#02 見る目のある商人
週末に投稿しようと思っていましたが、意外とスケジュールに余裕があったため、昨日に引き続き投稿します!
三話目になります。
是非に見ていってください!
「安いよー!安いよー!」
そんな声が閑散とした広場に響き渡る。
通行人は、一人、二人ほどで他に人はいない。
テアミナのメイドことマリーはメイド服ではなく、平民の服装で伯爵邸のすぐ近くにある街を歩いていた。
街には屋台がポツポツと並んでいる。
─ポツポツ、と言うのも以前はもっと並んでいた。
ここ数年、同盟国の戦争を支援した影響で戦費がかかり、その戦費を補うために課税をしていた。
しかし、みるみる税が重くなっていった。それは、ただ戦費を補うだけではない─。
平民は税を払ってばかりで、収入は稼いだ額の十分の一ほどにまで下がっている。
今、生活できている平民と言えば戦争で広がったほんの少しの植民地と貿易をしている商人ぐらいであろうか。
それか、よっぽど貴族に気に入られた農場主ぐらいである。
現に、屋台を出しているのは商人であった。
あわよくば、旅人が通りかかってくれるのを待っているのだろうか。
貴族に気に入られなかったガラクタを売っているように見える。
マリーはその屋台の商人に声をかけた。
「この骨董品はどこから、仕入れたものですか?」
屋台にある茶色の土器のようなもので作られた人形を指さして言った。
「これかい?お嬢ちゃんは旅か何かをしているのかね?」
「いえ、ただの通りすがりです。とあるお家で奉公人として働いているのですが、主人に贈り物でもしようかと。」
「そうかい。いや、こんな時世で贈り物なんて、よく買えるものだね。……あぁ、仕入れ先の話をしていたね。これはルートン王国産だよ。」
(ルートン王国産……。本物ではない様子。)
マリーは訝しげに土器をじっと見る。
きっと、商人も収入が大幅に減って、悪事に走ってしまったのだろうとマリーは推察した。
(まぁ、経済を回すのには良いでしょう。)
そう思い、マリーは土器を指さして言った。
「これをください。」
「はいよ」
お金を払い、ふと商人の胸元を見た。
そこには、十字架のネックレスがかかっていた。
土器を受け取ったマリーは、商人のネックレスを見て言った。
「信心深いんですね。」
「そうだなぁ。あそこの神父とは、長い付き合いでね。貰ったんだよ」
そう言って商人は街の奥に紛れた教会を指さした。
「これをつけておけば、免罪符になる気がしてな。きっと、神様は俺を天国へ連れていってくれるってね」
何の免罪符なのかは大方、彼の商売の仕方であろう。
取引価値の高い、ルートン王国産だと偽って商品を売っている。立派な詐欺ではある。
(そんなことより、仕事をせねば)
「そう言えば、あの教会最近修繕されましたよね」
「そうみたいだな」
「修繕費用はテアミナ様がご自身の財産から、ご出資されたらしく」
「そうなのかっ!」
信者にとって、教会は大きな意味を持つものだ。それを修繕したとなれば、多少はテアミナの好感度も上がるだろう。
平民というのは、単純な生き物である。よほどいい家の商人でもなければ、教育は受けられない。
故にすぐに疑い、嘘をつき、すぐに信じる。
マリーはそれをよく知っている。
「えぇ。先ほど、教会にまで参りましたが、神父様がおっしゃっていました」
驚いた様子の商人にマリーはさらに続ける。
「テアミナ様は平民の味方であると神父様に明言されたとも」
彼の中でのテアミナへの見方がどんどん変わっていく。
と、同時に疑いもあるのだろう。
眉毛がピクピクしている。
そこで、追い討ちをかけるように一言。
「何とも、テアミナ様はお父君であるレンブーク伯爵が、平民の血税を湯水のごとく使っていることを嫌悪している、……………と神父様もおしゃられていました。」
妙に具体的な説明だが、良いだろう。
商人はほほぅと、笑みを浮かべて言った。
「最近、話題の王家の娘とは違うのだな」
最後まで見てくださり、ありがとうございます!
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次回の投稿は7/15です。気に入ったら、是非、見に来てください!




