第4話
最近、弟の帰りが遅い。
今までは暗くなるまでに帰っていたのに。
最近は深夜を回ることも多かった。
最初は弟が昔好きだった、天体観測をしに行ってるのかと、思ってたけど。
どうやら違うようだ
弟の部屋をこっそり見ても、望遠鏡は部屋の中にあったから、違うんだなと思っていた。
弟に会った時。しばらく様子を見ていたけど。
少し様子が違った。
ぼーっとしているような。無気力みたいだ。
瞳に暗い色が映っていて。
人生の終わりのような顔をしていた。
きっと何かある。
昔、親父に言われた。
俺が虐められてた時。
親父は俺の目に暗い色が映っていて、人生の終わりのような顔をしていたよ。と
きっと、親父には今の弟のような姿をした俺がいて。
親父も気づいていた。
でも、仕事は忙しいし、兄と話す機会もなく。
モヤモヤしていただろう。
今俺もその気持ちである。
弟に会うといえば、たまたま夕食の時に見たり。
それだけしかないかもしれない。
俺は部屋に篭ってるから。
会う機会は無い。
こうなったら、大学を休みの日に弟の部屋を捜索するしかない。
そして、すぐ実行に移した。
弟が学校に行った音を聞いて。
部屋に潜入した。
弟の部屋に入るなんて久々だな。
学校で使うノートや、教科書。
全てに名前を書いてあった。
直人。
直人が産まれた時。
すごく嬉しかったなぁと思い出に浸った。
親父に名前を決めていいよと言われ。
幼い頃の俺は必死に考えた。
素直な人になれるように。正直な人になれるように。
そう思って。
直人。と名付けた。
我ながら、良い命名だと思った。
弟は、いや直人は俺の思った通りの人になれただろうか。
それすら確認できないくらい直人のことを見れてなかったみたいだ
直人のことはしっかり見ていて。
いいお兄ちゃんをしていると思っていた。
でも、それは自分の思い込みで直人のことをちゃんと見れてなかったんだなと思った。
一通り、部屋を見た
昔、直人におねだりされて買った望遠鏡。
親父が護身用にってプレゼントしたサバイバルナイフ。
お下がりのベットに机。
そうして見渡していると、ひとつ目に留まるものがあった
ゴミ箱だ。
ゴミ箱の中に一際目立つ赤に塗りたくられた紙があった
そこには血で「消えろ」
そう書いてあった。
これは誰の血だろうか。
直人はいじめられてるのだろうか。
そんなことが頭を素早く横切っていた。
でも、確信は出来ない。
血で書かれた字があるのなら。
いじめだと確定できる。でも、もう少し見たかった
なぜなら、仕返しをしたかったから
いじめだった場合直人を傷つけたヤツを絶対に許せない。
殴って、殴りまくって。
制裁をしたい。
それをするためには確実な裏取りが必要だ。
裏取りを怠ると、俺が傷害罪で逮捕されてしまう。
あれから5日。
直人のことを見張った
風呂に行く時。スマホを覗いた
表情を見た。
風呂に行く時の着替えを覗いて、アザとかないか確認した
何時に帰ってくるのか記録した。
色々調べた。
ついに実行に移そうと思う。
直人を傷つけたヤツに復讐するために




