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ベタな異世界チート  作者: とんぬら
第一章
13/14

12話「ベタな進級」

あらすじ


1ランク飛ばした進級試験を受けた碧大

ソフィ立ち合いの下

目的のトロール討伐に向かうがっ?!


 森の中の開けた場所で碧大とソフィは、

立ち往生していた。


 「昼時……かな

  太陽が真上にある……

  

  これじゃあ方向がわからねぇな……」


 「ふむ、お前は森の歩き方は

  なっていないのに、

  そういった知識はあるんだな……」


 碧大の知識は、地球に居た頃の漫画やアニメ

などから得たもので、歪んでいて当然たった。


 「あぁー……

  まぁな……」


 碧大がなんとなくはぐらかす。


 ガァン!!


 するとその時、少し離れた場所から

大きな破砕音のようなものが聞こえた。


 「なんの音だ?!」


 碧大が身構える。ソフィにも聞こえたのか、

ソフィも同じように戦闘出来る体勢を

とっていた。


 「どうやら目的のトロールみたいだな……」


 碧大のその言葉にソフィが首肯すると

それを見てトロールに駆け寄ろうと

碧大が踏み込む。


 「まてっ!」


 飛び出した碧大をソフィが制止する。

その声に碧大が立ち止り振り返る。


 「なんだよ……」


 「お前……いや、なんでもない。」


 「帰る方向だろ?

  

  口出し出来ないのも

  制止してたら同じだろ……」


 碧大がカラカラと笑いながらソフィに返す。


 「大丈夫だ。考えはある。」


 そう答えながら碧大は近くにあった

小石を拾った。

 それを握りしめ、

再び音のした方向へと駆ける。

 すでに木々の影から見えているトロールを

完全に視界の中へ捉え、小石を持った手を

振りかぶる。


 「当たれよッ!」


 そう言いながら碧大はトロールめがけ

小石を投げた。

 まさか考えが、小石でトロールを倒す

などという物なワケがない。

 碧大の投げた小石はトロールより

少し手前の木に当たり地面に落ちた。


 「やっぱ当たらねぇか……」


 しかしトロールの注意を、十分引くことは

出来たようで、ありがちな棍棒を手に持ち

小石を投げた碧大目がけ走ってくる。

 碧大の狙いというのはこういうだったので

あろう。

 

 「見たかソフィ!へへっ」


 碧大の少年のような喜びように、やれやれ

とソフィが首をふる。


 「小石を持った時にこんなことだろう

  と思っていた。


  武器が無いが、どう戦う?


  そういえばお前の本来の戦いは、

  武器を持たないのだったな……

  見るのは初めてだが……」


 ソフィの言葉を聞くと碧大はフフンと

鼻を鳴らし、全身に魔力を行き渡らせる。

 この感覚も久しぶりだ。

呪文を唱え、行き渡らせた魔力に意味を

与えていくと、フッと表情を鋭いものに

変えて構える。


 「さぁ、いつでも来い!」


 碧大がそう言うタイミングを待っていたかの

ようにトロールが二人の眼前に躍り出る。


 ウォォオオオン!!!


 そう一声叫ぶと、手に持つ棍棒を

振りかぶる。


 ズガァン!


 瞬間、振り下ろされた棍棒の下に

碧大はおらず、トロールが混乱する。


 「当たるかよッ!」


 叫んだ方向をトロールが振り向こうと

したが、遅かった。

 碧大の放った拳がトロールの脇腹をえぐり、

次の瞬間には、トロールが

断末魔を上げることなく沈黙した。


 ソフィとの修行で培った碧大の速さは、

トロールなどという愚鈍な生物はおろか、

恐らく対人相手でも反応するのは

難しいだろう。


 「ふぅ……

  

  どうだった?ソフィ」


 「あれほど修行したのだから当たり前だ。


  しかし、技そのものは面白いな。」


 ふむ、とソフィは碧大の魔法付加について

興味を示す。


 「魔法使いというのは沢山いるが、

  

  皆後衛が多い。

  

