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シンとレイ、晶から懐かしく美味しい食べ物をもらい喜んでいた。
そして晶の側にいると宣言。
まぁ、興奮が落ちつき冷静さを取り戻したら、やっぱりここにはいられないと。
彼らの大将や仲間達はコナモにいるのだ。
あちらでしなければいけない仕事もあるそうだ。
仕方あるまい。
晶の力については心配な部分もあるが、誰でも来れる場所ではないという事で納得していた。
確かにここ、南大陸に来れる者は限られている。
余所者は直ぐに判るし町の利用も難しい。
「アキラ!ありがとうな!」
「本当にうれしいですわ!たまに来ると思いますが、その時もよろしくお願いしますわ」
「シン、レイ、二人が俺を気にしてくれていたようだし、その礼さ」
(うむ。派遣してくれた者への礼にもなるじゃろう)
(きっと喜んでもらえますよー)
今、シンとレイが晶に礼を言っている理由はコナモへ帰るという彼らに晶がお土産を渡したからだ。
コシヒカリの生米だ。
後、調味料を少々。
コナモでも塩には困っていないという事で、醤油、味噌をお土産として渡した。
シンは晶の肩を抱き晶を揺さぶって喜んでいた。
レイも晶の手を握り上下へブンブンと振っていた。
その様子から察するに、まだ見つかっていない調味料だと思われる。
喜んでもらえて晶も嬉しそうだ。
「ぴよこちゃんも可愛いから必ず来ますわ!」
「クルッ!」
「シャーッ!」
「も、もちろんあなた達が一番よぉ」
大人の女性に見えたレイ。
しかしおにぎり以降、何だか可愛らしい面を見せている。
嬉しいお土産を貰って頬を紅潮させていたかと思えば、ぴよこにも会いに来ると笑顔を見せたり。
グリフォンとナイトヴァイパーを隠す事なく連れ歩いているレイ。
だからか天職であるテイマーという事も晶に教えていた。
そっかー動物好きかー、と晶がゼロとぴよこを紹介すると、レイもぴよこに夢中になった。
テイマーのなせる業か、ぴよこもレイの手からご飯を食べたり。
レイがぴよこを可愛いと褒めたからか、その姿が嬉しそうだからか、グリフォンのシルクがレイの背中へ頭をグリグリとしていた。
ナイトヴァイパーのノワールもレイの脇腹当たりを頭で押していた。
その行動が嫉妬だと気付いたレイが慌ててフォローに走ったり。
微笑ましい光景であった。
「連絡用の魔導具とかないの?あれば困った時に連絡しあえる」
「あることはある」
「あれは古代遺産で未だに解析出来ていないらしいわ」
「そっか……残念」
「短距離用なら迷宮から出たと聞いた事がある」
「そうね。でも売りに出たりしない所を見ると、そっちも貴重で、しかも解析出来ていないんでしょうね」
「なら、俺かレイさんで行き来するしかないか……」
「そうなるわね」
晶が二人に通信系の魔導具がないか聞いた。
あれば便利だろう。
携帯電話を知っている身としては不便。
念話は使えるものの配下とだけだ。
シンがあると言い、レイが補足する。
古代遺産、迷宮産、どちらも一般に出回る代物ではなさそう。
手紙を届けてくれる人もいないので、どちらかが空を飛んでいくしかない。
結論はそうなった。
せっかくの出会い。
しかも友好的な出会い。
縁を大切にしたいと晶は考えていた。
シンとレイもそうだ。
「レイ、そろそろ行くか。早く大将に食わせてやりたい」
「そうね」
「色々ありがとう。元気でな」
「おう。アキラもな」
「アキラさんもお元気で」
「おっと、忘れてた。ドンの門、あそこで晶の後ろにいたちびっ子には気を付けろ」
「ん?」
シンがレイを急かす。
晶は彼らが去るので再度、礼を言った。
気持ちも嬉しかったし、色々な情報もありがたかった。
だからまた言いたくなったのだろう。
シンは照れくさそう。
そのシンがグリフォンのシルクに乗ろうとして振り返った。
ちびっ子に気を付けろとの忠告。
ちびっ子は二人いた。
魔女っ子ナオと双短剣のヴァイ。
晶が首を傾げている。
何に気を付けるのか?か、それともどっちのちびっ子か?その辺りを疑問に思ったのだろう。
「あいつらはちょっと前にコナモで名を売っていた連中だ」
「あぁ、そうなのね。魔女と斧と死神は彼らだったのね」
「そうだ」
事前情報のつもりなのだろう、シンが解説してくれる。
レイは知らなかった話らしい。
魔女、斧は、ナオ、エグゼの見たままだ。
しかし死神……ヴァイだと思われるが、酷い言われ様だ。
「何に気を付けるんだ?あいつら悪い奴らなのか?」
「あいつらがコナモを出て行ったのは貴族と揉めたかららしい。噂では貴族の勧誘を断ったとか言われていたぜ」
「俺と同じようなもんか」
「まぁ、それはいい。ちびっ子が怪しげな連中と一緒にいたのを何度か見たんでな」
「それで気を付けろと言ったのかしら?」
「闇ギルドと付き合いがあるんだ、怪しい」
「それだけだと何とも言えないわね。悪いとは断言できないわ」
「闇ギルド……やっぱそういうのがあるのか」
「ヤクザみたいなもんだ。もうちょっとタチが悪いけどな」
「それは否定できないわね」
「ちびっ子……ヴァイってんだけど、ちょっと様子を見るさ」
「そうしておきな。時期的にはアキラの名前が噂される前だから関係ないかもだけどな」
「そうなのね」
「忠告ありがとう」
晶はナオ達と一緒に森へ行ったりして、多少の話はしていた。
打ち解けた話まではしていない。
ナオが晶に興味を持ったという事は嘘ではないだろうが、もっと違う理由もあるのだろうか?
