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(ゼロ!今の光が来た方向、その後ろをとれ!注意しろよ!!)
(承知。やってもいいのですよね?)
(構わん。だが死ぬことは許さん)
(はい。マスター)
晶、フローラ、エル、ゼロに乗っていた三人が飛び降りた。
フローラは晶に抱きかかえられている。
青羽魔族を襲った謎の光線、レーザー、ビームは対空攻撃として優秀過ぎる。
隠れる場所もない空では戦えないと晶が判断。
そして晶がゼロに念話で指示を出す。
良い的になってしまうゼロを戦場から離すつもりだろう。
だが遊ばせるつもりもないようで、相手の逃げ場も潰す気らしい。
ゼロは素直に返事をしているが、やる気は失っていない。
隙あらば襲うに違いない。
低く飛びながら戦場を大きく迂回していくゼロ。
そんなゼロを見送る晶。
「アキラ……ボクは行くよ?」
さぁ、動くぞ。
と言った所でフローラが晶をジッと見て力強く言い放つ。
青羽魔族を撃ち落とした光線は危険だ。
恐らくフローラではまともに回避出来ない。
脳筋ズを含めても身体能力は一番下だ。
魔力で強化しても変わるまい。
だから置いて行かれると思ったのだろう。
綺麗な青い瞳に見据えられてたじろぐ晶。
「出来れば残って欲しいんだけど……」
「アキラ、様、この戦場に安全はない」
「そう、そうだよ!どこにいても変わらないなら近くにいたい!」
「……それもそうか。解った俺達で守るさ!」
「ありがとう!アキラ、エル!!」
「ええ」
晶がフローラの眼差しに負けずに言う。
押され気味ではあるが、頑張っている。
そこへ銀髪美人からの援護射撃。
言葉は足りないが、どこにいても危ないなら近くにいた方が守れると言っているのだろう。
フローラはエルの意図をしっかり理解。
晶に詰め寄る。
エルの言う事も一理あると思ったのか、フローラの意見を了承。
真面目な顔をしていたフローラ、ぱぁっと明るい笑顔になる。
礼を言われて淡々と返すエル。
「エル、お前の方が探知、回避は上手い。任せるぞ」
「ええ」
「行くぞ」
「ええ」
「行こう!」
晶に言われフローラをお姫様抱っこするエル。
そして向かう先は……青羽魔族の落ちた辺り。
晶とエルの身体能力は凄まじい。
周りの木々が高速で後方へ流れていく。
自分で走っていないフローラは目を閉じている。
魔力感知に全力を注いでいるのだろう。
役割分担としては最良かも知れない。
「むっ!」
「生きている」
「あっちか……よっぽど頭に来たんだな」
(青羽魔族が地面を走っているみたいですねー)
「追うぞ」
「ええ」
「うん」
走っている晶達の目の端で木が次々となぎ倒されていった。
ある方向へ向かってだ。
エルが生きていると言ったのは青羽魔族の事だ。
木々をなぎ倒して進んでいるのは青羽魔族だと思われる。
森を走ってレーザーを撃ってきたヤツを目掛けて走っているらしい。
晶も誰が木を倒し進んでいるのか理解。
木が倒れている跡を追うのであった。
(アキラ、大丈夫かのぅ?)
(タケさん、無事だよ。俺達は青羽魔族を追って光線の元へ走ってる)
(ワシらも追うか?)
(大亀をやってくれ。後ろを気にしたくない)
(良かろう。無理をするでないぞ?)
(そっちもね)
晶が走っているとタケマツから念話が入る。
あまり鬼気迫った感じではない。
光線が直撃していないのを知っていたのだろう。
そして相談。
脳筋ズ、鎧ズを率いているタケマツにはそのまま戦ってもらう。
晶にとってありがたい存在、タケマツ。
戦力としても指揮者としてもだ。
頼もしい。
任せられる。
晶は走りながら、ぴよこを被っていないローブのフードへ入れる。
さすがに抱きかかえてはいられなくなっている。
戦闘の気配。
エルは周囲を索敵しつつ晶の後を走る。
フローラも魔力探知。
緊張感が高まる。
「森の先、光った」
「だな。青羽魔族が迫ったんだろう」
「迎撃ね」
エルが木々の先から漏れた光を捉える。
晶も気が付いていた。
冷静に分析。
フローラも情報共有。
まだ見えないが戦いは始まっている模様。
空を襲った光ほどではないが、細かく光っているのが解る。
それが収まらない所から青羽魔族は健在。
青羽魔族がなぎ倒した森の木々を追った先。
そこは戦闘の跡、木々がなぎ倒され広場が出来ていた。
まだ本気ではないのか、お互いにしゃべっていたり。
様子見という事だろうか。
「ははっ!お前は本当に気持ち悪いな」
「あ゛ぁ!?」
アレスが大きくなったらこんな風になるかも、そんな若い男がいた。
着ている鎧は真っ白で金色の縁取りが入っている、何だかお高そう。
大剣を地面に突き差して両手を乗せてポーズをとっている。
装備、風貌、貴公子っぽい。
キラキラ、サラサラを周囲に見せつけている男は青羽魔族を笑いながら侮辱している。
ただ口調は日常会話のようであった。
特に危機感はない。
青羽魔族も様子見なのか立ち止まっている。
侮辱されて激昂する青羽魔族。
血管がブチ切れそうな感じ。
「気持ち悪いモノを消すのも、このボク、フォックスの仕事という事だねぇ!」
「死ねぇ!!」
金髪をかき上げて更に侮辱する貴公子。
ナルシスト……そんな言葉がお似合い。
