第2話
俺には2個下の弟がいる。
弟が居ても話すことは無い。
なぜなら、俺がひきこもってるから。
中学を卒業するまではよく遊んでいた。
公園にもいった。プロ野球を見に行ったりもした。
でも、高校に入ってから弟と遊ばなくなってしまった
俺は高校に入ってから良くないやつと絡むようになってしまった。
そいつらしか友達が居なかったから。
暴力もした。毎日のように夜遅くまで遊んだ。
タバコも吸ったし、酒も飲んだ。
そのせいか弟と絡むことは少なくなった。
悪い奴らと絡んでから数ヶ月後。
裏切られた。
先輩に万引きをしてこいと言われた。
でも、それは出来なかった。
家族に迷惑がかかるってわかってたから
話してなくても、迷惑はかけたくなかった。
父さんは母さんが病気になって寂しい思いをしていた。
母さんが先に逝ってしまって悲しそうだった。
今まで男手ひとつで育ててもらった。
だから、迷惑はかけたくなかった。
万引きができなくて、腰抜けってバカにされて。
殴られた。いじめられた
今まで悪い奴らでも、仲間がいたのに。
一瞬でひとりぼっちになった。
それからというもの引きこもりになった。
遊ぶ相手はいない。
唯一の遊び相手はゲームの中のユーザー。
今までオンラインゲームとかしてこなかったのに。
一人になった瞬間、虜になった。
たまに弟を見る。
兄貴なりに少しは心配している。
学校で上手くやってるのかなとか、友達居るかなとか
自分はできてないからこそ心配になる。
最近は少し顔に元気がないというか、顔色が暗くなったなという印象だった。
でも、俺は不器用だから
アドバイスとか出来ない。
だって、自分ができてないんだもん。
アドバイスなんて出来るわけない。
学校に行っても、殴られて終わり。
先輩のストレス発散道具になって。
家に帰ってオンラインゲームのユーザーと仲良くゲームする。
そんな日々を送っていた。
でも、もうすぐ卒業。
苦しい時期を乗り越えたら、大学。
勉強は得意な方だった。
中学生の時もランキングは中の上。
高校になると少しは下がったが、いつも通りをキープしている。
テストも真面目にやってきたつもりだ。
赤点はとった事ないし、テスト前に勉強だってしていた。
ランキングもまあまあ上の方。
大学に行って色んなことを学びたかった。
専門的になんの仕事に就きたいとかは無いが。
今は色んなことを学んで可能性を広げたかった。
大学に入ったら、楽しくなるかなとかそんなことを想像して、今の時期を乗り越える。
大学に行きたいこと。父さんには言えてなかった。
だから、今日父さんが帰ってきたら何もかも打ち明けるつもりだ。
それまで、家に帰って、部屋でゲームでもしようと考えていた。
家に着き、弟が帰っていることを確認して部屋の前まで来る。
懐かしい紙袋がドアノブに下げられていた。
近所にある世界一美味い豆大福。
弟が買ってきてくれたんだろう。そう思い話しかけようと思ったが。何故か話しかけないでおこうと思った
きっと、話しかけても濁ったような返事しかしないだろう。
だから、紙に「豆大福ありがとう。美味しかったよ」
と記して部屋のドア隙間に紙を差し込んだ。
すると、すぐに回収されて3分くらいで返事が返ってきた。
「別に兄貴のために買ったわけじゃないし、たまたま2個買えたから買っただけ。久しぶりに食いたくなって寄ったの」
と記されていた。
強がりだなとか思いつつ、小さい声で「ありがとう」
と言った。
深夜0時くらいになると、玄関から物音がして父さんが帰ってきた。
すぐに下に降りた。
「父さん、おかえり」
「おぉ、隆一か、ただいま」
「どうしたんだ?こんな時間に」
「いや、少し話したいことがあってさ」
「話したいこと?わかった少し待ってろ」
父さんと面と向かって話すのは中1ぶりだ。
大学に行きたいと伝えた時どんな反応をするだろう
その不安で頭がいっぱいになった
「それで、話ってなんだ」
「父さん。俺大学に行きたい」
3分くらいだろうか。父さんは目を見開いて少し考えたような表情をした。
「そうか。お前も考えてたんだな。大学とか
興味無いと思ってたよ、父さん」
「その…ダメだったか?」
「いや、すごくいい考えだと思うし、父さんはお前が大学に行けるようにとことんサポートするよ」
「ありがとう。父さん」
「うん。頑張れよ」
その後はコーヒーを入れて、もう一度話をした
高校で悪い奴らとつるんでたけど、万引きができなくて今は虐められてること。
友達が一切いないこと。
大学に行きたいと思ったのは自分の中の可能性を広げるために色んなことを学びたいと思ったこと。
父さんは静かに頷きながら、俺の話を真剣に聞いてくれた
そして、一言。こう言った
「今は苦しいかもしれない。父さんは万引きをしなかったことに誇りを持ちたいし、何より心は昔のまま綺麗でいてくれて嬉しいよ。大学に行きたいと明確な目標があるのなら、突き進んで頑張ってみなさい。
目標を達成した瞬間。お前には明るい未来が待ってるよ。」
そう言ってくれた。
気づくと涙が溢れていた。
自分の胸の内を晒すことでモヤモヤが取れて。
世界が明るくなった。
これから俺は目標に向かって頑張ろう
そう、心に決めた




