#12 誰かに似た子だなぁ
前回に引き続き、舞踏会の留守番組のお話です。
是非見ていってくださいね!
「何か、テフィに手助けできることはありますか?」
街の外れまで来て、孤児たちがやっと安心しきったところでそんな声が聞こえた。
声の主の方へ振り返ってみるとぼんやりと人影が見えた。
ザクザクと土を踏み締める音と共に二つの若葉色のガラス玉のようなものが見えてきた。
月が雲から顔を出して、月明かりが照らしたことでそれはガラス玉ではないことに気付いた。それは女の子の瞳であった。
ニナはそれを見て思う。
(わぁ、綺麗。そして、かわいいなぁ)
そう皆が見惚れていた。すると、その女の子は眉尻を下げて、困ったように言った。
「あのぅ、テフィの顔に何かついてますか?」
そうテフィが言うと孤児たちはハッとした。
そうだ、助けを求めねば、そう一番年長である男子は思い、声をかけた。
「えぇと、俺たちは教会から来たんだけど、なんか物騒な奴らが入って来たんだ。神父様の指示で教会から逃げるように言われて……そうしたら、目の前が燃えていたんだよ。こいつがテアミナ様の邸の方に逃げようって言って……ここまで来たんだ」
そうニナを指差しながら言った。そうすると、テフィはパァっと顔を煌めかせ、孤児たちに言った。
「良かったです!丁度、街の様子も知れましたし……。テフィは貴方たちを、助けます。」
そう宣言すると、孤児たちは皆、協力者を得て、安心して騒いでいた。
「ここは衛兵たちがいます。衛兵ですが、平民が来たとなれば、あまりいい顔はしないです。テフィが避難できるところまで案内します。ついて来てください」
そう言って森の方へ歩き出した。
※ ※ ※
「ねぇ、君はテフィっていうの?」
そう年長組の一人が言った。
「はい。テフィです。」
そうテフィは歩きながら答えた。ニナには後ろ姿しか見えないが、とても小柄であった。そして、風に靡く、綺麗に結われた髪は良い育ちのものだと感じるものである。
(きっと、いいお家の生まれなんだろうなぁ)
そうニナは思った。自分よりも歳が下に見えるのに孤児の年長組の子達と十分話があっている。それどころか、彼ら以上の知性を感じる。
ニナはそれを見ながら、テフィをなんだか見覚えのある子だなと思っていた。
(この、素っ気ない感じとか。顔とか?誰に似ているんだろう。会ったことある人の中にいた気がするのだけどなぁ)
うーんと考えながら歩いていたニナを横目で見て、テフィもまたニナに思っていた。
(この子は……。確か今日のお昼頃にお姉様のお部屋にいた子ですね。テフィは隠し扉からちゃんと見ていたのですから。)
そう思いつつも、自分が見ていたことを知られては何かと困るため、何も言わなかった。
そうしているうちに、開けた場所についた。円形状に木が生えていない空間が広がっていた。木がないため、雲一つない夜空に浮かんだ満月からの光がよく当たり、視界が明るくなった。
そして、視線に真っ先に入るのは小屋であった。その小屋は木でできており、ぼろぼろであった。
「着きました。ここです。ここにいれば、追っては来ることはないです。」
そう言うと、テフィは小屋の中に入っていつた。
ギィといいながら開く扉はいつ壊れてもおかしくは無さそうであった。中に入ってみると案外、綺麗にはしてあった。
子供には大きすぎるテーブルと椅子。それに、どこまであるか分からないくらい大きく、長い本棚があった。そこには本がぎっしり詰まっていた。
「わ、すげえ!」
「見て見て!本がいっぱい!」
「うわーでけぇ!」
そう言って走り回っていた。
それをただ見つめていたテフィにニナが声をかけた。
「ねぇ、テフィ。テフィってどうして私たちのことを助けてくれたの?」
ニナは少し疑っているような声色であった。それにテフィはにこっと笑って答えた。
「困っている方には助けを─。そうお母様がテフィに教えてくれました。」
そういうことではない、と言いたげながこちらをのぞいてくるが本当のことだから、という理由でその視線を無視をした。
「ねぇ、テフィってテアミナ様の─」
そうニナが何かを言いかけたところでバサバサと何が落ちた音がした。と、同時に泣き声も聞こえた。
そちらの方に目を向けてみると、本が散乱し、棚の下で男子が泣いていた。その男子の足が赤くなっていた
どうも、走り回って棚にぶつけてしまったらしい。その際、本も落ちてしまったのだろう。
「大丈夫?立てる?」
そう、別の男子が慰めていた。周りにいた女子は本を拾って、一段目の棚に並べていた。
すると、何かに気がついたらしい。テフィに大きな声で言った。
「ねー!テフィちゃん!1の618がないよ!」
1の618というのは背表紙に書かれてある番号である。この棚にならべてあ並べてある同じシリーズと見られる本には全て番号が振ってあった。
確かに落ちた本のうち1の616から1の624の中で1の618だけが無かった。
「それはですね、元から無いのです。」
テフィはそう言って、言葉を続ける。
「テフィはこの小屋にある蔵書に一通り目を通しています。でも、618だけは無いんです。だから、大丈夫です。きっとこの小屋の持ち主が持って行ったのかなと思います。」
ニナはそれを聞いて凄いなぁ、と思った。この部屋にある蔵書はどれも分厚く、それに数が半端では無いほどある。優に千は越しているだろう。
それを一通りと言ったのだから、時間は相当かかったに違いない。
ニナはテフィを見て思った。
(凄く、努力家なんだなぁ)
最後まで読んでいただきありがとうございます!
テフィとニナ、この二人の組み合わせは私の知り合いの幼女趣味者(※女性です)に見せたいものです。
次回は7/27の18:00になると思います。
今後とも、よろしくお願いします!




