閑話2-4
短い閑話です。
本日二話。
閑話2-4
「シン、もうすぐ着きますわ」
レイから声をかけられる。
そんな俺がいるのは空の上。
テイマーであるレイの仲間であるグリフォンの背中だ。
ちょっと体勢を崩した振りをして後ろのレイの寄りかかって見ようかな……。
レイの巨大な胸部装甲を味わってみたい。
まぁ、ぶん殴られて落ちるのが目に見えているので自重。
「商人は耳が早いぜ」
「そうですわね」
「うちの大将は商人に顔が利くからなぁ」
「素晴らしい事ですわ。さすがですの」
「異世界人らしき者は、おそらく日本人だぜ」
「そうなんでしょうね、アキラという名前で地竜を素手で倒すほどの男」
「この俺様がミヤゲを持って会いに行こうってんだ、楽しませてもらうさ」
「やりすぎないでくださいな」
「そりゃー、あっちの出方次第だな」
俺とレイが向かっている先は迷宮都市コド。
キーナ商業国内に現れてくれたのは行幸だ。
同じ国なら色々と融通が利く。
俺達の敵も少ない。
うちの大将がコドから来た商人から聞いた話で動いている。
地竜討伐。
それも番だったらしい。
それを成した者の一人が件の男、アキラ。
アキラ……絶対に日本人だろう。
俺達が知っている異世界人にアキラはいない。
どこか遠くから来たか、新たに来た者に違いない。
うちの情報網に引っかからなかった事を踏まえると新たに来た者だろう。
女でない事は残念だが、楽しみだ。
俺が行くまでに死んでなきゃいいがな。
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「既にコドから離れたようですわね……」
「っち!動きが早いな」
アキラという男は地竜討伐後、直ぐに移動したらしい。
くそっ!俺達の仕事はここで終わりにはならなそうだ。
面倒くせぇ!
「ですわね。さて……どうしましょうか?」
「レイはギルドでアキラの情報を集めてくれ」
「シンはどうしますの?」
「俺?俺は裏を探ってくるぜ」
「あんまり無茶しないでくださいね」
「俺はいつも平穏温厚だぜ?」
「はぁ……」
俺はレイの質問に答える。
別に俺はレイの上司ではない。
同僚だ。
残念ながらただの同僚。
レイはお嬢様っぽい美人だ、スタイルもいい。
とてもいい。
チャイナ服のような体のラインが出る服を着れるのは自分の体に自信があるからだろう。
サテン生地みたいに少し光沢がある服、黒地に銀糸で縁取りがされている。
俺らの中でこんな目を引くヤツは他にいない。
力なら目立つヤツラばかりだがな、仲間達は。
でもレイを誘うとぶん殴られるんだよなぁ……。
蛇の生殺しかよって思うよな。
蛇、蛇っていやぁ、レイの左腕には黒い蛇が巻き付いている。
テイマーとして使役しているモノの一体だ。
ナイトヴァイパー。
闇に紛れ、音もなく忍び寄り毒を入れる。
恐ろしいヤツだ。
グリフォンだけでも面倒だがこいつも厄介だ。
敵対する訳ではないが迂闊にセクハラも出来ない。
無念。
商人から話を聞いたので次は冒険者ギルドだ。
そっちはレイに任す。
俺は……裏稼業の者達を当たるかな。
適材適所だ。
レイは見た目がいいし強いから冒険者ギルドでの情報収集は楽だろう。
俺は暴れるのが得意。
そういう事だ。
コドの裏は知らん。
だが怪しげな所へ行って、ちょっと肉体言語でお話するだけだ。
どんな奴らがいるのかねぇ……おしゃべりが嫌いだと嬉しいぜ。
たっぷり楽しめるからな。
▼
「商人からの情報が細かくなっただけでしたわ。素手で地竜を屠りアイテムボックスへ仕舞ったとか、数日で鉄ランクまで上がったとかですわね」
「ほう」
「新たな情報は長期の仕事へ向かったという事くらいかしら」
レイと落ち合い、話す。
長期の仕事か。
強ければ仕事には困るまい。
アキラという男は働き者らしい。
「何をニヤニヤしてますの?」
「こっちは大収穫」
「早く教えなさいな」
「アキラというヤツを狙って動いている野郎どもがいっぱいいた」
「そうでしょうね。聞いただけでも力があって便利そう」
「そんな野郎どもでも直ぐには何ともならんらしい」
「どうしてですの?傭兵団でも作ってましたの?」
レイが俺をニヤニヤしていると言って来た。
まぁ、ちょっと暴れてスッキリしたってのはある。
レイが得られなかった情報を持ってきたってのがもっと大きいけどな。
見直してくれ。
裏の奴らが動けない理由。
レイはアキラが徒党を組んだとでも思っているっぽいな。
違うぜ。
「南西にいるみたいだぜ?」
「南西……すぐ海じゃないかしら?まさか……」
「そう!あっちの大陸へ渡ったっぽいぜ」
「海、空、移動手段があるのね。また力が増えたじゃないの!」
「アキラ、とんでもない男らしいな。楽しみだ」
「そうね、ってどうしてあっちの大陸へいるのが判ったのかしら?」
「アキラはここらで買い物をしまくってた。裏と繋がりのある店があの魔導具を紛れ込ませたと」
「中々やりますわね。方向が判るから追跡が楽ですわ」
「それで海の先にいると理解した連中が顔を付き合わせて相談していたぜ。俺がお話したらすんなり教えてくれたぜ」
「それなら魔導具は借りて来たのですわね」
「当然」
二つで一つの魔導具。
海に出るためには必須だ。
ここの悪党も頭が回る。
弱かったけど。
魔導具はあっさり貸してくれた。
土下座をしながら差し出して来てくれたもんな。
これでアキラという男を追える。
「行きましょうか?」
「おう!」
「買い物からですわ。物資が足りるか判らないもの」
「おっけー」
ちったぁ楽しませてくれよ?アキラ君。




