってギャレットは望んではいない…結婚には相手も必要だ」
「一つ心当たりが」
そう、ハリーにはひとつだけ
心当たりが出来たのだ
「……」
「…いいんじゃないかしら?」
「…母上」
「お相手が居るのなら、ハリーに任せてみては?」
「…そうか…では、任せるとしよう」
こうしてゾーイとギャレットの婚約の話が浮上したのだった




