第1章の28 ほっと一息
短いのでもうひとつ
彼らの家、では少し語弊があったようだ。
勇輝は彼らの称する家を見て絶句していた。
(いや、もうこれ家じゃなくて屋敷じゃね?)
どこをどう行ったかなど勇輝には分からない。
ただ突如目の前に現れた洋館は、勇輝を圧倒した。
何者をも入れまいとする堅固な鉄の門、その先に見える屋敷は天にそびえるように鎮座している。
白い壁は美しく太陽の光を跳ね返しており、屋敷は完璧に左右対称で、手前に広がる庭園は色とりどりの花を咲かせている。
門を抜け、扉を開けると中もまたすごかった。
(たけ~天井)
世界史図説で見たようなベルサイユ宮殿を思わせる、シャンデリアがつり下がった高い天井。
正面に階段があるが、その幅が広い。ここから様々な部屋へと行くのだろう。
玄関ホールと思われるそこは、たくさんの扉があった。どうも中は複雑ならしい。
これほどの屋敷ならば執事の一人や、メイドの一人いてもおかしくないのだが、迎える者はだれもおらず。彼らは目指す部屋へと歩いて行った。
(うわ~螺旋階段まであるよ。貴族の屋敷って感じ~)
勇輝はせわしなく首を動かす。どれもこれも勇輝の興味を駆り立てるものばかりだ。
「じゃぁ、救急箱持ってくるから少し待っててね」
と言われて待たされるのはまた広い部屋。体育館分はあるのではないかと思う。
ところどころ島のようにソファーが固めて置いてある。そのうちの一つに勇輝は腰をかけると全体を見回した。
どうもここはホールのようだ。隅には暖炉があり、薪がぱちぱちと音をたてて燃えている。
見上げれば吹き抜けで二階の廊下の手すりが見えた。
(俺、とんでもないところに来ちゃったんじゃ)
気づけば一人残され、勇輝は少し不安になる。
冷静になって振り返ってみれば、彼らも怪しげな術を使っていたのだ。
(もしかしてあいつらも超能力者? そんでなんかの組織が暗躍してて、それに巻き込まれちゃった感じ?)
勇輝は今まで見聞きしてきたそういう展開を並べてみた。
『お前は知りすぎたんだ……バンッ』
『そ、そんな……バタッ』
秀斗に打たれる勇輝。
そんなシーンをリアルに想像して勇輝は顔を青くする。
(ど~しよ~俺殺されるぅ……)
ドアが音を立てて開かれ、勇輝は体をびくつかせる。
「さ、早くけが見せて!」
そこにいたのが癒慰だったことに心底ほっとする。
「大丈夫だって……ほら、もう血も固まってるし」
勇輝は手を振って大丈夫なのをアピールしてみるが癒慰は黙ったまま消毒液を吹きかけた。
「痛ってぇぇぇ!」
勇輝は痛みに飛び上がる。
「ほら、大丈夫じゃないじゃない」
「それは癒慰が……」
癒慰は勇輝の右手に包帯を巻いていく。
しばし沈黙が流れる。
「……ごめんね。巻き込んじゃって」
「あ、いや。こっちこそ邪魔して迷惑かけてごめん」
「そんなの気にしないで……よし、できた」
勇輝は綺麗にまかれた包帯を見て感嘆の声をあげた。
「癒慰って器用」
「本職なのは錬魔君なんだけどね」
「へ~……」
(そういえば弥生も錬魔に治してもらったとかいってたな。顔は怖いけど、優しいんだな)
気まずい沈黙が降りた。
聞きたいことは山ほどあるが切り出すには勇気がいる。
しばし迷った挙句、いざ訊いてみようとした時、ドアが開いた。
神名の裏話的なもの2
彼らの屋敷から消えた二人!!
サスペンスみたいなあおりをしてみましたが、消したのは作者です。(いや、他にいないだろ)
改定前では彼らの屋敷には使用人かつ保護者のような人がいました。
名をミー子とポン助。安直な名前です。ピンとくるかもしれませんが、化け猫と化けたぬきです。ミー子は猫耳に尻尾とどこかのメイドカフェにでもいそうな格好、ポン助は太ったおじさんでした。
彼らがなぜ消えたのか?
人が多いのでリストラしました。それに彼らなら自分たちでやっていけそうだし。彼らのほかに人間じゃないものもいらなかったし。
ということで没。また人が舞台から消えていきましたとさ……
ではまた~。




