1話「ベタな神様との会話」
書き溜めによりとりあえず2話まで掲載予定…
掲載ペースとか1話にかける文字数とかどれくらいがいいんだろう……
「異世界?えっ?どういうこと?」
碧大は混乱していた。
何しろ自暴自棄になり人生を捨てるかのように
ネットサーフィンに興じていたら突然意識を失い、
自らを神と名乗る老人に
”異世界に行って貰いたい”
などと言われたのだ。
「うむ!異世界じゃな!
転生ではない転生でもいいのだが、
成長して目的を果たすまでに時間がかかる
ワシには無限にある時間でも地球と君が今から
行く異世界通称”カルアット”に残された時間は
少ない……」
神は残念そうな表情で髭をいじりながらそう
言った。
「なんで俺が!その……
か、かる「カルアットじゃな」それに
行くんだよ」
「フム、そうじゃなぁ……」
そう言いながら神はそれっぽい杖を振り上げ
虚空を掻いた。
途端、空中に地球のようなどこか
そうでないような球体が現れた。
「これが今から君に行って貰う
カルアットなんじゃがの
実は見ての通り地球ととても似ているじゃろ?
それもそのはず
地球もコレもワシが作り出したものなんじゃ
二つの世界は密接でのぉ
均衡が崩れると片方が耐え切れずに崩壊して
しまうのじゃよ」
「なるほどな、それで俺に何をしろって
言うんだよ?テンプレ通りにチート能力でも
授けて世界を救えってか?」
はんっと鼻を鳴らしながら碧大は言った。
碧大もネット小説や多くのライトノベルと
言われるメディアを好み
また、それにあったベタな展開を
想像していた。
「うーむ……なんというかそうじゃな
世界を救うには救ってほしいが、所謂チート
なんて能力を授けるほどに干渉できるなら
ワシ自身でなんとかしておるのォ」
まぁ、多少の特典のようなものは
授けるつもりじゃが……
と続けながら神は再び杖を振った。
中空に映し出されたそれはグラフのような
もので、所々に何やら文字と数字が書いて
あった。
「これはのォ、地球とカルアットの文明としての
能力を数値化したものや人口総数じゃな
見ての通りカルアットはどの数値も、
地球よりも劣っておるのじゃよ
資源などもそうじゃな。
こういった言わば、リソースのような物の
均衡が取れず、カルアットは遠くない未来に
滅び、密接な関係である地球にも
その累が及んでしまう。」
「そんなこと、俺にどうしろって
いうんだよ……」
つい先ほどまで自分のことですら、
まともに思考出来ていなかった碧大にとって
どうでもいい話ではあったが、
地球に累が及ぶと聞き、少しばかり話を聞く
姿勢をとる。
「うむ、君を選んだ理由こそ運命としか
言いようがないが、君も内政チート物なんかを
読んだことがあるだろう。
まぁそういったことを少なからず
期待はしていなくもないが、
概ね自由にやってもらって構わない。
本来なら専門家や学者を送り込むべきなんじゃが
そういった者たちは、
こういった異世界なんてものに対応できるほど
柔軟ではないし、それに君は世界に半ば
絶望しておったろう?」
確かにそうだった。
碧大は自分のこれからや友人関係に絶望していた。
家族は大事だが、大事であるからこそ自分の現状が
許せなくて、しかしやる気も起きず、
このまま居なくなることが出来るのなら、
どんなに楽だろうとそう考えていたのだ。
「ふむ、やはりのォ……まぁじゃからこそ
そんな君に白羽の矢を立てさて貰ったのじゃ
まぁ君自身がリソースと言ってもいいのじゃがの」
「俺自身がリソース?」
「そうじゃ、
先ほど人口の話をしたのォ?
君ひとりじゃ何も変わらないが
君を一つのケースとして前例を作れば
今後地球から人材を送り込む計画も
考えてはおるんじゃ。
勿論双方に矛盾や歪が出来んようにはするがの?」
未だ様々な疑問はある様子の碧大だが、
消えてしまいたいとまで思っていた自分の
思惑が叶う所為か、それらの疑問を抑えて
納得の体を見せる。
それでもぬぐい切れない疑問が一つあった。
「そういえば俺がココに来る前見た
"真実を知りたいですか?"
