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第1章の20 魔術で彩れ

戦いって区切るのが難しい。

 一時間目が始まって少し経ったころ、一台の車が校門から入ってきた。

 真っ黒な車が玄関に横付けされ、運転手が後部座席のドアを開ける。


 そこから出てきた初老の男は、足が悪いのか歩行補助用の杖をつき、顔つきは厳しく、そして右手には革の手袋を嵌めていた。

 報告書通りの姿、昂乱こうらんだ。



「来たぜ」


 屋上で見張っていた秀斗が全神経を周囲に集中させた。見えない覇動が空気を伝わり辺りを包み込んでいく。昂乱はかすかな覇動に気づき、弾かれたように上を見上げた。


「守護障壁、完了」


「それじゃぁ、狩りを始めよう」


 弥生の一言で皆が四方に散った。


 秀斗はポケットから拳銃を取り出し、校舎の壁を駆け降りた。

 跳躍した瞬間、昂乱に向け引き金を引く。しかし、澄んだ破裂音は、硬質の物との衝突音にかき消された。

 昂乱は突然の襲撃にも眉一つ動かさずに、不気味な笑みを浮かべていた。


 「ど~も~。龍牙隊暗殺専門の死堅牢しけんろう、如月で~す」


 秀斗は、銃は効かないと判断したのか早々に拳銃をしまう。


四剣琅しけんろう……あぁ、死堅牢しけんろうの如月か。四番ごときがわしに勝てると思っているのか? 青いな」


「私たちを四番手だからって、甘く見ないでくれる?」


 背後から投げかけられた声に昂乱が振り向くと、砂の波が目前に迫っていた。


「ふっ、無駄なことを」


 砂は昂乱を飲み込み、収縮する。球形にとどまったと見えた次の瞬間、それは弾け飛んだ。


「土か」


 昂乱は検分するような目つきで癒慰ゆいを上から下まで見た。その眼にはなんの危機感もない。

 彼は、新たな能力をただ吟味していた。


「大地って言ってくれる? 秀斗君、避けてね!」


 癒慰は大きく足を振り上げると地面へ踵落としを喰らわせる。

 振り下ろされた所の地面には亀裂が入り、それは真っ直ぐ昂乱に向かう。


「みかけによらず。ずいぶん荒い技を使う」


 昂乱は持っていた杖で軽く地面を突いた。

 するとこちらからも亀裂が入り、衝突して地割れを引き起こした。


「ふ~ん。貴方も大地の能力を?」


「ふ、わしのはただ気を地面に流しこんだだけさ。だから……貴様の能力、貰うぞ」


 昂乱は不敵な笑みを浮かべて、右手の皮手袋を外した。

 その瞬間、癒慰の視界から昂乱は消えた。


「まずい! 癒慰、後ろだ!」


 秀斗が癒慰に叫ぶのと癒慰が危険を察知して横に飛び退くのはほぼ同じ。

 だが、昂乱の突き上げる右手は癒慰の首筋をかすった。


 やられた!


「あんた全然足悪くなんてないじゃない!」


「癒慰ちゃん! 避けて!」


 その声に癒慰が飛び退くと、そこを水と炎の柱が過ぎ去った。

 二つは昂乱の結界に跳ね返り消滅する。


「未熟者が」


 昂乱が杖で地面を一度つくと、砂がうねりを伴って零華れいか錬魔れんまに襲いかかった。

 二人は横に飛び退いて避ける。


「土……癒慰の能力か!」


 錬魔は右手を昂乱へと伸ばし、炎を放った。


「無駄だと言っておるのに……わしの結界はそう簡単には破れんよ」


「しかし、どんな結界にも限界はあります」


 零華は無数の氷の刃を出現させ、それらを一斉に昂乱へと浴びせた。それに癒慰も砂を針状に固めて放つ。

 三方向からの一斉攻撃に結界が少し揺らぎ、昂乱が片眉をあげた。

 そして杖を持つ手にぐっと力を入れた。昂乱の足もとの土が盛り上がって、壁を形成する。

 彼らの術は全てその壁に吸収された。


「ちょっと~私の能力勝手に使わないでよ!」


 癒慰は怒りをこめてそう叫んだ。

 それと同時に昂乱の周りの土が盛り上がり、鋭い突起となって昂乱を襲う。

 次から次へと形成される凶器を昂乱は老人とは思えぬ脚力でかわしていた。


「あの速さ、間違いなく二番手の方の能力ですね」


「も~何やっかいな能力奪われてんのよあの人は!」


「力まかせの攻撃など何にもならんわ」


 昂乱は嘲笑を浮かべるとまたふっと視界から消えた。


「来るぞ!」


 彼らは神経を集中させて昂乱の動きを探る。

 錬魔か、零華か、秀斗か……。


「錬魔! 後ろだ!」


 秀斗が術を放とうとするより前に昂乱は錬魔の後ろを取っていた。


「緩慢な……」


 錬魔は体にひねりを加えて飛び退いたが、その背後に回られ手を掴まれた。


「うぐっ……」


 掴まれた瞬間に激痛が走った。己の力と昂乱の力がせめぎあって、骨まで溶けてしまいそうな熱さだ。


「どうだ? 自分の炎に焼かれる気分は」


氷結花ひょうけっか!」


刃華乱舞じんからんぶ!」


 氷の刃と花と刃が昂乱に叩きつけられる。

 昂乱は軽く舌打ちをし、錬魔から手を放すと飛び退いてそれを避けた。


「錬魔君! 大丈夫ですか?」


 錬魔は手形がくっきりとついた己の腕を見た。

 まだ少し煙が上っている。


「問題ない……っ、零華!」


 顔を上げた錬魔の目に、零華の後ろに回り込んだ昂乱の姿が映った。


 神名の裏話的なもの


 かれこれ書き始めたのは5年前。今とは文体も違い、一人称で進めていたりしている……。読み返すとめちゃくちゃです。はずかしぃ。

 昂乱もいませんでした。

 没ネタでは転校生と勇輝は学校で生徒会と戦います。やくざがからんで命をかけたかくれんぼを始めちゃってます。

 しかし! ふと気がついた。 これ……人多くね?

 かき分けができず、結局何がしたいのかわからない。しかも話が甘い。世の中が甘すぎた。

 そうして泣く泣く全面改定。だいぶ変わりました。

 魔術もそんなに出てこなかったしね……。

 よってパソコンには神の名の下に改と書かれています。

 

 暴露話はこの辺で、また私の小説を読みに来てくださればうれしいです。

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