闇ギルド、怪しげな組織。
裏の稼業。
そういうモノらしい。
ヴァイを少し警戒しようと決めた晶であった。
なるほど、晶は短い付き合いでもシンとレイの方が信じられる相手だと判断している。
「それでは行きましょうか」
「おう」
「またなー」
(またねー)
(また会う事もあるじゃろう)
「ぴー」
「うぅ、ぴよこちゃんがパタパタしてるわ……」
「レイ!行くんじゃなかったのかよ!」
「……行きましょう」
言う事は言ったという事でレイが促す。
シンも話を切り上げた。
晶が手を振る。
カヅキ、タケマツから見てもシン、レイはまた会う価値のある者と判断された模様。
ぴよこが晶の手の上で小さな羽をパタパタさせている。
珍しくぴよこが晶以外の人間に興味を持っていた。
その対象はレイ。
シンではなさそう。
後ろ髪を引かれていたレイだがシンに言われて断念。
シルクが周囲の土を巻き上げながら空へ上がっていく。
滑らかで良い毛並は金色だ。
神々しさすら感じられる。
ゼロより羽を動かしているが、それだけで飛べるような動きでもない。
謎飛行。
魔物には謎が多い。
晶は手を振ったままだ。
気を許せそうな相手が行くのだ、複雑な心境なのだろう。
「行っちゃったな」
(行っちゃいましたねー)
(シン、レイがあのお土産を早く届けたい者か……会ってみたいのぅ)
「だね。俺も合ってみたいよ」
(私はあのお土産を味わえる日の方が気になりますー)
(食い気か!)
(だってー)
(アキラの中におれば遠くはあるまい)
(信じますよー!)
小さくなっていく影を見送り、呟く晶。
少し寂しそうだ。
シンとレイ、晶に気に入られている。
いや同朋だからかも知れない。
例え違う日本だったとしても同じ部分は多かった。
カヅキは食い気らしい。
お米、醤油、味噌。
渇望していたり。
「ゼロ、ぴよこ、せっかく白い森に来たんだし遊んで行こうか」
気持ちを切り替えたのか、晶がゼロとぴよこに提案している。
(それはいですね。ムクロと手合わせでも……)
「ぴー!」
晶の提案に乗り気なゼロ。
デビルスパイダーのムクロと模擬戦でもするつもりらしい。
ぴよこは晶の周りをテテテッと走り回っている。
遊ぶという事に反応したと思われる。
嬉しそうだ。
(ムクロー!客が帰ったから、遊ぼうぜ!)
(ウレシイ。イマ、イク)
白い森の奥で待機しているムクロへ念話を入れる晶。
ムクロの言葉は短く、単語だけであるが嬉しそう。
直ぐに白い森の中が騒めく。
「あー、他の蜘蛛達やスケルトンも引き連れて来そう……」
(そんな感じですねぇ)
(アキラ、人気者じゃな)
「俺達が森へ行くか」
(それがいいですねー)
(日も登っておるしな)
「行くぞー」
(承知)
「ぴー」
森の騒めきでこれからの展開を読んだ晶。
カヅキも同意見。
タケマツはアンデッドであるスケルトンの心配。
晶が作ってもスケルトンは日光に弱かった。
日光を浴びると動かぬ骨に戻ってしまう。
ゼロとぴよこを連れて白い森へ入る晶達一行であった。
ムクロ、蜘蛛達、スケルトン軍団。
大歓迎であった。
謎の踊りを見せられたり、生まれたばかりの子蜘蛛を次々に紹介されたり。
付き合いの良い晶は、その全てを受け入れていた。
その辺りは日本人。
変わっていない。
昼飯には謎キノコで鍋を作り一緒に食べていた。
もちろん作ったのは晶。
上司が動く。
ブラック企業ではない模様。
それからみんなで白い森の中で鬼ごっこをした。
鬼の晶は泣きそうになりながら広い森を駆けずり回っていた。
途中で木の上を禁止にしたり。
嬉しそうな配下達を無下には出来ない晶であった。
仲は良くなったはず?
そのまま白い森の中で一泊。
寝る時にはゼロ、ぴよこ、ムクロを始め晶に群がっていた。
妙齢の女性だったら良かったのにねー、そんな風にカヅキにからかわれたりしていた。
夜中トイレに起きた晶が自分で作ったはずのスケルトンにビクッとしていたり。
そんな一日。