だったか?
あの文句はどういうことだ?」
元々この質問が来ることを予想していたの
であろう神は、迷うそぶりも見せずに答えた。
「そうじゃのう、今話した異世界の存在や
それに伴う地球の危機がほとんどなんじゃが、
まぁ残りの答えはきっと君が探しているもの
かもしれんのォ
存在意義、生きる理由
言い方はそれぞれじゃし
ふむ、君はそうじゃ
他にも望んでおる。
それらは異世界での生活を通して、
君自身が見つけてくるのじゃ」
「俺が望む……まさか……」
「さぁのォ」
神はおどけて答えた。
「さてそれじゃあそろそろ君には
カルアットに向かってもらう。
君が普段やっていた”ねとげ”というやつに倣って
ウィンドウを出現させる能力をやろう
そのウィンドウを使って”スキル”を習得できる」
「チートは授けられねぇんじゃなかったのか?!」
碧大の言う通りである。
しかし神は指をふり、チッチッチと
舌を鳴らす。
若干古いその仕草のあと髭を撫でながら
ニヤリと口角を上げて答えた。
「チートそのものは不可能じゃが
カルアットにはレベルという概念が存在する
ウィンドウは君しか使えない故
スキルは先天的にもって生まれるか
後々の行動で身につけることしか出来んがのォ
なんらかの行動で経験値を得てそれでレベルを
上げるもよし、スキルに振るのもよしじゃ」
「ん?経験値が溜まったらレベルアップ
じゃないのか?」
通常ゲームなんかに登場する経験値とは、
レベルを上げるためのものであり碧大の疑問は
至極正しいものだった。
「うむ、しかし経験値とは文字通り経験の値じゃ
農作業をやればそれもまた経験
レベルだけが上がり農業なんかの
スキルレベルが1だったり
するのは変じゃと思わんか?」
「なるほど……よくわからないけど
なんかそんな気がしてきた」
「習得することは可能じゃよ?
カルアットの人々はそうして生活しておる
しかしウィンドウはそれらの条件を無視し
経験値を割り振ることで、スキルの習得、
レベリングが可能になるわけじゃな」
そういいながら神は杖を振り碧大の前に
SFでよく見かけるような薄く半透明な水色をした
液晶のようなものを出現させた。
そこには、碧大の名前や年齢などの他にスキルや
レベルなど、地球の生活ではおおよそ触れない
単語などが並んでいた。
そのうちのスキルと言う文字に触れると
グレーに暗転した文字がいくつも現れた。
「あれ?言語とかはどうなってるんだ?
こういう異世界物だとスキルの中にあるのが
定番じゃないか?」
碧大が数多くあるスキルの中でも
定番と呼べるものが無いことに気付いた。
「言語……?
おぉそうじゃったのォ
地球は……そうか言語が分かれておるのか
安心せい文字も言葉も書いたり話したりすれば
通じるようになっておる」
「なんだよその便利設定……なんで地球と
同じように作ったのに
地球は分けられてるんだよ……」
「いや、かつては地球も同じ言語だったんじゃが
あまりにもカルアットとの文明差が出ての
言語を分ければこれ以上発展しないんじゃないかと
思ってな。」
碧大は似たような神話を聞いたことがあった。
「まさかバベルの神話が事実だとはなぁ……」
「ふむ!まぁともかく説明はここまでじゃ
詳しいことは使ってみて覚えればよいじゃろ
全て応えるわけにはいかんが、
教会などでワシに祈りの一つでも捧げれば
多少のことはしよう
そのウィンドウもある意味試作段階じゃからの」
そう言って神は最後になるであろう杖を振る動作をして
振り終わる頃には碧大の姿はなかった。
「む……落とす場所決めとらなんだわ……」
不安いっぱいのスタートですが、最終的に
なんとか物語になればいいなぁ
なんて思ってたりします。。




