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#08 子ども好き

 日にちが空きまして投稿します!

 ゆっくりしていってくださいね!


  テアミナは微笑んで言った。


「どうして、ここにいらっしゃったの?」


 ニナは小刻みに震えていた。

 貴族の邸に忍び込んだことがバレたのだから、どのような罰があってもおかしくはない。

 ニナは俯いて、震え声で言った。


「テアミナ様は…私たち平民の利益になる事をしているでしょう!…わたし、よく分からなくて。……わたし、聞いたんです。テアミナ様のお父様はものすごくお金を使って、わたしたちとはかけ離れた、豪華な生活をしている…って!」


 そこまで言って、ニナは顔をあげた。

 そして、目の前のテーブルに乗り出さんとばかりに前乗りになって言った。


「テアミナ様はそんな風には見えなかった。それがよく分からなくて、それで!わたし、もしかしたら、テアミナ様が神父様を騙しているんじゃないかって!………そう思って。テアミナ様の後をつけまし、た…」


 そこまで言い切ると、ニナは泣き出してしまった。不安に駆られたのだろう。

 それをマリーはすかさず駆け寄って、ちゃっかりニナの隣に座って、背中を揺すっていた。

 その光景を見てテアミナは思った。


(私では、ああは対応できなかった。マリーの趣味が功をそうしたわね。それにしても、…このあとはどう対応すべきなのかしら?)


 ここはマリーに任せようかと考えたが、一つ誤解は解いておきたい。そう思い、テアミナはニナの座っている方に近づき、目線を合わせるよう、少し屈んで言った。


「そうね。確かに私は貴族だわ。お父様も浪費家で間違いないわ。でもね、これだけは覚えておいてね。

……あの糞親父(・・・)とは違うという事よ。」


 テアミナのようなお嬢様から、糞、などという言葉が出て来たことに、よほどニナは驚いたのか乾いた声しか出なかった。


「く、そ?」

「えぇ」


 そう深く頷き、次は早口で言った。


「貴方たち平民が稼いだはずの税を何の見返りもなく、ただ浪費するだけの穀潰しなのだから。……まだ、豚の方がいいと思うわ。餌を与えた者に肉をくれるのだから。でも、そうではない。そこらにいたって、()()を助けるだけのただの糞でしょう?」


 そう、国一番と呼ばれる顔で笑って言う。

 いくら平民にとって不利益を被ろうとニナはテアミナに自身の父であり、この領の統治者でもある、伯爵にそこまで言うかと思う。


(えぇ。こんな人だったのぉ〜。……あれ?国一番の淑女って誰だっけ?)


 マリーも引き気味でこう思う。


(確かに、一理あります。しかし、『糞』は言い換えようがあるはずです、お嬢様。)


 引き気味の二人の気配に気付いたのか、テアミナは咳払いをして言った。


「コホン。つまり、私が言いたいことというのは貴方たちに危害を与えるつもりは無いということよ。分かったかしら?」


 そこまで言われては、頷くしか無い。

 ニナがコクリと頷くと、テアミナは褒めるようにニナの頭を撫でた。




 頭を撫でられて元気を取り戻したニナはあることを思い出した。


「そうだ!『あと三時間』って何なんですか?」


 そう聞くとマリーは首を傾げ、何だっけ、と思い、テアミナは自信満々げに答えた。


「よくぞ、聞いてくれましたわね。それは勿論。」

「もちろん?」


 そうニナが聞き返す。

 そして、言ったのだ。


「睡眠時間!、……でしてよ。」


「…………。」


 ニナは黙りこくってしまった。


(本当に、こんな人を信じても良いのかなぁ?)


 貴族社会に疎いニナでも分かる。普通のご令嬢は舞踏会の準備時間を削ってでも、睡眠を取らないという事を。


 ニナは助けを求めるようにマリーに言った。


「いつも、あのような感じなんですか?」

「えぇ。もちろん」


(もちろん?!)


 マリーは当然かのように続ける。


「お嬢様はいつも十時間は睡眠なさっているはずです。しかし、今日は六時間のご様子。あと、三時間は寝なければいけないですね」


 ニナの思う国一番の淑女のイメージがボロボロと崩れていく。


(なんか、とっても疲れたなぁ〜)


 終いにはそう思うのであった。


※ ※ ※


 一通り話し終え、一段落ついたところで、この場はお開きとなった。

 テアミナはマリーに言った。


「ニナを送ってもらえる?」

「承知しました」


 ニナは邸を去りたくはなさそうであった。

 ニナはマリーにベッタリである。それはそうだ、こんなに自分を肯定してくれる存在なのだから。

 しかし、迷惑をかけるまいと帰って行った。


 マリーとニナが部屋を去ったすぐ後のことであった。



 コンコン、コン。


 そう部屋にノックの音が響くと、テアミナは、「はぁーい」といつもの雰囲気とは打って変わって、柔らかい声でそう答えた。

 すると、扉が開き、女児が顔を出した。

 ずいぶんと可愛らしい顔立ちである。真っ白な肌に、金色の絹のような髪。

 そして、テアミナと同色の─若葉色の瞳を持っていた。

 その幼女はテアミナがいると分かったそばから、テアミナの部屋に入り込んで、テアミナに向かって駆け寄った。


「お姉様!どこにいっていたのですか?今日、ずっとお姿が見られなくて、心配していたのですよ!」


 そう愛らしい姿で言った。

 テアミナは慈愛に満ちた顔で頭を撫でながらで言った。


「テフィ、お姉様はただお散歩していただけなのよ?」

「で、でも…、テフィは寂しかったです」

 

 そう上目遣いで言った後、幼女─テフィはその小さな柔らかい手でテアミナを抱きしめた。


「ごめんなさいわね。でも、もう少しだけ待っていてね」


 そう、テアミナは伏せ目がちに言った。

 そして、テフィの背を優しく撫でた。


(お姉様がこの国を()()()みせるから…待っていてね)


 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

 新キャラ登場ですね!

 次の投稿は7/23日です。もしかしたら、予定が変更になるかもしれませんが、その時は追って活動報告で連絡します。

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