10話「ベタな進級試験」
あらすじ
ソフィとの修行もいよいよ終盤か?!
その終わりに待っているものとは!?
そろそろイチャイチャ要素とかそんなんは出てくるのか!?
それから一週間の時が過ぎた。
ソフィはあれから、毎日早朝に碧大を
トレーニングするべく、孤児院へと通っていた。
今日も孤児院の裏手から直接庭へと向かい
そこで待つ碧大に挨拶をする。
「やぁ、おはよう
準備運動は済ませたか?」
「あぁ、バッチリだ。
それにしても
いつも済まないな
俺が頼んでいることなのに
足を運んでもらって。」
「なに、構わないよ。
こちらの鍛錬にもなる
それにお前は友達だしな……
会いに来るのはその……当たり前だ。」
ソフィが照れながら、しどろもどろになって言う。
碧大は、難聴系主人公ではないため、この距離で
そんなことを言われれば、
はっきりと聞こえてしまう。
いや今までは、聞こえないこともあったため、
ソフィの成長なのだろう。
「照れるなら言わなきゃいいのに……」
「てっ……照れてなどいない!」
「会いに来るのは、当たり前だ!キリッ」
ソフィの言葉を碧大が多少デフォルメし
繰り返す。
「ッ!!そんな……
そんな言い方してないもん!!!」
―ズドン―
重力が碧大を襲う。
すると不思議なことに、
自身にのしかかる重力に耐えながら
碧大がニヤける。
この前のように、苦しみの表情を浮かべていない
だけでなくニヤけているのだ。
ソフィがそれを分かっていたかのように睨む。
その瞬間なんと、碧大が立ち上がったのだ。
「うん、やっぱ早朝はキツイな……
冗談だよソフィ、解除してくれ」
ヨタヨタとだが確実に歩を進め、
ソフィに近づく碧大。
その前までたどり着くとその手をソフィの頭に
のせた。
「ごめんな?まぁ……
そっちのソフィも見てみたかったんだよ」
「最近は頻繁に見られているッ……
非常に屈辱だ!」
ソフィが苦虫を噛み潰したような顔で
応える。
そう碧大はソフィの重力に耐えられるように
なると、こうして偶にソフィをからかうのだ。
実にしょーもない男である。
何故碧大が、ソフィの魔法を耐えるように
なったかと言うと、それは
ウィンドウの能力であった。
日々の鍛練でも経験値は発生するようで、
特にソフィとの戦闘訓練は経験というのなら
毎日魔物と戦うよりも有意義な経験だろう。
その経験値の行方はと言うと、
筋力上昇が、lv5を境に堅力となり
lv10で剛力となった。
俊敏も、同じような進化を遂げ、今では光速だ。
両スキルとも、lv15を過ぎ19の現在
名前が変わっていないところを見ると、
それはまだ先なのか、これ以上名前の変化はない
のか分からない。
何故碧大が魔法や生産、その他便利スキル
を得ずに、こんな能力を上昇させたのか
それはそれだけソフィとの鍛錬が、
過酷だったと言うことだ。
しかし上述のようなウィンドウの助けもあり、
成長した部分というか、随分鍛錬に付いて
行けるようにはなっていた。
正式に型を習っていない碧大は、
剣術を取得していなかったが、
今では重力付きで、ソフィと打ち合えるまでに、
成長していた。
勿論ソフィが、かなりの手加減をしているのは、
言うまでもない。
碧大の名誉のために言っておくが、
決してソフィとの鍛錬は、ウィンドウの経験値を
溜めるためのものだけではなく、碧大自身を
成長させるために、大いに役立った。
ソフィとの模擬戦を通し、
ウィンドウでは得られない、実戦での緊迫感
なども身に染みている。
加えて先ほどの新スキルだが、碧大の鍛錬中、
ウィンドウを操作せずに、上昇したレベルも
あることから、この鍛錬が、
どれだけ多くの成果を見出したのかうかがえる。
「よし、準備運動は終わっているみたいだし
早速私との模擬戦だ。
あんなことの後に
手加減されると思わぬように。」
碧大のからかいから、気を取り直したのだろうか
慣れたのだろうか、ソフィが言う。
実際、最近では日常茶飯事になってきていて、
慣れるのも頷けるが、その分軽いからかいでも
素を出すようになっていて、悪い意味でも
慣れていることにソフィ自身は気づいていない。
「うへぇ……重力受けただろう……」
「フン、アレではもう
お前をこらしめることが出来ぬようだし
私らしく剣で懲らしめよう。
それにそのような物言いをする以上、
また繰り返すのだろうからな。」
因みに、このやり取りも繰り返されたもので、
剣でも、碧大が翌日、ソフィをからかうことを
止めることが、恐らく出来ないであろう事にも、
