表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/14

〈一章〉#01 プロローグ 怠惰でものぐさ

二話目です!

一話に引き続き見てくださってありがとうございます!

是非にお楽しみください。


「おはようございます。お嬢様」


 ラミドール伯爵令嬢テアミナ=レンブークはそう言う一人のメイドの声で目覚めた。

 国一番の美少女と名高い彼女は、今年の春に17になる。キャラメル色の髪はいつもは緩いウェーブを描いているが今は─寝癖によって爆発しているように見える。そして、瞳は若葉のような緑色であった。

 彼女は今、ベットの上で目を擦っている。窓から差し込む光がその長いまつ毛に当たり煌めいて見えた。

 

 メイドに起こされてからずっと一点をぼーっと見つめていたテアミナであったが、ドタドタドタと廊下をかける音を聞いてやっと喋り出した。


「今日も元気が良いこと。ほんっとうにあんな元気何処から出るのかしら」


 そう恨みったらしそうに言う彼女にメイドは思う。


(きっと、貴女も同じだったことだろうに)


 この足音の正体はというとテアミナの妹である。テアミナとは十歳離れており、まだ落ち着きがないお年頃である。

 メイドは五年前からここで働いているため、テアミナの幼い頃は知らないが、きっとこの怠惰なお嬢様は今とは似つかないほど走り回っていたのであろう。


「ねぇ。今日の予定は?」

「今日のお嬢様の予定は舞踏会─」

(わたし)のではなく貴女の」

「あぁ、そういうことですか。失礼しました」


 メイドの予定を聞く―普通ならあり得ない主人にメイドはいとも平然として答える。




「本日の予定は、花瓶の水換えと─」


 メイドはテアミナの隣にある花瓶を指して言った。テアミナはその指をまだ眠いであろう若葉色の瞳で、空に眺めていた。

 メイドはその手を定位置である下腹部あたりまで戻して言葉を続けた。


「─貴女(あなた)の身辺の管理です。」

「そう」


 テアミナは興味があるのか無いのか、分からない声色で答える。

 そうしてやっともぞもぞとベットから抜け出したのであった。


「今日はお早いですね」

「まぁ、そうね」



 いつもは起きてから三十分以上ぼぅーとしていることが多い、彼女である。今日は重要な用事があるらしい。


(舞踏会があるからでしょう。私は自分の役割を果たすとしましょう。)


 テアミナはとぼとぼとクローゼットに向かって歩き出し、クローゼットの奥の隠しだなから薄汚い平民が着るような服を引っ張り出した。

 そして、その服を着ながら言う。


「貴女は他のメイド、(およ)び料理長に伝えてちょうだい『今日は舞踏会があるから、食事は必要ない』と」

「かしこまりました。」


 テアミナはメイドの方に向き直って、窓の外を指差しこう続ける。


「そして、あの教会で落ち合いましょう」


※ ※ ※


同時刻、ハディテーズ邸にて。


 バディテーズ侯爵令息ジョア=ソムールは自室の机に向かい、書類を書いていた。

 髪は小麦色で瞳は海のように青い色をしている。今年の夏で17になったばかりの少年だ。国一番の美少年と(うた)われるだけあって、顔立ちは整っている。

 いつもは、にこやかに細められている目の下には今は─クマができていた。


─コンコン。


「はい」


 そうジョアが応えると自室のドアが開いた。


「おはようございます。若様」


 入ってきて、(うやうや)しく挨拶をしたのは幼い少年である。

少年は幼い風貌ではあるが、ジョアの執事である。

 年齢は不詳だが、五年前に配属された時も同じ風貌をしていた。

 そんな謎な執事は、挨拶の返答もない主人にこう思う。


(……いつも通り。…舞踏会があるということに、寝る前に気付いて、夜通し準備しているんだろうなぁ)


 その通りである。今書いている書類はというと、全て今日の舞踏会で必要な書類である。

 いつもであればこの時間、執事が戸をノックしても、返事は返ってこない。寝ているからだ。

 それが、今すごく頑張ってかきかきと机に向き合っているのである。


 執事はジョアに近づき、こう言った。


「僕が手伝いましょうか?」


 そこで、やっと執事の存在に気付いたらしい。ジョアは少し驚いたような顔をしていた。


「有難いよ。この書類、あの暗号(・・・・)で書いてくれる?」

「かしこまりました。」


 執事はそう応えて作業を進めた。


 執事は臨時の椅子として、クローゼットから丸椅子を取り出して、二人して同じ机に向かって、書類を書いていた。

 ふと、執事がそのペンを持つ手を止めると、ジョアの方を向いて言った。


「今日は、テアミナ嬢と会う予定でしたよね?」

「………………。」


一瞬の沈黙が流れた(のち)、やっと覚醒したのかハッとこっちを見て─かと思えば『テヘッ』っとでも言うように笑みを浮かべた。


「ちゃんと、覚えていたよ?」

(絶対忘れいてたでしょうに)


 このように執事の主人はのらりくらり生きている人である。

 いつもはこんな書類仕事のような貴族らしい仕事なんぞしてはいないし、忙しくしていても、それは仕事以外(・・・・)のことである。


つくづく思う。


(ものぐさ若様だ)


 最後まで見てくださり、ありがとうございます!

 次回の投稿は7/19の前後あたりになるかと思います。

執筆が遅くて申し訳ないですが、ゆっくり楽しんでいただけたら幸いです!

追記:予定を大幅に変更し、次話を7/14の18:00より投稿します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