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8話

そう、今日は食べ歩き!

気分を変えるにはこれが一番!


小説も好きだけど感情移入し過ぎてしまうから

何も考えられない程にお腹いっぱい美味しい物を食べてコーディーと無事帰る!

それが今日一日の目的!


タウンハウスから少し離れた所から借りた馬車に乗る

御者には怪訝な顔をされてしまった

そりゃそうよね、変な所で乗るし平民の格好だし

コーディーが多めにお金を握らせてたのが見えたから、まぁ…大丈夫よね?


コーディーと外の景色を観ながら

他愛無い話をしている内に馬車が停まる


降りる直前に

あ、お嬢様…と引き留められ

兄妹という設定を持ちかけられた


残念ながらコーディーの姉に見えない事は分かっている、子供服しかサイズがないのだ

不服だけど仕方がない



人目の着かない場所で降りたのだが

いつもより質素な装いなので歩き易く

程なくすると目的の場所だ


通りには屋台が並び美味しそうな香ばしい香りが漂う

いつかのお祭りの様で

タープテントもカラフルで可愛らしい

この雰囲気だけで心が躍る


目の前に見えるのはフルーツを売る屋台

その横はフルーツを絞って飲み物を出していて

先の店と繋がっている様だ


その前にはリソルを扱うお店

その奥にはトローネ


少し離れた所には

ベニエの売り子をしているお姉さんも居る



さーて、どれを食べようか…


「…んー、迷う…コー…兄さんのお勧めは?」


「オレのお勧めはゴーフルかな!

サクッともちっとしていて美味いし、歩いて食べるには最高♪」


「…そう、じゃあ早速食べよう!」


兄役を存分に楽しむコーディーを尻目に進む

心なしか足早にーーーー


「あ、そっちじゃない」


「………」


私は自分が方向音痴な事を思い出し

くるりッと踵を返して素直に着いていく事にした





クロスタータにカンノーロ、クレープやシュケット次々と私の胃の中に収まる


その横でコーディーはもう降参!と

コロッケやモツ焼きを口に頬張っていた



次は何をーーー



ふと先を見ると行列が出来ていた

何でも人気ジェラート店から新作が出たらしい


マリトォッツォにジェラートを挟む

挟めるジェラートの種類は三つ、バニラとチョコとピスタチオ

そこにチョコレートと数種類のナッツをトッピングし、食べ歩きしやすい様に包み紙で包んである


お、美味しそう…

ゴクリと喉を鳴らすと


コーディーのまだ、食べる気なんですか?と言いたげな視線が刺さる


た、食べるよ!お腹はパンパンだけど

だって次にいつ抜け出せるか分からないじゃない!!



列に並ぶと前にカップルがイチャイチャしていた

見ている私が恥ずかしくなり…というか居心地が悪くなり目線を逸らす


ふとその先を見るとカップルの前には

背筋が良くスラッとした男性が一人で並んでいた


男の人でも一人で並ぶのね〜


男性は帽子を深く被り顔が見えない

服装は周りと一緒なのにどことなーく品がある

何か見覚えがあるな…あの後ろ姿


ま、知り合いがこんな所に居る訳も無いけど



思ったよりも早く列が進む

私はバニラを注文し

注文をした後は左のスペースで待つ様だ


先程の男性とカップルが受け取る為に

端によっている



「コ、…兄さんは良かったの?」


「いい、オレは抜け出す必要が無いから」


「た、確かに…ず…ずるーーー」




「ーーーーゾーイ嬢…?」




????



あれ、今、名前を呼ばれた様な?

…気のせい…よね?


辺りを見回し

コーディーを見ると少し険しい顔をしていた

目線を追って後ろ振り返ると

先程の一人で並んでいた男性が立っていて

コーディは守る様に男性と私の間に入る




「…私だ」



そう、言われても?

人違いでは?



男性は少ししゃがみ帽子を少し上げた




………


帽子から覗く顔は

白い眼帯に瞳の色は青みがかったグレーの

とても綺麗な顔立ちでーーー




……………え?


……えぇえ!!!


う、ぇええ!?何でギャレット殿下が…っ!?



誰か嘘だと言って!!!



え、私は大丈夫?バレたらマズい!?

し、知らないフリをする!?

というかこの姿見られたくなかった!!!


混乱の中、コーディーに声を掛ける


「に、兄さん早く行きましょ!」


あ、すんなり兄さんって言えた!

これは大丈夫なのでは!?



「兄さん?」


コーディーと私を交互に見て

先程、謝罪と共に挨拶を受けたが…と困惑している殿下


…う


どうやら動揺している間にコーディーが

殿下と話していたらしい


そりゃそうだ!

はぁー落ち込む、自分が馬鹿すぎて落ち込む

何で誤魔化せると思ったんだ!


「…ゾーイ嬢?」


「申し訳ございません、でん…、…不敬をお許し下さい」


挨拶せず申し訳ございません…

血迷いました


でも、あっぶな!殿下って呼んでしまう所だったわ!ギリギリセーフよね!?

これ以上、不行届きを重ねられない!


というか私、いつも謝ってるけど大丈夫?

侯爵令嬢として終わってるわ…



「気にしなくて良い、…君も新作を?」


「はい、偶然ですが…運が良かったです」


き、気にするけどねー!

もう時間巻き戻らないかなー!?

なんて、動揺してる事をなるべく隠し会話を続けた



殿下はチョコレートを頼んだらしく

左手に持っている


はっとしてコーディーを見ると、どうやら呼ばれていた様でコーディーが受け取って来てくれていた

助かるー!ありがとう!



もし良ければ一緒にどうだろう?と誘われ

なんやかんやで殿下と

ベンチでご一緒する事になってしまった



あははは…はあーぁ…



それにしても殿下にばったり会うとは…

お忍びかな?…流石に聞けない


チラリと隣の殿下を見上げる

今は帽子を被って隠れてしまっているけれど

透き通る様な艶髪はキラキラしていて

瞳は宝石の様だし


海軍制服の姿も素敵だけど

庶民の服装も似合うなんて


やっぱり見た目が麗しい人は何を着ても

華やかだし、似合うのね…

 


ーーー恐るべし、美形



「……恐るべし、…美形?」



隣から聞こえてきた言葉に肩を揺らす


え?もしかして…声に出てました?


ダラダラと冷や汗を掻き

怖くて殿下を見られないので

コーディーを見て確認すると彼はコクリ…と頷き溜息後、首を左右に振られた

助けてくれないってことか!薄情者!


「いえ!お顔が整ってらっしゃるので」


何か言わないと!と無言が耐えられず

墓穴を掘る事を分かってはいたけれど

思い切って振り向き言い訳をする



ーーーーっつ



ギャレット殿下は眉を顰め

こちらを見ていた




お菓子や食べ物の種類や時代がバラバラです


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