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第1章の22 さらに遅れて登場するのが主人公!

お帰り主人公。

「お前ら何してんだよ!」


 怒声と共に現れた勇輝は弥生と昂乱《こうらん》の間に割って入った。


「いくら不良だからってやっていいことと悪いことはあるだろ! 私刑《リンチ》なんて弱い奴のすることだ!」


 とそこまで一呼吸で言い放ってから、違和感に気がついた。


「あれ? なんかの撮影?」


 弥生が持っているのは鉄パイプなんかではなく剣だ。

 そして風景がありえないほど変形している。まるで隕石でも落ちたかのように穴ぼこだ。


「勇輝君! 早く校舎に戻って!」


「おい秀斗! 校舎とは空間を切り離したんじゃなかったのか!」


「切り離したって! 普通なら中の奴は出てこれねぇし姿も見えねぇよ!」


 外野がうろたえている間に、昂乱は炎で蔓《つる》を焼き払った。


「勇輝! 危ない!」


「え?」


 弥生は勇輝の服を掴んで乱暴に横へと薙ぎ倒し、昂乱の鈍く光る杖を剣で防いだ。

 だが受けきることができず、片口に鋭い痛みを感じた。奥歯をぐっと噛みしめ、弥生は剣を薙ぎ払う。


「痛ってぇ! 何すんだよ弥生! って、は?」


 勢いよく立ちあがった勇輝は弥生の肩口が紅く染まっているのを見て慄然とした。


(あれ、血? え、なんで? なんで血が? 血、チ?)


「しこみなんて、卑怯な手を使うのね」


「戦いなど、所詮そんなものだ」


 そして昂乱は勇輝の背後へと回り込むと、その喉元に刃を添えた。


「勇輝!」


 秀斗の悲痛な叫びが聞こえる。


「え?」


 勇輝はゆっくりと、自分を捉えている相手を見る。恐怖で顔は引きつっていた。


(このじいさんは被害者じゃなかったっけ? なんで今俺をハンティングしてるわけ?)


 唐突に命の危機に晒され、勇輝の頭が先に逝ってしまいそうだ。


「この小僧、貴様らが守るほどの者だ。相当の価値があるのだろうな」


 昂乱は喉の奥で笑い、口角をにぃと吊り上げた。


「さらばだ、四剣琅の諸君。よい能力を捧げてくれて感謝するよ」


 すると、昂乱の背が盛り上がり、服は裂け、漆黒の翼が現れた。


「なんだよあれ! あいつどっからあんな能力奪いやがった?」


 昂乱は砂を巻き上げながら羽ばたいて上昇する。

 弥生が攻撃の構えを見せるが、勇輝を盾に威嚇されれば黙って見ているよりほかない。


「秀! 学校の敷地に、障壁は築いてあったよね!」


「あぁ、でも力を奪われたせいでどうも強度が弱まってやがる……もたねぇかも」


 その言葉のとおり、昂乱は障壁を突き破って出て行った。


 一つ二つと散ってくる羽の中、弥生は激情に任せて剣を地面に突き刺した。



グッバイ主人公。


勇輝 「ちょっと、俺久し振りに出てきて即囚われの身ですか?」


作者 「お約束のね」


勇輝 「……俺って主人公だよな?」

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