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『裏切りの魔法少女、魔王軍で真の救世主となる』  作者: たい丸
【第4部:世界統一戦争・魔法少女の矜持】

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第69話:洗脳の崩壊

大教会の誇る「賢者」シオンの無残な失策、そして「影の英雄」ミチルの醜悪な本性の暴露。これらは人類勇者連合の兵士たちにとって、信じていた世界が音を立てて崩壊するに等しい衝撃だった。

大陸全土に流れ続ける「透明な事実」は、人間たちの心を縛っていた欺瞞の呪縛を、文字通り根元から断ち切っていった。

「俺たちは……一体何のために戦おうとしていたんだ?」

平和特区『ベルンシュタイン・サンクチュアリ』の遥か手前、進軍を停止した前線陣地で、一人の若き聖騎士が虚ろな目で自らの剣を見つめていた。 その隣の魔導スクリーンには、特区で魔族と人間が共に笑い合い、収穫を喜び合う穏やかな日常が今も映し出されている。一方で、自分たちが命を捧げようとしていた大教会は、自作自演の大虐殺を仕掛け、かつて世界を救った本物の聖女・聖良を私利私欲で陥れていた。

「魔女が悪なんじゃない。悪辣なのは……俺たちのほうだった」

カラン、と静まり返った陣地に硬質な音が響いた。 彼が武器を地面に投げ捨てると、それが呼び水となったかのように、周囲の兵士たちが次々と剣や槍を、そして大教会の紋章が刻まれた盾をその場に置き始めた。

「私はもう戦わない」「故郷の家族に、こんな汚い戦争の大義は説明できない」

王国や教会の言葉を盲信し、亜人を憎むことで自己を正当化していた人間たちが、今、自らの意思で「洗脳」を解いていく。一人、また一人と隊列を離脱し、数十万を誇った大軍勢の末端は、戦う前にして急速に瓦解していった。

「おい! 逃げるな! 戻れ! 持ち場を離れる者は反逆罪に処すぞ!」

勇者連合の本陣では、焦燥しきった騎士長たちが怒号を上げていたが、すでに兵士たちの耳には届かなかった。兵たちの瞳に宿るのは、上層部への深い不信感と嫌悪だけだった。

「ふふ、見事なものね。大軍勢という名の巨獣が、自らの足元から腐って崩れていくわ」

特区の玉座でその光景を監視していた私は、冷たい愉悦を覚えていた。 力でねじ伏せた軍隊は、更なる力によって反抗の火種を残す。しかし、真実によって内側から瓦解した軍隊は、二度と私に刃を向けることはできない。

今や、本陣に残されたのは、地位にしがみつく一部の利権主義者と、エレナの狂信者のみ。 かつて人類の絶対的指導者として君臨した聖女エレナの「正義」は、今や誰からも顧みられない、完全に孤立した砂上の楼閣と化していた。

「さあ、美咲。貴方の完璧な『お人形劇』はこれで幕引きよ」

戦う前にして内部から完全な崩壊の危機に瀕した勇者連合。その中心で一人取り残された偽りの聖女へ向けて、私は最後の一撃を与えるための冷徹な視線を王都へと定めた。


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