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『裏切りの魔法少女、魔王軍で真の救世主となる』  作者: たい丸
【第3部:かつての仲間の再来と「亜人」の解放】

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第44話:洗脳の檻

「……うるさい、うるさいわ! 私を惑わすな、この魔女め!」

ルナリエの絶叫と共に、放たれた矢が嵐のような旋風を巻き起こす。しかし、私はその暴風を割るようにして、彼女の至近距離まで一気に肉薄した。

「ぐっ……!? 近い……!」

弓の間合いを潰されたルナリエが、短剣を抜こうと腰に手をやる。だが、それよりも早く、私の指先が彼女の額に浮かぶ「女王の紋章」を叩いた。

「『深淵のアビス・スパイク』」

私の闇の魔力が、カレンの甘ったるい精神魔術を内側から食い破る。 「あ、が……っ!」 ルナリエの瞳の桃色の霧が激しく揺らぎ、彼女は膝から崩れ落ちた。

「——ちょっと! 何をしているのよ、役立たず!」

塔の上から見下ろしていたカレンが、不快そうに扇を叩きつける。彼女は、自慢の「最高傑作」であるルナリエが揺らいだことに、我慢がならないようだった。

「いいわ、聖良。そこまで言うなら、この里の全員と心中させてあげる。……私のまほうを、全身で浴びなさい!」

カレンが両手を広げると、里全体を覆う巨大な魔法陣が展開された。 『救済のセイント・ガーデン』。 里にいた数百人のエルフたちが、一斉に獣のような咆哮を上げ、理性を失った形相でこちらへ走り出す。

「お姉様! 数が多すぎるわ! このままじゃ踏み潰される!」

リリスが叫び、精神障壁を展開する。だが、洗脳によって「痛覚」すら失ったエルフたちは、自分の骨が折れるのも構わず、障壁に体をぶつけてくる。

「アリシア様……逃げて……。私たちは、もう……」

意識を取り戻しかけたルナリエが、血を吐きながら私の裾を掴む。 里の同胞たちが怪物のように変貌していく光景に、彼女の心は絶望に染まりかけていた。

「逃げる? まさか。……多種族が共に生きるということは、意志を奪い、人形にすることではないわ。カレン」

私は一歩前へ出た。 私の周囲に、闇の魔力が渦を巻き、巨大な蓮の花のように展開していく。

「リリス。貴女の精神介入魔法を、私の魔力に乗せて増幅しなさい。……この偽りの檻を、内側から爆破するわよ」

「……! はい、喜んで!」

リリスが私の背中に手を添え、全魔力を注ぎ込む。 私が前世で「聖女」として学んだ精神浄化の術式に、今世の「深淵」の爆発力を加えた、前代未聞の広域魔法。

「『静寂なる深淵のサイレント・ナイト・アビス』!!」

私の足元から放たれた漆黒の衝撃波が、押し寄せるエルフたちの波を飲み込んでいった。


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