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「その前に一つ確認させておくれ。そのちょっとおかしい力は他の者に付いている首輪でも外せるのかい?」
「おかしい力……まぁ、たぶん大丈夫」
(大丈夫ですよー)
「そう、そうなのね。良かったわ」
「それで依頼の話は?」
ハンナの質問に答える晶。
カヅキのカード化能力をおかしい呼ばわりされて微妙そうな顔。
他の者にも使えると聞き安堵するハンナ。
フローラとシーベルから外せているのだから、再確認という事だろう。
「同じように隷属の首輪を付けられた者から首輪を外してもらいたい」
「そういう依頼か」
(どうするカヅキ?)
ハンナからの依頼は隷属の首輪、その除去であった。
晶が少し考え込む風。
実際は念話でカヅキに聞いていたり。
力を行使するのはカヅキだ。
外の者達から見れば晶の力なのだが。
(んー、別にいいんじゃないでしょうかー。後ろの方々からの依頼っぽいですしー。恩を売れますよー)
(カヅキもそうみるか。ワシもそうじゃと思うぞい)
(じゃ、受けるね)
カヅキの考えを聞いた晶。
カヅキは特に問題なさそう。
それもそうだろう、カヅキが誰かに何かをされるとは考えにくい。
晶のようなネクロマンサーか教会の者達ならば何か出来るかも知れないが。
「いいですよ。冒険者らしく報酬で受けましょうかね」
「そうしてくれると助かる」
「そうだなぁ……」
(どんな報酬がいいと思う?)
(お金はいくらあっても困りませんが、コス家から賠償金をたんまりいただきましたしねー)
(武器防具もじゃな。魔導具は色々あって面白そうじゃが)
(あー、お宝はいいですよねー)
(後、コス家が潰されるのであればこの都市にまた来る事もあるのではないかのぅ)
(安全と便宜を図ってもらうって事ですねー)
(なるほど)
晶が受けるといい、報酬という言葉を出すとハンナがホッとしていた。
お金で済むのが一番楽なのだろう。
変な借りよりもずっといいはず。
報酬の内容を考えている風の晶。
脳内会議を開催。
晶には思いつかなかったのだろう。
欲があるのかないのか……。
カヅキの言う通り、コス家の宝物庫から金品、宝石をいただいている。
武器庫から武器防具も。
魔導具もいくつかを取っていた。
タケマツがこの都市コナモの再来訪についての話を出す。
ハンナ、デルマの後ろにいる者……おそらく大物貴族か王族関係者。
その者達の存在を示唆するタケマツとカヅキ。
そっちに便宜を図ってもらうのもアリだと言っている。
晶は話を聞いて納得していた。
晶も危険がないなら街を見たいと思っていたのであろう。
「面白い魔導具があったら見たいし欲しいですね。後は……この街での安全に便宜を図ってもらいたいかな」
「魔導具ね……街で売っているようなモノじゃないのよね?街での安全は……」
ハンナは魔導具と聞いて少し間を置いてから聞いて来た。
魔導具を報酬で出すのは構わないがどの程度の代物か計りかねているのだろう。
それから街での安全についてといいつつ、後ろを振り返っていた。
キラキラ男女の方をだ。
ハンナもキラキラ男女も隠す気はないらしい。
面白がっているのかも。
ハンナに見られて、キラキラ男が頷いている。
オッケーという事だろう。
誰に相談する事もなく即決できる男、そういう立場なのだと判る。
おそらくキラキラ女も。
サラサラの金髪が光を放つ。
アレスを思い出させる。
「街の魔導具屋を見る暇がなかったので判らないけど、珍しいモノの方が面白そう」
「判ったわ。それから街での安全に便宜を図るのも大丈夫よ」
「おー」
「任せてちょうだい。約束は守るわ」
「あいよ。それなら早速やろうか?行くの来るの?」
珍しく面白い魔導具という報酬と街での安全という報酬がもらえる事になった。
晶はハンナに早速仕事をしようかと提案している。
面倒は嫌い、面倒な事はさっさと終わらせたい男、晶。
「アキラに行ってもらいたいわ」
「そうですね」
「それじゃ、行こうか。みんなは……」