  しかし魔法を自身に付加して

  戦いの補助に使う者は見たことがないな。」


 碧大の戦い方を目の当たりにしソフィが

評価する。

 ソフィはそのまま碧大が戦っても、

勝利していただろうと思っていた。

木刀が折れた時に帰ることを促さなかったのは、

試験管として口を出さないようにしていた

という反面、そういう意味合いも含んでいた。


 「そんな珍しいかな?」


 「あぁ、

  そもそも素手で戦う

  なんてことすら珍しいよ。」


 魔物という生物が存在し、武器や魔法

というものが密接に生活と関わってくる

世界に"素手"で戦うという考え方は無かったの

だろう。

 地球の日本という平和な国で暮らす

碧大にとって、武器をとることが、

不自然だったことと変わらないのだろう。


 「ふぅん……まぁ

  そうなのか……


  討伐したけど……どうしたらいい?」


 「ふん、先ほどのウィンドスネイクの時に

  聞かれると思ったが、今聞くのか。


  安心しろ。ウィンドスネイクやトロール

  のような魔物は絶命した瞬間、

  魔素というものに変換され消滅する。」


 「オイオイ、それって危険

  なんじゃないのか?」


 碧大が日本に居た頃読んでいた転生物の

小説には、魔素は溜まるとよくないと

表現される物が多かった。


 「まずい?なぜだ?


  魔素が無ければお前は

  魔法を使えないだろ?」


 「いや、だろって言われても……


  そうなのか?」


 「お前に魔法を教えたやつは、そんなことも

  教え無かったのか?

 

  いまや生活の基盤ともなっている魔法を

  使うには空気中の魔素を使う。


  子供でも知っているぞ?


  防具や装備の材料などに魔物を使う

  時はその魔物に存在するコアのみを

  破壊すると

  魔素化を止めることが出来る。

  

  原理は知らんがな。

  有力な説では、死んだ魔物の肉体が

  コアのエネルギーに耐えきれず崩壊する

  らしい。」


 ほう、と感心したように碧大が頷くが

話の半分も意味を理解していなそうだ。


 「まぁそうかなるほどな!

  ようは放っておいていいんだろう?


  それじゃ討伐したことを

  どうやって報告するんだ?」


 「ギルドカードの裏を見てみろ」


 「あっ」


 そこには

 

 ウィンドスネイク討伐

 トロール討伐


 と書かれていた。


 「放出された魔素を微量に吸い

  ギルドカードに記される。」


 「なるほど、よく出来てんなぁ……


  んじゃまぁ帰るか!」


 「そうだな……」


 あまり話を聞かない碧大にソフィは

飽きれたように頷き返す。



―――


 「報酬を得たら装備を見よう」

 

 ギルドへの帰り道を歩いていると

ソフィが碧大に言った。


 「いや、それは別にいいんだけど

  あまり金ないぜ?」


 「フン、討伐とは命がかかった仕事だ。


  それなりの報酬はある。」


 そういいながらソフィは微笑む。


 「ふぅん……まぁ見るだけでも

  行ってみるか。」


 「装備をケチっては長生きしないぞ?」


 「あぁ使う時は使うさ。」


 二人がそんなやり取りをしていると、

ギルドの間に到着しあので、

スイングドアを押し開けギルドに入る。


 

 「ハイ。確かに確認いたしました。

  ソフィア様の記録も参考に致しますので


  少々お待ちください。」


 「了解した。待っている間

  買い物に行っても構わないか?」


 ソフィが受付嬢に許可を得ると、

かしこまりました。と無機質な返事が

返ってくる。


 「どっか行くのか?」


 「お前の装備だ。


  先に見に行こう。


  防具などは、その人間の為に合わせる

  ため時間がかかるし、後払いだ。

 

  武器に関しては使わないだろう?

  まぁ手甲くらいは必要だろうがな。」


 「でも俺、どれくらい報酬貰えるか

  わかってないぞ?」


 ソフィはその言葉を聞くと

フフッと微笑み


 「なに初クエスト成功の祝いだ

  私も払おう。


  それにお前はウィンドスネークも

  討伐しているからな

  想像しているよりは貰えるぞ?」


 「そんな、いいのか?」


 「あぁ構わん」


 ソフィはそう言うと、碧大の手を引き

ギルドのスイングドアを開け放った。

 



 ―――−−‐‐碧大視点

 


 「お、おいちょっと待てよ!」


 俺は、ソフィに腕を掴まれ参ったように

声を上げたが、内心は新しい装備に胸が弾んで

いた。

 ルーシーに借りたこの布の服で魔物と戦う

訳には行かないしな!

 

 「ほら!さっさと歩け!」


 ん?なんかソフィの方がワクワク

してないか?

 俺の装備だぞ……

 それにしても手甲か……ガントレット

ってやつだよな?

