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第2章の12 鳥が告げるは

これをアップしようとしたら停電した。

ノートだから電源は落ちなかったけど回線が切れた……。

更新ボタン押したのに……あとがきとか書いたのに……消えた。

あうぅ、絶望。

 鷺は弥生の自室に足を踏み入れると、あまりにも物がない殺風景な部屋に少し呆気にとられて見渡す。弥生は出窓を開け放ち、窓辺に腰をかけた。彼女の部屋に客人のためのソファーなどない。

 そして鷺に机の椅子に座るように勧めるが、鷺は弥生の隣で外の景色に目をやった。

 心地よい風が二人の間を通り抜けていく。弥生の部屋のすぐ下は鍛錬場のようで、まだ切り口の新しい丸太が転がっていた。

 砂地の一角を囲うように低木が植えてあり、少し視線を先にやれば色とりどりの花で彩られている。


(さすが異空間。外の季節とかは総無視か)


 これなら真冬に薄着で来たのも頷ける。

 鷺は隣の弥生に視線を移した。弥生は鷺のことを気にも留めず、部屋の隅を見ていた。

 二人は昔から、一緒にいても会話をせずに黙っていることが多かった。

 それはほんのわずかな時間だったが、鷺には永い時に感じられた。


「鷺、お前も暇な奴だな。わざわざお前が届けに来ることもなかっただろう」


 昔の記憶に浸っていた鷺は、弥生の声にハッと我に返った。そちらに顔を向けると、弥生の顔が同じ高さにあった。手を伸ばせば触れられる距離だ。


「あいつらにも会っておきたかったんだ。それに俺はそんなに暇じゃないぞ? 明日から半年は世界諜報の旅だ」


「まだ飛び回っているのか」


「ちょっとアメリカとロシアの間で派手なスパイ騒ぎがあったんだ。そっちは派手に取り上げられたが、盗まれた情報のことはさっぱり。スパイ騒ぎを隠れ蓑にして、まだ知られたくないことがあるのかもしれないからな」


 当然国家規模になると潜入先も国家中枢部になる。政府の要人に化けられるのは隊内でも鷺だけだ。


「ご苦労なことだな」


 再び沈黙が下りた。鷺はすっと息を吸うと、静かに訊きたかった言葉を紡ぎ出した。


「なぁ、どうしてあの人間を中に入れている? お前は人間が嫌いだっただろう」


「あれは勝手に入って来ているだけだ。如月に入れたわけではない。目ざわりだ」


「ならなぜ殺さない?」


 鷺はそれが当然のように言った。その言葉通り、弥生は自分の前に立ちふさがる人間を片っ端から葬ってきたのだ。


「……約束をした」


「約束?」


「亡き者との約束だ。何かあれば、あれを守ると」


 鷺は渋い顔をした。一度した約束を違えないのは、弥生の信条だったと思い出す。


(またそんなものに縛られているのか)


「それで、奴を守るのか?」


「あぁ。だが私の邪魔をすれば殺す。守るとは約束したが、殺さないとは約束していないからな」


 自分の論理を貫く弥生に、鷺は苦笑を浮かべた。


「気をつけろよ。今の世の中は人が一人消えただけで大騒ぎする」


「難儀だな……まぁ上手くやるよ」


 鷺は窓辺を離れ、弥生の前に立った。弥生の目をまっすぐ見る。


「弥生……もう一つ忠告だ。最近、黒騎こっきが動き出した」


 黒騎、その言葉に弥生の表情が硬くなった。


「ここ十年その存在さえ掴めなかった黒騎が、お前が帰ったと聞くととたんに表に出てきやがった」


 そして次の瞬間、鷺は弥生の目に起こった一瞬の変化にぞっとした。弥生の瞳に、今まで見たことのないほどの憎悪がよぎったのだ。


「……気をつけろ。奴らがこの十年、何をし、どれほどの力をつけたのかわからない。間違っても一人で戦おうとするなよ」


 鷺の言える精一杯の忠告だったが、それは弥生の耳を素通りしていた。そのことに気づいた鷺は、弥生の肩を掴んだ。そしてその細さに驚き、同時に時の流れを実感する。

 そして、言いたくない言葉を絞り出した。


「弥生。死ぬなよ」


 考えたくもない未来。それでも、何かで弥生を縛っておきたかった。

 弥生はすっと口角を上げ、冷笑を浮かべた。


「それはお互い様だ。お前も死ぬなよ、鷺」


 鷺はしっかり頷くとそっと弥生から離れた。

 そして弥生に背を向け、ドアへと歩き、ドアノブに手をかけて振り向いた。


「今度、お前の故郷の話を聞かせてくれ。魔術界がどんなものか知りたいんだ」


 弥生は突然の言葉に少し驚いたようだが、やがてこくりと頷いた。

 そしてじゃぁな、と鷺がドアを開けると、その先は隊の四剣琅にある大きな扉の前だった。

 鷺は少々面を食らうが、小さく笑って足を踏み出した。

 静かに閉められた扉を眺めながら、弥生は黒騎、と口の中で呟いた。


(あの女が……会った時は…………必ず殺す)


 そして憎悪を深く湛えた笑みを浮かべると、窓の外に視線を飛ばした。

 春の風は花の香を運んで弥生の透明感のある灰色の髪を揺らした。

 花の香が弥生の鼻孔をくすぐることはなく、ただ血に似た甘美な香りが深い記憶を呼び起しただけだった。



 神名の裏話的なもの。


 作者は机の棚からノートを発見した。ノートを開く。

 ノートは真っ黒。中学生の時に書いた話でした。

 神名のもっと先、ネタばれ警報発令の場面。なんで書いた私……。

 そこには鷺もいた。

 衝撃のキャラ。

 弥生のことをそなたと呼んでいた。その上無口。

 そなたっていつの時代の人? 

 いやびっくり。もうこのころの鷺は跡形もない……。

 なんで忘れてたんだろキャラ設定。美月さんも感じが違った。


 しかも、この話はめちゃくちゃなところで終っていた。

 飽きたのだと推測される。

 そして思うことは……

 中学生のころの方が字、きれいじゃん。

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