ハンナが晶に動いてもらいたいと返事。
デルマも同意している。
キラキラ男女も頷いている。
余り出歩けない者に隷属の首輪が付けられているのかも。
報酬から考えても偉い人が対象に違いない。
晶も薄々感じている模様。
晶がソファーから腰を上げる。
そして朝食をがっついていたみんなに視線を向ける。
「ボク達も付いて行っていいのかな?いいなら行く」
「ええ」
「メシもなくなったし付いて行くぜ」
「アキラの変な力に興味ある」
「何か面白い事すんのかぁ?行くぞ」
「そうですね」
フローラはハンナを見て言う。
付いていってもいいなら行くと。
エルは一言、フローラへ同意。
バドは朝食がなくなりやる事がないと。
ワイザーは晶の力を見られると興味深々。
ノックもバドと同じく食べる物を食べ暇になったっぽい。
シーベルはノックのいう事に追随。
全員付いて行くらしい。
「出来ればここでお休みいただきたいのですが……」
ハンナがキラキラ男女を見る。
キラキラ男女は考え込んでいる。
珍しく即決ではない。
配慮がいる相手っぽい。
そしてキラキラ男が頷いた。
いいらしい。
キラキラ女がキラキラ男をジッと見ている。
デルマ、ハンナもだ。
「……いいでしょう。みなさんもどうぞ」
「「「おう!」」」
「はい」
「良かった」
「ええ」
ハンナはいいのかな?といった感じだが顔には出していない。
脳筋ズは元気がいい。
誰が相手でも構わないのだろうか?
大物である。
フローラは嬉しそう。
良く知らない屋敷で晶と離れるのが嫌だと思われる。
エルは当然といった感じで澄まし顔。
キラキラ男女を先頭に部屋を出る一行であった。
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晶達が屋敷を出る事はなかった。
通路は歩いたものの同じ屋敷内であった。
晶達がいた部屋と同じ扉の部屋。
その扉を扉の前にいた兵士がノック。
中の人と小声でやりとり。
キラキラ男女を先頭に部屋へ入るのであった。
メイド達四人が出迎えてくれた。
キラキラ男女を恭しく出迎えている。
それに鷹揚とした態度で答えている。
それが様になっている。
とても自然だ。
いつも誰かに跪かれているのかも。
部屋は嫌味でない程度には豪華だった。
コス家の馬鹿息子の成金趣味とは大違い。
落ち着いた雰囲気。
だが調度品は晶達のいた部屋の物より上っぽい。
お金がかかっていそう。
「おにいさま!おねえさま!」
部屋に子供の声が響く。
少し甲高い声。
机に向かっていた子供が立ち上がってキラキラ男女に駆け寄った。
机の側には身形の整ったおじさんがいる。
どうやら勉強をしていたらしい。
家庭教師だろう。
机から離れた子供を咎めずに見守っていたり。
おじさんの目は微笑ましいものを見る様な目であった。
「おぉ!元気だったか?」
「首は痛くないかしら?」
「げんきだよ!くびはちょっといたいの」
おにいさま、おねえさまはキラキラ男女であった。
キラキラ男は片足の膝を下につけて目線を合わせている。
出来る男だ。
小さい子供に抱き付かれて相好を崩すキラキラ男。
キラキラ女も抱擁に参加した。
登場人物全員が美形であった。
子供すらもである。
格差というのは間違いなくあるようだ。
キラキラ男女が子供に問いかける。
優しい声色だ。
晶達の前ではしゃべっていなかった。
笑顔の子供は嬉しそうに、そして一生懸命にしゃべっていた。
そして子供の首には首輪があった……。
(仲の良い兄弟じゃのぅ)
(小さい子に首輪なんて……許せません)
(痛々しいね……)
晶達はボーッと立ったまま様子を伺っていた。
脳筋ズですら黙って見守っている。
ハンナ、デルマ達もである。
「お……デーガ様です」
ハンナが晶達にこそっと話す。
お、の後に言葉が続きそうだったが何だったのであろうか。
子供はデーガというらしい。
「デーガ様の首からアレを外していただきたいのです」
「まぁ、問題ない。ないけどどうしてあんな子供に……」