 んーなんか想像してみるとカッコいいな……


 「ホラ、ここだ!ここでお前の装備

  をそろえる」


 俺が装備を整えた自分の姿を想像している

うちにどうやら到着したようだ。

 そこは看板に荒々しく”武器!”と書き殴ら

れた店で、地球の平屋くらいの規模だ。

 

 「随分……なんていうか


  男らしいな……」

  

 「フッ、ここは私の装備を買った所でな

  こんな辺境の町にあるのに

  腕は恐らく王都の技師なんかより

  ずっといい。信用しろ」

 

 俺がオブラートに包んだ感想を

言うと、ソフィがクスリと笑いながら

そう答えた。


 「へぇ……」


 俺が声を漏らすのと同時に、ソフィが

店のドアを開けた。

 立てつけが悪くなったとかではなく、

恐らく設計の時点で、そう作られたのであろう

ドアがギィと音を立てて開く。


 「乱暴に扱うんじゃねぇ!

  先月付け替えたばかりなんだ!


  あの馬鹿貴族め、試し切りなんか

  しやがって……」


 店の奥から不敬罪なんて知らないというよう

な、看板やドアに負けないほど荒々しい声が

聞こえた。


 「すまん、開きづらかったもんでな

  少し力を入れた。」


 「なんだ、嬢ちゃんか。


  あの装備がもう壊れたのか?

  んなヤワには鍛えてねぇんだが……」


 俺がソフィを追い店に入ると、ふてぶてしく

椅子に座る男がいた。

 椅子にもたれ掛りながら短剣を検分していた

男の目や手つきは、態度ととは裏腹に、繊細で

そして鋭かった。


 「いや、今日は私ではなく

  この男の装備を探しに来た。」


 ソフィの言葉に男が短剣を見るその目つき

そのままに、今度は俺を見た。


 「フン、もやしの添え木は売ってねぇ

  隣の雑貨屋と間違えたか?」


 「まぁそういうな。これでもDだ。」


 この世界で魔物を討伐出来るEランク冒険者

以上の者は、一人前と認められ

さらにその一つ上であるDともなれば立派な

プロである。

 他のギルドでも同様な評価が与えられ

商業であろうが、魔法であろうがDランクとは

アマチュアを卒業した証明となるのだ。

 当然武器屋なんかに装備を求めるDランク商人

など存在しない(一人前ともなれば護衛を

買えるため)ので、ここでDと言えば、

自ずと冒険者のDランクと分かる。


 「ほぉ、しかし俺の目がまだ腐って

  無けりゃそいつは農民の恰好をしてる

  みたいだが?

  試験の時の武器はどうした?」


 「練習用の木刀を持ってったら折れた。」


 店主の質問に対し素直にそう答えると、

俺に向けられていた品定めのような目が

可哀想な子でも見るような憐れみに満ちた

視線へと変わる。


 「あー、こいつは元々魔法が使えるんだ。」


 ソフィの言葉になるほどと店主が溜息を

吐くと、


 「それじゃ、今日はワンドかロッドを

  求めに?」


 と言ったので、ソフィが首を横に振りながら

応えた。


 「いや、今日は防具と手甲を見つくろいに

  来た。


  コイツは魔法を付加する前衛職でな。」


 「珍しいな、そうなるとミスリル以上の

  魔法付加に対応した素材になるのか?


  値が張るぞ?」


 「構わん。私が持つ」


 そういうとソフィが懐から袋を取り出し、

それをみた店主が意を得たのか店の品ぞろえに

視線を向けた。

 どうやら適切な商品を探しているらしい。


 「あっ……

  待ってくれ!

  俺……特殊な素材でなくとも魔法付加

  出来る。」


 俺は、それぞれ金の入った袋と、高そうな

装飾付きの武器を持った、ソフィと店主に

呼びかける。


 「「は?」」


 二人は揃って、俺の言葉を理解していない

のか、何言ってんだコイツ?という声を

上げる。


 「その……なんていうか体質なんだ……

  オッサンちょっと適当な安い武器

  貸してくれ」


 「お、おう……」


 俺の言葉に動揺しつつも、店に入って来た

時から握っていた短剣をこちらに

渡してくれた。

 うーんウィンドウの情報だと出来るみたい

だけど……


 「ふんっ!」


 碧大が渡された短剣に、軽く魔力を込めると

ボウと刀身が光る。

 魔法の素養が無いであろう、店主にも見える

よう、初級魔法の暗所を照らすだけに使う

光魔法だ。


 「ほら、な?」


 やっぱり出来るのか……

まぁ俺の体は別にミスリルじゃねぇし、

魔力が通らない筋肉や皮膚にも付加

出来るんだし、道理っちゃ道理か?


