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記憶を失くした旧支配者  作者: 南瓜
12日目
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ひとりでもがんばります。



 辺りは、暗い。


 「光」が一切無い場所で、蹲る一人の少女。

 彼女「ナイアーラトテップ」だ。


 

 寂しげに膝を抱えて、どこか拗ねているように見える。

 

 その姿は儚くて、哀愁に満ちている。

 

__________________


 「………悔しい、ですね…。」


 「クト」の中にある「旧神」の力を喰うため、奴を外へとおびき寄せることが出来た物の、次から次へと邪魔が入ってしまったせいで結局何も出来ずに撤退してしまいました。

 ツァトゥグァ、クトゥグア、絶対に許しません。


 私には本来「土」を自在に操れる力がありました。

 今の、ツァトゥグァが持っている物と同じような力です。

 

 ですが、「ノーデンス」の呪いのせいでその力が失われてしまい、私は只の「土」の傀儡になってしまったのです。

 そのせいで私は、本来持つ力の大半を失ってしまい、あんな雑魚共にすら苦戦を強いられるような貧弱な力の持ち主になり下がってしまいました。

 元々はもっと強かったんです。

 本当ですよ。信じて下さい。

 私はなにも悪くありません。

 全部クトとノーデンスのせいなんです。

 もう、皆大嫌いです。



 でも、くよくよしていられません。

 私に残されている時間は数少ないです。

 何とかして、この期間中にクトを喰う必要があります。

 私とクトがこうして同時に「この世」に目覚めるのは滅多にないことなのです。

 今回こそ、何とかしないといけません。


 ですが、今回の様に「クトゥグア」に邪魔をされてしまってはどうしようもありません。

 私では、あの「クトゥグア」に敵わないのです。

 なぜなら、私は「土」だからです。


 クトゥグアは「炎」で、私は「土」。

 「炎」は「土」に勝り、「土」は「炎」に喰われる運命にあるのです。

 ですが「土」は、「風」を喰うことが出来ます。

 そして「炎」は、「風」に弱いのです。


 なので、私が「クトゥグア」に対抗するには「風」の力が必要なのです。

 私が知っている限りでは、一番有力な「風」の力の持ち主は「ハスター」です。

 彼を喰って、私の体に「風」を染み込ませればクトゥグアに勝れる可能性が高まります。

 ですが、「ハスター」を喰うのはなかなか骨が折れるでしょう。

 彼との対峙は、できれば避けたいです。

 なぜなら、「ハスター」の近くにはあの「ヨグ=ソトース様」が産み落とした()()がいると噂されているからです。

 なぜ彼の側にそんな存在がいるのかは不思議で仕方ないですが、あの双子にだけは近寄りたくありません。

 一度あの双子に目をつけられてしまったら、宇宙の果てまで逃げてもきっと追いかけて来るでしょうから。

 

 なのぜ、別の「風」の力の持ち主を狙いましょう。

 誰を喰うのがいいでしょうか。

 長い間眠っていたせいで、何処に誰がいるのか全く解らない状態で捜すしかありません。 

 困ったものです。



 私にも、誰か協力者がいればいいのですが…。

 生憎、私は一人ぼっちです。

 「嫌われ者」ですから。


 昔は「強大な力」を振るって、人間どもを自由に使役できる存在だったのに。

 その頃は、何も「一人の寂しさ」なんて感じなかったのに。

 「ノーデンス」のせいで、たまに現れる「ただの迷惑な奴」になってしまいました。

 まぁ、自分の力が弱くなったのは自業自得と言えばそうなのですが。



 少し、寂しいです。


 

 いいですね、「クト」達は。

 ダゴンの様な、同じ「水」の力を司る仲間がいて。

 

 ツァトゥグァも、側に女を置いて何人もの「ヒト」を雇っているようですし、その分きっと賑やかでしょう。

 

 クトゥグアの周りには、多くの「炎」の信者がいます。

 きっと毎日うるさくて仕方ないでしょうね。


 ハスターの側には例の「双子」がいるらしいですし、きっと同じ「風」の力を持つ者同士交友があるでしょう。




 でも私には。

 側に誰もいないんです。

 同じ「土」の力を持つ者からすらも、私は嫌われているんです。

  

 


 私だけ、仲間外れ。

 

 寂しいです。

 

 


 私も一度、「家族」と言う物の温もりを味わってみたいです。

 どんな物なんでしょうね。


 「家族」って。

 

__________________



 「…………。」



 少し物思いに耽ってしまいましたが、次の私の目的が決まりました。




 「風」の力を司るであろう存在、「イタクァ」を喰いに行きます。


 そして、その「風」の力を自分の体に宿し、クトゥグアへの牽制に使います。

 そうすれば、今後「クト」を喰うための計画の邪魔をされても何とか対抗できるでしょう。

 


 でも、その「イタクァ」が何処にいるのか解りません。

 

 

 何処にいるのでしょうか。

 空を飛びまわっていればそのうち見つかるでしょうか。

 それか、何処か拠点にしている場所でもあるのでしょうか。


 いえ、考えるより動く方が先です。

 「化身の力」がある程度戻った今なら、宇宙空間を飛び回ることすら容易なはずです。

 ひたすら捜し回れば、そのうち見つかるでしょう。

 見つけ次第、喰います。



 「…………一人で行動するの…寂しいですね……。」



 誰か一緒に探してくれる人がいれば…。

 いえ、そんなこと考えていたって何も始まりません。

 寂しさを怒りに変えましょう。

 そしてその怒りを、クトの中に潜む「あいつ」にぶつけます。

 そして、喰うのです。

 奴を。


 

 「さぁ……出発、ですね。」



 私は「翼のある黒獅子」に姿を変え、飛び立ちました。

 

 もう寂しさなんて捨てましょう。

 もし一人が怖くて嫌になったら、思う存分暴れてやりましょう。


 でないと。

 これ以上私が弱気になると。


 私自身の「正気度」が下がってしまいます。


 

 私も、「正気」が無くなってしまえば………。



 いえ、考えるのはやめです。


 今は、前のみ見ましょう。



 「クト」を喰うために。


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