ソフィは気づいていない。
「さぁ来い!」
ソフィのその言葉から始まった、剣戟の音が
ルーシーによる朝食の知らせによって消えたのは
それからしばらく経ったあとだった。
―――
朝食の席で、ソフィがおもむろに口を開いた。
「碧大、これからギルドの進級試験を
受けてみろ。」
ルーシーと碧大の手が止まる。
「えっ……そんな!碧大さんには危険ですよ!」
「今の碧大なら、そう簡単に死なない。
ルーシーも分かっているだろう?」
毎朝の練習を横目に見ていたルーシーは、
ソフィの言葉に黙る。
「でも俺、5つ任務こなしてないぜ?」
ギルドのルールで、進級の申請が出せるのは、
5つ以上のクエストをこなした者だけ、
というものがある。
「それに関しては問題ない。
私の紹介であれば大丈夫だそうだ。
昨日ギルドに問い合わせたら
そういう答えが返ってきた。」
(オイオイ、こんな所でご都合主義かよ、
タグに書いてねーぞ……全くベタだな……)
最近身を潜めていた碧大のメタフィクションな
ことを口走る癖は、潜んでいた分大きな反動を得て、
タグなどと訳の分からない単語まで
出てくる始末である。
「まぁそういうことだ。
Fランクのみが採集や使いということは、
試験はすべて討伐ということになる。
討伐する魔物は自分で決めるといい。」
「わかったよ……」
ソフィの言葉に碧大が頷く。
ルーシーは、なにやら少々
納得がいっていない様子ではあったが、
それは碧大の身を案じてのことだ。
碧大の強さが分かった今、反論するつもりは
無いらしい。
「碧大さん、どうか気をつけて下さいね?」
「あぁ、ありがとうルーシー
早く進級して君に恩を返せるよう頑張るよ。」
「そんな……恩だなんて……
私は何も恩など着せていませんが、
碧大さんがそう思うのでしたら、
そんな事ではなく、
どこかに連れて行ってください。」
「……わかった。
それじゃ落ち着いたら
デートだな!」
そう碧大が朗らかに言うと
やっとルーシーに笑顔が戻る。
碧大が一瞬逡巡したのは、
(あれ……これ死亡フラグ……?)
などと、くだらないことを考えていたせいだ。
つくづくこの男は締まらない。
―――
朝食を終えて、碧大とソフィはギルドへと
訪れた。
受付嬢から渡された、紹介状をしたためる紙と、
進級申請の用紙にそれぞれ記入していく。
変わった事と言えば一つある。
碧大が記入している用紙には、
EではなくDと書かれていたのだ。
通常飛び級など存在しないのだが、
Aランクであるソフィの紹介状なら、
Cランクまで効果があるため、
どうせ受けるなら飛び級とソフィが無理やり
受付嬢とその上司を納得させた。
流石に2つは無理だったようで、
碧大の書く用紙にDと書かれているのは、
ギルド側の最大の譲歩の結果だった。
「これでいいかな……」
碧大がそう言いながら、用紙を見直す。
文字が書けない者のために、代筆システムが
存在するのだが、言葉が通じていることから
恐らくと踏んだ碧大が書いた日本語は
受付嬢やソフィにも通用した。
この世界で使われている文字が、
日本語だった。などというワケではなく、
意味が直接頭に流れるイメージなのだ。
逆に碧大が、ソフィ達の文字や、掲示板などの
文字を読めた時に、その感覚があったので
そうなのだろう。
「うむ、私も出来た。
あとは討伐する魔物だが、
好きなものを選んで来い。
今のお前ならどれも変わらん。」
「うーん、Dランクってどんなのだ?」
「そうだな、トロールやウィンドスネイク、
アンデットの下位種族に、
マーマンあたりだな。
この辺に海はないから最後のは選べないが、」
トロールとは、大きさが人間の倍近くある、
ゴブリンの上位種である。
ウィンドスネイクは、その名の通り
風属性を持つ大蛇だ。
風魔法を使う厄介な魔物らしい。
アンデットの下位種とは、
ゾンビや骸骨剣士などである。
マーマンは人魚の男版と言えばわかるだろう。
「うーん、これかな。
コイツには直接会ってないけど、
同じ種族のやつに、なんども
嫌な思いさせられているからな。」
そう言いながら碧大は、
トロールの討伐依頼を剥がす。
「まぁどれを選んでも、森へ入るからな。
他の依頼にあったモンスターと
出くわすこともある。
ようは目標みたいなものだ。」
ソフィが身も蓋もないことをいう。
「そういうのフラグだから止めてくれよ…」
「フラグ?よくわからんが
今のお前なら大丈夫だろう。」
「なんだよその自信……
いつもは油断するなー!
