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 検索したがティッシュという言葉が出てこない。ティシューはある。組織の意味だと書いてある。たしかティッシュはティシューの派生語だったはずだ。派生語の欄にティッシュはない。

「マジか……」

 ゴミの神は本物だったのだ。

 本物の神に消滅指示を出せるおれは、この世を支配していると言っても過言ではないのではないか。謎の全能感が全身を満たす。どっかの漫画の主人公は拾ったノートで生殺与奪の権利を得たが、限りなく似通った状態ではないか。

「いや、違うか」

 物がなくなった時の苦しみを背負うのは自分一人なのだ。他の人間はなくなったことさえ気づかないのだから。

 しかし、ティッシュを世界から消したのはうかつだった。不便だ。


「この世の中からなくなったほうがいい物ってある?」

 仕事に一段落がついた午後、難しい顔をした同期を見かけて、思わず声をかけた。

「ああ、税金とか?」

「いいねえ。税金がなくなったら手取りも増えて暮らしやすくなる」

「そうそう。でもうちは子育て補助もらってるから税金さまさまなとこもある」

「そうか、公共サービスとか警察とかも税金か。警察がなくなったら治安はどうなるんだろうな」

「ヤクザが仕切るんじゃないか。あ……!」

 同僚が険しい顔で一枚伝票を引き抜いた。

「またかよ。こういうのは困るんだよなあ」

 それは部長が接待に使ったらしき高額の領収書だった。

「この店のママ、部長の愛人なんだよ。部長も部長だよな。会社の経費を愛人の小遣いに充てるなんてけち臭い」

 領収書をなくしたらどうなるんだろう。いっそ経費をなくすか。経費ってなくしていいものなのか。経費が消えたらどうなるのか、興味はあったが自分も困ることになりそうだ。

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