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#11 留守番組は留守番しない

 日にちが空いての投稿です。

 ゆっくりしていってくださいね!


 一人、大きな窓から入り込む月明かりの元で暇をしている幼女がいた。


(お姉様まだかな?)


 そうテフィは思いながら、床につかない足をぶらぶらさせていた。

 カァカァ。そうカラスの声さえも酷く大きな音に聞こえた。

 手にある人形で遊ぶのも飽きてしまい、何をしようかと窓の外を眺めた。すると、何やら赤いものが動いていた。

 テフィがよく目を凝らしてみるとそれは……


炎であった。


「火事?」


 そう呟いた後にはっとする。

 街中で火事があったのである。

 見てみればちょうど、教会の近くであった。

 テアミナは隠したがっていたが、テフィは隣の姉の部屋から聞こえる声で知っていた。教会はテアミナが自身の財産で修復したものだという事を。


(お姉様はすぐ隠したがるけれど、テフィは知っています。お姉様が民のために尽力している事を。)

 

 外にはきっとメイドがいる。変な噂は立てられない。

 そう思い、クローゼットから外套を取り出して隠し扉に向かった。


 (お父様はテフィにメイドをつけない。きっと、普通の人たちはメイドがいないと困る。けれど、テフィにつけてくれなくて良かったな)


 そう思うのは、自分が今からしようと思う事を仮にメイドに見つかってしまったら、咎められるからだ。

 この隠し扉はテアミナが非常時の場合にと、テアミナの部屋とテフィの繋げる扉である。

 実はというと、テフィはここから見張りの隙をついてよく出入りしている。


(お姉様のクローゼットは裏口に繋がっている。そこから、街の様子を見に行こう)


 黒い外套を羽織り、テアミナの部屋の隠し扉を慣れた手つきで開けた。

 中は暗く、梯子の踏み場が見えないため、一歩一歩慎重に降りていった。

 隠し扉を抜け、外に出ると街の喧騒が聞こえてきた。

 中には悲鳴が聞こえる。


(きっと大変なことが起きているんだよね)


 そう思いつつもテフィは街の方へ歩いて行った。


※ ※ ※

 

─教会にて

 

「今日の夕飯は豪華ですね〜」


 そう孤児のうちの一人が言った。

 いつもよりも品数が多いとニナも思っていたところであった。


(数切れの肉に、パンが一つ。それに野菜スープだってある)


 神父はそれを聞いて答えた。


「今日は神様の生誕の日だからな。…今じゃそんな慣習も無くなってしまったが、教会では祝わなくては」


 神父はそう言って肉を齧った。

 きっと野菜は神父が育てたものなのだろう。不恰好な形をした小さなじゃがいもが浮いていたが美味しかった。


 そうして、話しながらも食事を進めていたところで、教会の扉が開いた音がした。


 音がしたというのは、この食事の部屋は祈りを捧げる聖堂とは別室にあるからだ。


「誰かな?」


 そう小声で誰かが聞いた。誰も来る用事などはないはずだった。不審に思ったようだ。


「おい、神父はどこだ」


 そう、低い声がした。

 誰に聞くわけでもなく、脅すようにそう言っていた。危機を察知した孤児たちはその場で固まってしまった。

 神父は即座に子供たちの方へより、小声で言った。


「貴方達は裏口から出るんだよ。私の方はどうにかする。きちんと鍵は閉めて出るように。そして…音を立てるなよ」


 そう言うと、神父は鍵を渡して、聖堂に繋がる扉へ向かった。


 子供たちは早速行動を起こした。年長組を先頭として、団結して、裏口に即座に向かっていった。

 なるべく音を立てないように。

 途中ガジャンという何かが割れる音が聞こえた。何人かはそれに恐れをなして、震えていたが、一番年上の男子が宥め、泣くことは無かった。


 彼らは通った扉ごとに鍵をかけ、少しでも時間稼ぎが出来るようにした。


 そうしてやっと外に出た。安心した束の間、何やら赤く燃え上がるものが見えた。



そう、炎だ。


─今すぐにでもここを避難しなければならない。


 そう誰もが考えた。だが、どこに行けばいいのか。皆が混乱していく中、人一倍賢いニナはあることを思い付いた。


(もしかして、テアミナ様の邸に行けば助かるのでは……?衛兵もいるだろうし、何かあってもどうにかなる!)


 子どもの思い付きであるが、そこらにいるよりかはずっと良い。

 ニナは自身の意見を他の孤児にできるだけ元気であるように伝えた。


「ねぇ、皆!テアミナ様の邸に行こう!そうしたら、敵が来ても追い返してくれるかもしれない!」


 そう言うと、他の孤児はメラメラと燃える火の光を浴びながら、笑顔で言った。


「わぁ!それいいね!」

「お屋敷、行ってみたかったんだぁ〜」


 幾人かは本来の目的とはそれた理由だったが、賛同が得られた。

 よし、と意気込んでテアミナの邸に向かったのである。


※ ※ ※


 テフィは衛兵にバレないように街への道を進んでいた。

 外套があるおかげで、夜の暗さに同化して幾分もバレにくなっている。それに、テフィは同い年の女児と比べても背が低かった。それ故に、例え物音を立ててしまってもバレる可能性は低くなっている。


(何かテフィにできることがあれば…!)


 そう思っていたのも束の間。何やら、足音が聞こえる。それも複数人である。

 息を潜ませて何かから隠れるようであった。

 テフィはそれに勘付いて、近くの茂みに隠れ、息を潜ませた。

 そして、聞こえてきた会話に耳を澄ました。


「ここまで来ればもういいかなぁ?」

「神父様大丈夫かな?」


 子どもの声であった。それに“神父様“とも言っていた。

 

(お姉様が保護している教会の子どもたちね!お姉様の努力をテフィは無駄になんかしません!この子たちを助けます!)


 そう意気込んで、近付いて来た彼らに声をかけた。



「何か、テフィに手助けできることはありますか?」



 最後まで読んでいただきありがとうございます!

 最近、暑くなって来ましたね。熱中症などにお気をつけてお過ごしください。

 さて、次回の投稿は7/26の9:00を予定しています。予定変更の場合は、活動報告にてお知らせします。

 是非読んでくださいね!

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