 あの血が巡るような感覚は、付加してる部位

に無ぇしな。


 そう、一人ごちてると

驚いた店主が俺から短剣をひったくる。

 途端刀身に宿る光は消え、元の短剣

に戻った。


 「……なんともねぇな……」


 短剣を先ほどの鋭い視線で眺めると、

そう呟いた。


 「……碧大……お前どうやった……」


 「言ったろソフィ?体質なんだ

 

  俺にもわからねぇ」


 ソフィの驚いた表情を見て俺は、ケラケラと

笑って答える。

 その笑い声が堪えたのか、フンと鼻を鳴らし


 「だそうだ店主。コイツは自分の師事する

  師匠に隠し事ばかりして、

  

  こんなことが出来るのに、やらないとは

  修行も手を抜いていたらしい。

  

  こんなに強いんじゃあ、軍手で十分だ。

  

  先に店主が言った

  隣の雑貨屋と間違えているとは

  どうやら的を得ていたらしい。


  邪魔したな。」


 スタスタとふて腐れた表情をしてドアに向

かって歩いて行く。


 「いや、待て!嬢ちゃん!


  何がマトだよ、

  こんな面白ぇ客見抜けねぇなんざ

  俺の目も腐ってたらしい。


  目は腐っても腕は王都のへっぴりには

  負けねえ自身があるんだ!

  俺に試させてくれ!

  

  料金はいらねぇ!

  この前ドアをぶっ壊した貴族が

  謝礼にと魔物の素材を置いて行った。


  俺が打てても、武器を使いこなす

  人間がいねぇんじゃ

  使えねぇからドアの修理代に

  ギルドへ持って

  行こうとしてたんだ。」


 そういうと店主は奥へと引っ込み

なにやら謎の牙とも角ともつかぬ物体を

持ってきた。


 「その貴族はな、金に物を言わして

  冒険者を集めて神狩りをしたらしいんだ。


  神って言っても市井の連中が

  祈る方じゃねぇ、


  龍だよ。

  東の更に東に生息するという

  真古龍

  いくら冒険者を掻き集めても死ななかった

  そいつに唯一手傷を負わせた時の

  物がコイツよ。


  その貴族は物の価値を知らねぇのか

  龍を狩り切れ無かったことに飽いたのか

  まるでゴミでも放るようにコイツを

  置いて行ったが、

  魔法なんざ分からねぇ俺でさえも

  ひしひし感じるオーラ

  コイツはとんでもねぇ代物だよ。



  頼む!俺にコイツを打たせてくれ!」


 こちらが何かを言う前に店主は一息にまくし

立て言った。

 

 「お、俺は構わないんだが……


  いいのか?」


 「武器なんて飾るもんじゃねぇ

  コイツもギルドの倉庫や

  ウチの蔵で眠ってるよりいいだろ


  手甲でいいんだったよな?

 

  一週間待ってくれ!

  必ず届ける!」


 よくわからないという顔をした俺と

ソフィをよそに一人熱くなる店主


 「わかった。いや、しかし金は受け取って

  くれ


  もちろんソフィのではなくて

  俺の初任給?だ」



 この世界でも初任給と言うのか、逡巡しな

がら胸を張った。

 

 「……なんでだ?」


 俺の返しに心底意味が分からないという顔で

店主が尋ねて来た。


 「だってよ、なんでもやってもらってたら

  その龍の素材で作った武器を使う主人

  にはなれねぇだろ?


  俺の実力で買い取らなきゃ申し訳ねぇよ」


 「……気に入った!

  その力だけでなく

  気構えも一人前らしいな  


  その金額で請け負う!

  さっきも言ったが、一週間後また来てくれ」


 「応ッ!報酬貰って駆けつける!」


 そんな二人の男が繰り広げる暑苦しい

やり取りに、羨ましいやらうっとおしいやら

複雑な表情を浮かべるソフィが居たのだった。


 

 




 更新が滞ったこと、読んでくださっている

皆様には深くお詫び申し上げます。

 リアルの方でも昇給試験があり立て込んでおりました。

時間があいてしまい、作風が変わってしまうことを危惧

していましたが、いかがでしたでしょうか?


もしかしたらまた時間が開くこともあるかと

思いますが、

 PVを見る限り「更新してるかな?」という気持ちでしょうか?

投稿していないのにも関わらず0になることは無く

嬉しく思い、それを励みにしております。

 その励みにお返しをするためにも、

現在、エタらないようにしよう

私の小説を読んで欲しい。

 そう思い書いております。

今後とも暖かい目でよろしくおねがいします。


見て下さってありがとうございます。

それではまたいずれ


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