第1章の21 強き者は遅れて登場し
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調子にのって、続きを更新です。
たくさんの読者の皆様、ありがとうございます。
「千変万化の水、よい能力だ」
奪われる。
そう零華は覚悟した。不覚にも身が強張って動くことができない。
「させるかよ!」
しかし昂乱の右手は零華に触れる瞬間に弾かれた。
昂乱がゆっくりと頭を秀斗へと向ける。無言で杖で地面をつくと、砂と炎の龍が飛び出し牙を剥いた。
「なかなかセンスのあるもん出してくるじゃねぇか!」
二頭の龍はその大きな口で秀斗を飲み込もうと突進する。それを秀斗は正面から受け止めた。
龍は噛み砕こうと牙を立てるが秀斗に触れることすらかなわない。
「そんなスッカスカの牙に俺の障壁が負けるかよ!」
秀斗は覇動で二頭を吹き飛ばすと昂乱に向きなおった。
「結界の能力者と言ったところか」
「やれんなら俺の首取ってみろよ」
秀斗の挑発に昂乱は片方の口角を上げて応えた。そして一気に間合いを詰めると手刀を叩きこんだ。
しかしそれも弾かれ、昂乱はその反動を飛び退いて殺す。
再び間合いを詰めると今度は杖を突きだした。杖は障壁とぶつかって火花を散らしている。
「それ、ただの杖じゃねぇな」
「ふっ、わしが十数年気を送り続けた代物だ。甘く見るなよ」
昂乱はさらに杖に力を込めたが、障壁はそれを押し返した。
「ムダムダ。俺の障壁は核爆弾だって防げるんだぜ?」
「くっくっく……」
「……何がおかしいんだよ」
昂乱は笑いをかみ殺しつつ一歩退くと、懐から数珠を取り出して右手に巻きつけた。
「青いな。結界破りは何も叩き壊すだけではないのだよ」
昂乱は一足飛びで踏み込み、手刀を繰り出した。
すると弾かれるはずの昂乱の手はすっと障壁を通り抜けて秀斗の首を掴みあげた。
「なっ、俺の、障壁を……」
秀斗は苦しそうに顔を歪めて昂乱を見下ろす。
全身の血が沸き立つ、力を持っていかれているのが感じ取れた。
(なんつー力だよ!)
「破魔の力を持った数珠だ。貴様の結界、貰いうける」
苦しげに呻いていた秀斗の口角が上がり首元の腕を掴んだ。
「なーんてな。やっと捕まえたぜ昂乱!」
異変を感じた昂乱は引こうするが、意に反して体は動かない。
「ざーん念でした。俺の能力は空間支配。人を見た目で判断すると痛い目にあうぜ?」
秀斗は逆の手でヘアバンドをくいっと上げた。その下には金色に光る環が嵌っており強い力を放っている。
「己……」
「それと、結界ってのは大抵何かを媒体にしなきゃ発動しねぇ。一番扱いやすくて多いのが玉。今、お前の首にかかってるようなな!」
昂乱ははっとして自分の胸元に視線を落とした。先ほどまでの戦闘で服の下に隠してあったのが出てしまったらしい。
「どこのどいつから奪った術か知らねぇが、安易すぎるってもんだぜ!」
秀斗は昂乱の持つ玉に手を伸ばし、それに覇動をこめて粉砕した。
その瞬間に昂乱を纏う結界もこなごなに砕け散る。
「今だ弥生!」
その声と共に弥生が上空に現れその手に持つ剣を振り下ろした。狙いは右腕、肩より下が寸断されるはずだったが、昂乱は杖で剣受けると薙ぎ払った。
弥生は後へ飛び退き、態勢を整える。
「銀髪に、西洋の剣……貴様か、わしの同士達を殺したのは」
昂乱は怒気を露わにして杖を後ろへ、秀斗へと突き上げた。突かれた先から衝撃が生まれ、爆風を巻き起こす。
秀斗は衝撃は防いだものの、爆風に煽られ後ろへと飛ばされた。
「痛っ」
校舎に体を打ちつける。
「「秀斗君!」」
慌てて癒慰と零華が秀斗へと駆け寄った。
弥生はそれを一瞥すると、再び昂乱に向きなおる。
「そうよ。そして、最後の族、昂乱。貴方も私が殺す」
「属性に縛られた魔術師如きが……同士達の無念。ここで晴らさせてもらおう」
昂乱が杖を弥生に向けると、先端から光が放たれた。
それを弥生は避けながら相手との間合いを詰める。
「さっきの若造は星か。使い勝手の悪い能力だな」
「人の能力にけちつけんじゃねぇよ!」
壁に叩きつけられてもほぼ無傷な秀斗が特大の光の玉を昂乱へ投げる。
昂乱は跳躍して空中へと回避した。
「氷結花!」
「氷如きにわしがやれるか」
昂乱は自分を炎で包み、刃の侵入を防ぐ。
そしてその炎を地面へと叩きつけ、氷の壁で直撃を避けた零華の背後へと回り込んだ。
(速い!)
零華は氷で身を守ろうとするが、それを昴乱の動きが上回る。
「お嬢さんは、家で本でも読んでいるといい」
昂乱は手刀を首筋へと叩きこみ、零華を気絶させた。
ほんの少し触れるだけ、能力を奪うにはそれだけで十分だった。
「零華から離れやがれくそじじい!」
秀斗が光をマシンガンのように連射する。
昂乱はそれを難なく避けていた。
「年齢詐称してんじゃねぇよ! じじいにはじじいの動き方ってのがあるだろーが!」
秀斗の怒声とともに弥生が昂乱に斬りかかる。
弥生の斬撃は寸での所で杖によって受けられたが、昴乱は剣圧に押され地面に叩きつけられた。
「叢薇砂城の縛!」
昂乱が落ちたのを見計らって癒慰は術をかけ、植物の蔓で昂乱の動きを封じた。
「ちっ、植物ごときが」
「終わりよ、昂乱」
弥生が剣を振り上げ、その首筋へと振り下ろしたのと、彼らが新たな存在の気配に気づいたのはほぼ同時だった。
区切り、いいかな?
これ以上やったら自分の首締めるんで……
秀斗 「俺の活躍期待してくれよな!」
作者 「勝手に入ってこないでください!」