つって人を打ちのめす癖に。」
ふむ、とソフィがなにやら考えてから
碧大に手をかざすと、碧大の体が異様に軽くなる。
「今、お前にかかっているものと、
それから木刀や靴もだな。
重力の枷をはずした。」
言われてみれば、
碧大の持つ木刀や、靴の重さは消え、
まるで羽のように感じられる。
「おぉ……」
碧大が感嘆の声を漏らす。
以前俊敏を上げた時のような酔いもなく、
自分の思い通りに、
しかも素早く動く体に感動しているようだ。
するとソフィが碧大の木刀を指さし
「そして、最初の頃かけた重さと同じ魔法を
今木刀にかけた。」
「えっ?何も感じないけど……」
「そうだろう。
お前に気付かれないように
お前の体や、道具にかけていた負荷を
少しづつ増やしていたからな。
最初の頃の重さなど、
恐らく全く感じないはずだ。」
ソフィの言葉に、
碧大が木刀を手に取りながら驚く。
「最初は振るのもままならないくらい
重かったのに……」
「正直私も驚いているよ。
こんな一週間などという短期間で、
順応していい重さではない。
お前本当に人間か?」
ソフィが驚き半分からかい半分と言った顔で
碧大に尋ねる。
(ウィンドウのことは言えないしな……)
もちろん碧大は人間であり、
そこまで短期間で伸びたのもウィンドウの恩恵
なのだがソフィにそれを明かすことは出来ない。
いや別に出来るのだが、信じないだろうし、
なにより碧大は目立ちたくは無いな。と思いながら
言い訳を考える。
「まぁ、別によい
お前が人間であることはわかっているしな
冗談だ。」
恐らく、碧大が何かを隠したことは
ソフィも気づいているだろうが、
詮索せずに受付へ向かうよう促す。
「その、ソフィ
なんかありがとうな。」
「ん。そのうち気が向いたら聞かせてくれ。
その……
友達だしな」
「あぁ。」
碧大はソフィの友達発言を今回だけは
からかわずに受け止めた。
「さぁホラ!
進級試験行くぞ!
頑張ってこい!」
そういうとソフィは、顔を赤らめながら
碧大の背中を叩いた。
これでは碧大がからかわなくても同じだろう
と心で思いながら、その激励に応えるのであった。
前書きにいつも書くグダグダしたやつを
今回からあとがきに集約しようと思い
前書きをあらすじのみとしました。
ちなみにあらすじは、久しぶりにあいつの小説読んでやるか
的な人用ですね。頑張って書き続けます。
前書きに書いたイチャイチャ要素なんですが、
失恋した主人公が他の女の子にそう簡単になびかないだろ
つか小説の説明に書くくらいだから、
主人公振った女の子伏線なんじゃないの?!違うの?!
みたいな意見があったらと、怖くて書けません……
(いや例え感想が無くともね?心で思ったりとか)
あっ因みに伏線かどうかは内緒です。
というより考えてません(笑)
最初はそんなつもりだったような
プロットは書いているんですが、
なんか違うわぁ、と最近思い始めたので、、
これは別にネタバレでもなんでもないんで
読んじまったよ……
って方ご安心を!
かなり気持ち薄れてます。
(エタるつもりはないのでそちらもご安心を)
こんなん活動報告に書くべきですよね
スミマセン。。。
それではまた次回!!