ハンナが首輪を指して外してほしいと言う。
依頼の通りだ。
晶も自分の首にあった物と同じなのを見て問題ないと返事。
晶の言葉は段々小さくなっていった。
子供の首に不釣合いなモノが痛々しく存在していた。
晶は苦々しく思っている模様。
「デーガ様は一度誘拐されました。そしてアレを……幸いアレに魔力を注いだ者の一人は確保出来たので殺さずに飼っています」
ハンナも怒りを堪えているようだった。
出来るだけ感情を出さないように、わざと淡々と話している。
あの子も晶とフローラのように誰かに攫われたという。
そして同じ体験。
晶やフローラにとっては他人ごとではない。
ましてや小さい子供だ。
かなり同情している。
それが顔に出ている。
今にも泣き出しそうなフローラ。
優しい子だ。
ハンナは誘拐犯の一人を飼っていると……怒っているのは間違いない。
他の犯人達がどうなったのかは聞くまでもなさそう。
隷属の首輪レプリカに登録した三つの魔力、その内の誰かが一定時間内に注がねば首輪が炎上する。
正に不幸中の幸い。
だからデーガは生きている。
「出来れば早く外してあげたいんだけど……」
晶がハンナに言う。
晶の隣でフローラがコクコクと頷いている。
だが、デーガとキラキラ男女の空気に割って入る勇気はなかった。
それだけの空気があった。
後、美形達の中に入りたくないってのもありそう。
晶は不細工ではない。
ないが、どう見ても見劣りしてしまう。
無理もない。
「私も言いにくいですね……」
ハンナでも無理らしい。
静観する晶達であった。
キラキラ男女とデーガが待っている者達に気付くまで少々の時間を要した。
晶達はともかく、脳筋ズが黙って見守っていたのは意外であった。
みんな子供には弱いのかも知れない。
そう思うとイカツイ顔や、ごっつい体も可愛く……は見えないか。
「行くよー」
(行きますねー)
「うん……」
「デーガ!頑張れ!」
「怖くないわよー!」
晶が跪いてデーガと向かい合う。
晶から視線を外し、不安そうにキラキラ男女を見るデーガ。
小さいせいか男とも女ともいいがたい子であった。
特殊な人にはたまらない可愛らしさ。
そんな子が怯えている。
キラキラ男女からデーガへ応援が飛ぶ。
運動会で応援をする両親のようであった。
フローラや脳筋ズ、ハンナ、デルマ、メイド達も拳を握って見守っている。
大人気デーガ。
(終の手札)
晶がデーガの首を絞めつけている首輪に触る。
そしてカヅキが力を使う。
一瞬にしてデーガの首から首輪が消える。
デーガの首には跡が残っていた。
痛々しい。
なるほど、犯人の一人を確保して生きながらえていたものの、デーガの成長で首輪が首を絞めつけていたのだろう。
解除するための三人の内、二人は既にいない。
時間の問題であったろう。
晶、いやカヅキが今ここにいた事は幸い。
悲しい結果にはならなかった。
みなが注目していた。
そして大歓声があがる。
キラキラ男女がデーガに駆け寄り、抱え上げた。
笑顔でデーガを振り回している。
メイドの中には泣いている者も。
フローラもだ。
脳筋ズも嬉しそう。
ハンナ、デルマ、護衛の者達も大喜び。
(さすがカヅキ。良かった)
(うむ。大活躍じゃな)
(えへへー。みんな嬉しそうですー)
他の者達は知らないが、大活躍したカヅキを褒める晶とタケマツ。
カヅキが照れている。
誰にも称賛されなければ、さすがに気分を悪くしてもおかしくはない。
晶とタケマツ、ちゃんと判っている。
「おにーちゃん、ありがとー!いたくないし、かるいよー」
(ぐふっ!小さい子供の感謝……笑顔と相まって破壊力抜群ですー)
(判らんでもない)
「良かったな!もう苦しまないですむぞー」
「うん!」
デーガが晶へお礼を言った。
とても良い笑顔。
一生懸命に説明している姿は健気だ。
そんなデーガにカヅキがやられていたり。
タケマツですら理解を示す。
晶がカヅキの代弁をする。
ニコニコしているデーガを見て満足そう。
笑顔のデーガを中心にほんわかした空間が出来上がったのであった。




