第3話
いつも通りの朝を迎えた。
昨日はいつも通り寝る前にスマホを少しいじって寝ようと思ってたら、下から喋り声が聞こえてきた。
兄貴と父さんが話してるみたいだ。
気にせず寝るかと思っていたけど、さすがに気になって
階段ギリギリまで顔を出して、話を盗み聞きした。
「大学に行きたいんだ」
確かに、そう聞こえた。
そうか。兄貴は大学に行くのか。
大学の話なら別にいいやと思って、部屋に戻ったが。
そのあとの話が気になりすぎて寝れなかった。
深夜3時くらいになると、兄貴が階段を登ってる音が聞こえた。
ドアに耳を着け、音を聞いた。
鼻をすする音が聞こえた。
兄貴は泣いているようだった。
そこでまず頭に浮かんだのは。
大学に行くことを拒否された。
大学に行くことを承認されて感極まった。
の2つの候補があったが、父さんの性格から考えて、
後者の感極まったほうだろう
兄貴が泣いてる声とか聞くのは久しぶりだった
昔、兄貴がまだ小4だった頃。友達に悪口を言われて泣いてるのを最後にもう泣いてるのは聞いたこと無かった。
話が終わったのを確認して、眠りについた。
寝たような、寝てないような
目覚めの悪い朝が来た。
今日も悪夢を見た。
安定の暗くどんよりとした世界。
いつか明るくなる日は来るのだろうか。
そう思い。学校に行く準備を進める。
母さんの遺影に「いってきます」と一声かけて家を
出る。
今日はいつもの登校ルートと違う方を歩いてみようと思った。
なぜなら、桜が咲いている頃だからだ。
家の近くにはまぁまぁ有名な桜の並木道がある。
桜のシーズンになって来ると、観光客、花見客で
ごった返しになる。
桜の咲き始めであんまり人がいない、今が見頃
なのだ。
桜というのは早くて4月の頭に開花し始めて、満開になるまで1週間。そこから、雨風無くして1週間。
長くても2週間しか見ることが出来ない。
非常に美しいけど、散るのが早い。
こんなに美しいのに少しの期間しか見れないのは
寂しいものである。
もう少し長く咲いてくれたらいいのにな。といつも
思う。
並木道を通ると、ふわりと香る桜の匂い。
桜の匂いを嗅ぎながら、学校に向かう。
最近の学校はさらに楽しくなくなった。
俺は何も悪いことをしてないのに。
いじめっ子に絡まれるようになった。
ノートを破られたり、物を盗まれたり、机に落書きされたり、画鋲を手に刺してきたり。
しょうもないイタズラなのかもしれないけど、心底
腹が立った。
まずは学校の下駄箱の中に赤いペンで悪口が書かれた紙が置いてある。
教室に着くと、机の中に画鋲が仕込んであって。
教科書を入れようと手を入れると刺さったり。
これが地味に痛い。血も出るし。
何もしてないのに。こんなことをされて腹が立って仕方ない
授業が始まってからはシャーペンがなくなって書くことが出来ないし、教科書も盗まれて先生に怒られる
始末。
腹が立っても無関心で貫き通した。
きっと、「やめろよ」とかそんなことを言ったら相手も刺激されてさらに酷くなるだけ。
そう思っていたので無関心ですよ〜、別にいいっすよ〜
感を出して、挑発的なことをする。
ちなみに犯人はわかってる。
クラスの中でもカースト上位の灰島 司。
よく女子に告白されたり、黄色い声援を浴びてる人である。
なぜカースト上位が俺なんかにイタズラしてくるのかは分からないが。基本的にカースト上位はいじめをしてこない。
カースト上位の取り巻きみたいなやつが3人くらい居て、そいつらが俺にイタズラしてくる。
まあ、カースト上位は自分の地位を守るために指示役に徹しているのだろう。
今までは小さなイタズラが続いていたが。
あまりにも俺が無関心過ぎたせいか。
少し過激になってきて。屋上に呼び出されて暴力振られたり、財布からお金を盗まれることが増えた。
小さなイタズラなら、我慢できた。
けど、今はもう我慢できない。
毎日殴られて、盗まれて。
堪忍袋の緒がキレそうだった。
誰にも悩みを、苦しみを話すことは出来なかった。
家族にだって話せなかった。
兄貴は大学で忙しいし、なにより兄貴とはずっと話してない。
多分兄貴は俺のことがそんなに好きではなくて。
むしろ嫌いなんだと思う。
父は男手一つで育ててきた。
仕事だって忙しいし、兄貴と俺を育てるためにお金を稼がないといけない。
毎日仕事に出て。夜遅くまで働いて。
4時間ほど寝てからまた仕事に行く。
そんな忙しい家族を煩わせることは出来なかった。
友達だっていないし。
味方は一人もいない。
いや、味方を作ろうとしてない