だがそう言えるだけの美貌は持っている。
そんな貴公子の名前はフォックスというらしい。
もう言葉は聞かん!そんな感じで腕を振り上げる青羽魔族。
距離があるので魔法を放つのだろう。
「ズィール」
「ははっ」
貴公子が名前を呼ぶと磨き上げられた銀色の鎧を着た者が貴公子の前に出た。
兜で顔は見えないが、体格、声からしてズィールは男。
同じく銀色のタワーシールドを持っている。
盾を構えて青羽魔族から放たれた五連発の火の玉を迎え撃った。
盾が一瞬煌めく。
どうやらただの盾ではなさそう。
誰も倒れたりはしていない。
そして火の玉も消えていた。
「おや、他にもお客さんかな?うーん知らない顔だね。女性は資格十分だが、男は消えるべきだねぇ」
余裕たっぷりで未だポーズをとっていた貴公子。
その貴公子が晶達の存在に気が付いた。
細かく顔が見れるほどの距離ではないはずだが、ちゃんと見えているようである。
そして何となく晶が侮辱されている気配。
「うるせーよ、成金野郎」
「おやおや、顔だけでなく言葉も不自由なのかね?可哀想なものだ……」
晶が目立つ鎧を見て成金野郎と言い返す。
しかし貴公子の口は達者なようで、倍になって返って来た。
晶の額に血管が浮きそう……。
「てめーは空にいたヤツだな!まとめてやってやらぁ!!」
「お前は会話に参加できる存在ではないのだよ?黙っていたまえ」
青羽魔族が晶を見て大声を張り上げる。
そんな青羽魔族の左羽が消失していた。
左腕に焦げた跡も見える。
レーザーでやられたのであろう。
しかし威勢は衰えていない。
そんな青羽魔族にきつい事を言う貴公子。
青羽魔族が貴公子へ向かって突撃。
フルプレートでタワーシールド、片手剣を持ったズィールが立ち塞がる。
重く金属音が辺りへ響く。
ズィールがたたらを踏む。
青羽魔族も勢いが止められた。
どちらも何かがおかしい。
青羽魔族の身体能力は異常だし体も大きく三m近い身長、それを吹き飛ばされないで受け止められるズィールも異常だ。
(貴公子的に、アキラは許せる範疇で、青羽魔族は眼中無しって事ですねぇ……良かったのかな?)
(カヅキ……そんな呑気に分析している場合じゃないぞ?)
(どうせ私は直接戦闘の役には立ちませんしー)
(……一理ある)
(それより……)
(ん?)
(貴公子の後ろにいる人達が気になりますー)
(まぁ……そうだな)
カヅキは目の前で行われている戦闘には言及せず、直前の会話について言って来た。
確かに、聞き様によっては晶は会話に参加できると受け取れる。
人かどうか?いや美醜で判断しているのかも。
貴公子、曲者である。
その貴公子はポーズをとったまま身動ぎ一つしていない。
よっぽどズィールの力を信用しているのだろうか。
カヅキは戦闘より、この場にいる他の者達が気になっている模様。
晶もそうだった。
そちらへ視線を向けるのであった。
この場にいる者。
晶、フローラ、エル。
青羽魔族。
貴公子、盾戦士。
そして……大きい方から言うとワイバーン一体、グリフォン二体。
貴公子達が乗って来たのであろう、それだけの人数がいる。
他の者、女戦士が二人、ローブに杖を持った女が一人、竜退治のRPGに出て来そうな青と白の服を着た神官らしき女が一人。
青年が一人、仮面の者が三人……三人は魔物に付き添っている事からしてテイマーっぽい。
勢力的には貴公子陣営が多い。
晶、カヅキが戦闘以上に気になる事は女戦士であろう。
「ビキニアーマー……」
(ね!ゲームみたいー)
「恥ずかしくないのかな?」
「ええ……」
「女戦士ってだけでも初めて見たのに……」
(こっちの女戦士はビキニアーマー着用が義務付けられているのでしょうかー)
貴公子陣営の女戦士が目立っていた。
貴公子と同じくらい目立っていた。
男が見れば貴公子以上であろう。
その姿は肌色が良く見えた。
ビキニアーマー。
ビキニアーマーを着た女戦士二人。
並々ならぬ露出っぷり。
ビキニアーマーが胸と腰回りを辛うじて隠している。
マントすらつけていないので露出狂の鑑と言えるかも知れない。
しかも髪の毛の色も相当だ。
弓を持った女戦士はピンク色の髪。
ふわふわくせっ毛でパーマがかかっているかのようだ。
肩までの髪が可愛らしい。
槍を持った女戦士はオレンジ色の髪。
こちらは綺麗なストレートだが長さは同じく肩まで。
頭の上にはアホ毛が跳ねていたり。
他の者も彼女達がいなければ、それなりに目立つはずだが残念な事である。
貴公子陣営の青年が晶達を見て苦笑していた。
よくある展開なのだろう、女戦士が視線を集めてしまうのは……。
「うん、珍しい」
「む、あれは……」
「エル知っているのか!?」
(いい仕事ですー)
フローラも女戦士を珍しいと言う。
そしてエルが反応。
視線は女戦士達に向かっている。
エルが何かを知っていると察した晶が問いかける。
カヅキが何やら感心していたり。
「あれも魔族。たぶんサッキュバス」
「露出狂はサッキュバス!」
(お色気担当キター!!)
砂埃を巻き上げて戦う者達は視界の端に置くだけ。
本来、目を見張るような戦いのはずであったが、これまた残念な事である。
女戦士達の話題で盛り上がる晶達であった。
戦闘の余波が来ないことを祈るばかりである……。




